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アンケートからみる読書感想文―なぜ苦手意識をもつの?

 子どもたちに大人気、我が家も愛用している学習ドリル「うんこドリル」(文響社)。その公式サイト「うんこ学園」には保護者向けの情報サイトもあり、2019年8月には読書感想文に関するアンケート調査結果(調査対象:同サイトの小学生をもつ保護者会員300名)が公開されています。読書感想文に関するアンケートが希少であることから、参考資料として共有させていただきます。

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 高学年になるにつれ宿題として課されるケースが多くなる傾向にあり、4年生以上になるとおよそ8割が夏休みの宿題として読書感想文があるそうです。しかし、全学年の平均値として36.8%が宿題として課せられていません。読書感想文コンクールへの応募を任意としている学校、学年が多いと推測します。一方で、都道府県コンクールの入選・入賞者を見てみると、同じ学校から複数名受賞している、あるいは毎年受賞者を輩出している常連校も見られ、学校によって温度差があると言えるでしょう。

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 全学年の平均値として63.2%が読書感想文を宿題として課せられている一方で、内85.1%が授業や指導をなされていないことがこの結果から分かりますります。知識のないまま読書感想文に取り組むことになり、子どもたちは苦戦必至で苦手意識を助長する要因になりうると考えます。特に今年度は、臨時休校により授業数を補う必要があり、読書感想文に関する指導時間の確保はより難しい状況にあるそうです。

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 87.9%が図書指定されていないため、まずは選書からスタートとなります。「青少年読書感想文全国コンクール」の募集要項が配布され、実質同コンクールの課題図書を推薦するケースも多くありますが、選書から悩むお子さま、親子で悩まれる家庭が多いようです。夏休みに入ると、図書館で課題図書を借りようと思っても順番待ちとなり、課題図書を書店で購入することになります。特に低学年の場合、お子さま一人で選書することが難しいので、保護者が一緒に考えることが必要とされます。

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 67.8%の保護者が協力し取り組んでいますが、低学年になればなるほど保護者の協力度合いが高まる傾向にあります。

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 72.9%の保護者が、読書感想文に対し「大変」と感じています。どういったことが大変なのでしょうか?このアンケート結果に加えて、回答者である保護者の声も掲載されています。一部抜粋してご紹介します。

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 特に学年が低くなればなるほどお子さまだけで選書、読書、作文が難しいにも関わらず、原稿用紙の使い方も学校で十分に習うことなく取り組むことになり、一人では手をつけようがありません。保護者もまた同じように育ってきたわけですから、家庭任せにされても保護者自身がどのように教えて良いのか分からない状況です。保護者も調べながら、手探りで作文指導している姿が見えてきます。

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 前回の記事でも紹介しましたが、読書感想文に費やす期間で最も多かったのは「2~3日」で41.2%を占めます。次に多かったのは「1日」で24.6%です。過半数が短期間でまとめ終えているように思われますが、1週間以上かけている家庭は33.6%にも上ります。青少年読書感想文全国コンクールの上位入賞者の多くがメディアから取材を受けますが、そこで取り組んだ期間について質問を受けます。それら回答を見てみると1週間以上じっくり時間をかけて親子で話し合い、構成を練り、作文後も繰り返し見直している姿が見受けられます。単に一つの宿題をこなすため短期決戦とするのか、親子での共同作業をもって本人が納得のいく作品に仕上げるのか、この要した日数にすべて表れていますね。

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 一般的に夏休みに入る前になって学校や家庭は読書感想文について意識し始めますが、青少年読書感想文全国コンクールの場合、公式サイトやSNSで大々的に情報発信するのは6月上旬ですが、実はその1カ月以上前から募集要項、課題図書が発表されています。余裕をもって親子で話し合い、課題図書に合わせて自身も登場人物と類似の体験をしてみたり、あるいは課題図書をきっかけにより深く調べることで、その作文には唯一無二のオリジナリティ、そして説得力を持たせます。この点については今後さらに詳述していきますが、ここでは1週間、2週間と言わず、ゆとりをもって子どもと一緒に課題と向き合い、親子で共通の体験や対話を重ねていくことをお勧めします。

 次回は、読書感想文への苦手意識の克服読書感想文に取り組むメリットについてお話いたします。


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