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記事一覧

川越宗一『熱源』

近所にいい感じの居酒屋を見つけたので、のんびりおでんを食べていると、恰幅のいいおじさんが…

1

NFTアートとかNFTとかにあまり興味を持てなさそう、という気持ちについてのまとまらな…

NFTにあまり興味がない。 と、ひとことで済む話をもう少しだらだらと書いておきたい。数年後…

10

宮野真生子・磯野真穂『急に具合が悪くなる』

がん闘病中の哲学者・宮野と、たまたまその相手役を引き受けることになった人類学者・磯野によ…

6

デヴィッド・グレーバー『ブルシット・ジョブ クソどうでもいい仕事の理論 』

「ブルシット・ジョブ」の定義が難しい。 ブルシット・ジョブとは、被雇用者本人でさえ、その…

1

中村桃子『新敬語「マジヤバイっす」――社会言語学の視点から』

表題の「マジヤバイっす」のような「っす」という言葉遣いを「ス体」と名付け、考察していく本…

2

田中雄二『TR-808<ヤオヤ>を作った神々──菊本忠男との対話──電子音楽 in JAPAN…

タイトルのTR-808だけではなく、1970年代前半〜90年代後半あたりの日本の電子楽器開発史の本。…

5

石戸諭『ルポ 百田尚樹現象 愛国ポピュリズムの現在地』

タイトルにある百田尚樹についてははじめの3分の1だけで、残りは「新しい歴史教科書をつくる会」についての歴史が語られる。ふたつを対置することで、「つくる会現象」から「百田尚樹現象」に、何が引き継がれ、何が引き継がれなかったのか、を浮き彫りにする。個人的には、「つくる会」について名前以外ほぼ何も知らなかった(当時小学生だった)ので、単に年表的な情報だけでなくその時代の運動の熱気も含めて知れて勉強になった。 で、何が引き継がれ、何が引き継がれなかったのか。それは、 「反権威」的

テッド・チャン『息吹』

SFには映像のほうが向いているか文章のほうが向いているか、という論争に参戦するつもりはない…

8

佐々木実『竹中平蔵 市場と権力 「改革」に憑かれた経済学者の肖像』

まあまあ面白かった。 前半は竹中平蔵がいかにしてのし上がってきたのか、という話。共同研究…

1

高山羽根子『首里の馬』

舞台は沖縄。主人公・未名子にはふたつの顔がある。 ひとつは、その地で余生を過ごす民俗学者…

1

小川さやか『チョンキンマンションのボスは知っている アングラ経済の人類学』

香港で暮らすタンザニア人の中古車ブローカーのネットワークに関する本。 ブローカー業とは、…

4

町田康『しらふで生きる 大酒飲みの決断』

これは恐ろしい本だ。飲酒に限らず、人生観を根本から変えてしまう危険性を秘めている。 例え…

1

東畑開人『居るのはつらいよ ケアとセラピーについての覚書』

ただ居るだけ、ということがいかに難しいことなのかが淡々と語られる本。 と、「淡々と」とい…

6

村田沙耶香「コンビニ人間」

(これは、昔のブログに書いたやつをほぼそのまま移してきたものです) 公式ページの紹介を見れば、 現代の実存を問い、 正常と異常の境目がゆらぐ衝撃のリアリズム小説。 だとか評されているけれど、「正常と異常の境目がゆらぐ」なんていうのは、その境目の線を引く側にいる人間のずるい言葉だ。境目の、本の言葉を借りて言えば、「あっち側」の人は、境目がどこにあるか分からないから困惑しているわけで。 たとえば俺は「楽しい」という気持ちがよくわからない。でも、「こういうときはとりあ