オリンピックと競技活動⑤競技引退後

前回までさんざん経済的苦労はさせたくないと書いたが、引退後の人生はもっと苦労して欲しくはない。だから求められればキャリアアドバイス程度は引き続き行っていきたいと思う。今でも競技者からのキャリア相談は時々ある。私たちの時代は競技活動だけでなく引退後も少々苦労した。なるべく同じ経験はさせたくないと思っている。
ここでは競技者から人材を扱う大手企業勤務を経て、現在スポーツビジネスに携わる自分の意見を書きたい。

もしあなたが競技者なら

競技引退後の進路選択は可能な限りあなたの価値観に基づいて選択することをお勧めする。
何をしたいか？何を果たしたいか？価値観はキャリア選択において極めて重要で、どのアドバイザーも最適な選択肢を提供する為に引き出そうとしてくれる。価値観が一致していれば何をやっても楽しい。何が出来るかより、何をしていると楽しいか？を大事にしたい。将来何を果たそうが、どれほど輝かしいものになろうが、競技引退後の日々が、競技生活以上に楽しくあることが最も望ましい。

進むべき方向は広い視野で見渡し、フラットに考える必要がある。
就職、進学、留学、転職、起業…etc、すべて平等に考えなければならない。選択は人それぞれ。収入や社会的ステータスなど一時的なフィルターを一旦外して、自身の価値観を徹底的に深掘りし、方向を定める。
現在の自分が求めていることと未来の自分が求めることは時に異なることが多い。将来も普遍的に自分が欲してるだろうことに、最短で辿り着きそうな道を選ぶべき。道は後でいくらでも方向修正可能であるが、キャリアステップにおいても「コース取り」は肝心である。

もしあなたがキャリアアドバイザーなら

人生かけて必死で競技を取り組んできた者が最も知りたいこと。それは引退後、競技活動中よりも刺激的で充実した毎日を送る方法はあるのか？である。その方法を知っている者のみが俗に言う「セカンドキャリア」なることへの支援者に相応しい。単なる仕事探しとマッチングなら誰でも出来るし、利益率は極めて低いだろう。

ちなみに上記疑問の答えはイエス。競技者の皆さんは心配しないで頑張って欲しい。私も引退時は「もう今後はこれ以上刺激的な経験は出来ないかもな…」そう思っていた。しかし実際は毎日すごく刺激的！毎日出会う人や仕事を通して、都度、価値観が変わるから。

お金は糖質と同じ

そして競技引退を間近に控えた選手が実際に気になる部分は、どう稼いで行くか？だろう。キャリアアドバイザーの多くは、スタート地点に立たせるプロだが、スタート地点に立ったら基本は自分で稼がなければならない。私は競技引退後、一度無職となり、就職や起業など様々な経験したが、競技者という肩書きを捨てゼロからお金を稼ぐことは意外と難しい。例えるなら、競技未経験者が、突然あなたのいる競技界にやってきて、あなたのような強豪ひしめく中でゼロベースで戦うようなもの。

また、稼ぐことと併せて大事なのはお金の使い方。お金は運動で言う糖質と同じ。生きているだけで消えて行く。が、使い方によってはパワーを生み出す。糖質もお金も使う人によって結果が大きく異なるから面白い。競技同様にエネルギーをうまく使うことが重要。よく初任給で時計やスーツなど高級品を買ったりする人がいるが、私はあまりおすすめはしない。もう終身雇用の時代は終わった。

見えにくいのは「道」より「自分」

競技者だから進路に困ることは全くない。
多くは進路が見つからないのではなく、やりたいことが見つからないだけ。やりたいことが見つからないのは、自身の価値観を知らないだけ。

人生は競技力を高める為にあるのではなく、むしろ、人生を豊かにする為に競技力を高めるのかも知れない。皆の充実した競技生活とその後の人生の充実を祈っています。

最後に

何故こんな記事を書くのか？
それは将来同じ目線で会話出来る仲間が増えた方が圧倒的に楽しいから。

こうしてブログを書くと多々指摘もあるかと思うが、アウトプットしないよりはマシだし、経験はなるべくシェアした方が良いと思い勝手に書き綴っています(笑)
ご意見やご指摘、アドバイスがある方は是非頂けたら嬉しいです。
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