有川浩『シアター』を読んでみて
今回は、世界観にハマり、
一気に読んでしまった、
有川浩さんの『シアター』2作品の
感想等を綴っていきます。
この作品は、
劇団をやっている弟と、
普通の会社員の兄の、
演劇関係にまつわる物語。
私自身、何度か舞台出演の
経験があるため、色々な部分で
共感をすることができ、
読んでいてとても楽しかったですね。
劇団に対し、兄が300万円を貸したことから
始まるストーリー。
「300万円を2年で返せないなら劇団を解散しろ」
最初の入り方がとてもインパクトありましたね。
この設定の作り込み方、すごく好きです。
あと単純に兄と同世代なのも、
すごく親近感が湧きます。
その条件に対して、最初は無理だと騒ぐ劇団員。
最終的に借りると決断する弟。
役者って、本当に大変そうですよね。
「好きなことを仕事にする」
これって本当に難しいことですからね。
演劇はどうしても、
時間をたくさん費やす関係上、
他に割ける時間も限られてしまいますからね。
その後、その兄は経理などの担当となり、
劇団員と一般人の金銭感覚の違いを
所々で発揮します。
そのときの、
「現代と大きく設定が異なるものや、
学園物の統一の洋服を
必要とする場合は衣装代がかかる」
この話に思わず、
なるほどなぁと感じていました。
私も舞台で、時代劇を一度行ったのですが、
それの衣装が大体20万くらいする、
かなりいい着物だったらしいです。
ここで今回の作品で私が好きだった言葉を紹介。
「お金と時間は反比例する」
大学時代を思い出しました。
2駅くらいなら歩こうと、
節約していた頃が懐かしい。
そして有川さん大好きな恋愛描写。
まあ、こういうふうに劇団は、
多くの時間を共有する関係上、
そういう話も湧いてきやすいですよね。
特にシアター2において、
こういう恋愛描写が
色々と描かれてるのが好きでした。
でも、そういう何かに対して
一生懸命な人って、魅力出来ですよね。
そういう人を好きになる気持ち、
すごくわかります。
特に役者というのは
安定しない仕事である関係上、
パートナーとして、
『支えることのできる存在』
ってのは大事なんだなと。
あとは声優の本業から、
舞台役者への道を志すようになった
ヒロイン的役割の千歳ちゃん。
子ども時代から声優をしている関係で、
人間関係をそつなくこなす千歳。
その千歳が兄に対してちょっかいを出すのとか、
歳の近い子と言い争いをするのとかで、
所々少女らしさが垣間見えるのも、
またいいんですよね。
シアター2を読み終えた後、
あれ?この感じ、
シアター3ありそうじゃない?と思い、
早速ネット検索。
すると、そこで、
色々な事情があることがわかりました。
「周りの声に心が折れてしまうことがある」
要するに、
ネット等での批判の声があり、
その声に疲れてしまったってことですね。
(私の解釈が違っていたらすみません💦)
確かに作家さんは、
作家さんである前に1人の人間なんですよね。
だからこそ、1つの感想に喜びもするし、
傷つきもする。
その場の一瞬の気持ちだとしても、
文章は「残り」ますからね。
「残る」言葉であるなら
気持ちのいい言葉の方がいいですよね。
ただ、否定的な言葉を排除するのも
中々難しいのが現状かもしれませんが、
今後とも、作家さんが気持ちよく
作品と向き合える環境であってほしい。
そう願っています。
今回の『シアター』に関して、
単純に面白かったのですが、
それと同時に色々な背景も知れて
勉強になりました。
私は読書好きの一人として、
今後も陰ながら作家たちの
作品を楽しみにしたいと思います。
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