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若者は会社に何を求める!?

2022年の出生数は初めて80万人を下回りました。国立社会保障・人口問題研究所は80万人割れは2030年と推計していましたが、大幅に人口減が早まったわけです。優秀な人材の確保、小さなパイの奪い合いは将来さらに激しさを増すでしょう。

特に弊社は福井に本社を構える田舎の中小企業。都会への流出が止まらなければ、優秀な人間は自然と都会に取られていく。

若者の定着率が高く、優秀な人間を県外からでも呼び込むことが出来る。そんな会社ってどんな会社だというのを、今回、真剣に考えましたのでお付き合いください。

生まれたときから十分なモノに囲まれて育った彼らは、「ないものを勝ち得るために我慢する」という上の世代の心理は理解できないのです。さらに言えば、彼らは上の世代に対し、「達成」にこだわることのアンバランスさを感じてもいます。

尾原和啓(2017)
『モチベーション革命 稼ぐために働きたくない世代の解体書』
幻冬舎 Kindle 版
Kindle の位置21ページ-22ページ

今の若者が仕事に何を望んでいるのか?


確実に言えるのは、今の世代とバブル期を謳歌した世代の考え方はまるで違うということです。

モチベーション革命という書籍の中では、一昔前の世代を乾いている世代と表現しています。この世代はモノ不足の世代です。そして、自分の仕事が世に足りていない何かを生み出すことに直接貢献できていました。移動手段や情報技術の進歩が目まぐるしく、自分の仕事が社会に変化を起こしている実感があったのです。プライベートを犠牲にしてでも、それ以上に得られる喜びで自己実現が成立していたのでしょう。

そして、現代の若者世代を乾けない世代と表現しています。生まれたころから周りにはすべてが揃っていて、欲望を持てないような世代ということです。彼らのモチベーションは家族、友人、自分という、小さく身近な枠の中で生み出されます。すでに満ち足りている大きな枠はとても自分では変えようがないので、小さな枠の中で自己実現の可能性を見出すのです。

乾けない世代が望むことは何でしょうか。

良好な人間関係の中で働きたい。何気ない作業でも意味合いを見出したい。時間がたつのを忘れうるほど没頭できる仕事を探している。そうでなきゃ、モチベーションは維持できない。本の中ではそう説明されていました。

良好な人間関係は分かる。
意味合い、没頭…。

それって結局やりがいじゃないのか?

今ややりがいという言葉はブラック企業を連想する言葉でもあります。それにやりがいの追及をしない企業はどこにもないでしょう。

やりがいも大事なんだけど、それだけじゃないんだよなぁ…

乾けない世代の人達がこれを読むと、このような疑問を持つかもしれません。

それではここで別の考え方を見てみましょう。

何でも、人類は貨幣経済社会から評価経済社会へのパラダイムシフトの最中にあるのだとか。(パラダイムシフトとは、その時代や分野において当然のことと考えられていた認識や思想、社会全体の価値観などが革命的にもしくは劇的に変化すること。)

貨幣経済社会では何を持っているかで評価されていたことに対して、評価経済社会ではどんな価値観や世界観をその人が選んでいるかで人物像を分類・評価されます。

「どんな車に乗っているか?」
「時計はどこのブランド?」
「え、全身ユニクロ!?」

このような所有物主体の判断って確かにもう若者の間ではほぼ絶滅状態ですよね。

 第4章では「評価経済社会における私たちの生活の変化」について考えました。  
 日常生活において、影響を受ける側、つまりイメージ消費者である私たちは、多くのイメージや価値観の中から自分が気に入ったものを複数選択していること。  
 価値観やイメージが増えれば増えるほど、同じ価値観を共有するグループが形成されること。  
 私たちはそんなグループの中で、自分の価値観を基に複数選択して自分の生活をコーディネートしていること。  
 こうした人間関係のフラグメント(細切れ)化は、これからもどんどん激化することを確認しました。

岡田斗司夫(2013)
『評価経済社会・電子版プラス』
Rocket Inc. Kindle 版
Kindle の位置No.2823-2828

価値観は個人のアイデンティティを形成します。
自分が何が好きなのか、どういう人間でいたいのか、どういうことで喜びを感じるのか。

価値観≒意味合い/没頭/やりがい

と、自分は考えます。さて、これを複数選択しているとはどういうことでしょうか?

例えば、一昔前は”成功したビジネスマン””子供を一生懸命育てる母親”という価値観を単一で選択するというのが常識でした。他の何かを犠牲にしてでも、その世界の中で何かを達成することが幸せにつながったのです。

そして、パラダイムシフトが起きて評価経済社会になりました。金銭や物理的な報酬よりも、小さく多くの”自分の好き”を追求する時代です。

ペット愛・自然食派・教育熱心・筋トレ好き・コツコツ派・仕事での挑戦意識という別々の自分の価値観。

若い世代は、それぞれに違った価値観を仕事、家族、趣味、SNS等の様々な小さなコミュニティで獲得しようとしています。

例えるなら、かつては頭から足の先まで1つの有名ブランドでファッションを固めるのが格好がいいとされていたのに対し、ジャケットはこのブランド、インナーはあれ、パンツはこれと、高級ブランド、リーズナブル関係なくバラバラに選択して自分というトータルコーディネートをするようなイメージだそうです。



もちろんやりがいも重要なんだけど、それだけじゃないんだ。というモヤモヤへの答えが、”複数の価値観を大事にしたい”ということでないでしょうか?

前述の通り、今の世代は価値観を様々な場で選択して自己の評価の土台を形成しようとしているわけです。

365日24時間仕事人間。
365日24時間子育て。

こんな日常ではもう息が詰まってしまうのが現代人。仕事や家事以外の何かが必要なんです。

この「自分はこれが好き」「自分はこうありたい」という複数の価値観を重視する若者にとって仕事・会社はどういう存在であるべきでしょうか。

第一に、優れた価値観を個人に提供する集団でないといけないでしょう。

  • 世界に誇れる技術に携わる

  • 個人の挑戦が促される

  • 自分の成長につながる

これらは仕事におけるやりがいの例だと思うのです。

しかし、いくらいい価値観を得られていたとしても、その仕事が他の価値観を享受できる機会を奪ってしまったら、それはご法度です。

だからこそ、働き方改革が今求められていると思います。副業解禁、有休奨励、育休、残業低減、コミュニケーション手当等がそうです。

結論としては、

個人が特有の価値観を得られ、良好な人間関係のあるビジネス集団にする。
そして、仕事がプライベートの時間や意識を奪わないようにする。
様々な価値観の追及を奨励する。

最終的な形は、どこの企業も提唱しているようなものに似通ってしまいましたが、そのバックグラウンドを言語化できたような気がします。自己満かもしれませんが。

これが今のところ、自分が目指したい会社の将来像です。情けない話ですが、今の立場では会社に大胆な変化を起こすことは難しいと感じています。

いつか、本当に上に立つ人間になったら打ち出していきたい。これは有言実行したいです。


このnoteを800文字程度にぎゅっと内容を凝縮した私のコラムが松浦機械製作所の広報誌、マツウラNEWS!にて掲載されております。


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最後まで読んでいただきありがとうございました。



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