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記事一覧

町田康『入門 山頭火』

町田康の本で一番好きなのは?、と聞かれれば、名作『告白』を迷わず挙げる。 『告白』は、「…

Hiroaki Yutani
12日前
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樋口恵一郎『良いFAQの書き方──ユーザーの「わからない」を解決するための文章術』

はじめに書いておくと、この本、タイトルを見て「おっ、面白そう、買ってみようかな」と思う人…

Hiroaki Yutani
3週間前
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カズオ・イシグロ『わたしを離さないで』

(これは、2017年に昔のブログに書いたやつをほぼそのまま移してきたものです) という本題と…

Hiroaki Yutani
3週間前
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ピエール・バイヤール『読んでいない本について堂々と語る方法』

(これは、2016年に昔のブログに書いたやつをほぼそのまま移してきたものです) ある本を「読…

Hiroaki Yutani
3週間前
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川越宗一『熱源』

近所にいい感じの居酒屋を見つけたので、のんびりおでんを食べていると、恰幅のいいおじさんが…

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NFTアートとかNFTとかにあまり興味を持てなさそう、という気持ちについてのまとまらな…

NFTにあまり興味がない。 と、ひとことで済む話をもう少しだらだらと書いておきたい。数年後…

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宮野真生子・磯野真穂『急に具合が悪くなる』

がん闘病中の哲学者・宮野と、たまたまその相手役を引き受けることになった人類学者・磯野による往復書簡。往復書簡なので何か特定のテーマがあるわけではないはずだけど、あえていえば、運命、に関する本。2020年に読んだ本の中で個人的ベスト1。 前半は、「急に具合が悪くなるかもしれない」、つまり、容態が急変すれば1ヶ月ももたず死んでしまうかもしれない、と告げられた宮野の体験を中心に、リスクと「選ぶ」ということについての話題が繰り広げられる。 医者は、これから起こるかもしれない様々な

デヴィッド・グレーバー『ブルシット・ジョブ クソどうでもいい仕事の理論 』

「ブルシット・ジョブ」の定義が難しい。 「ブルシット・ジョブ」は、無意味な仕事のことであ…

1

中村桃子『新敬語「マジヤバイっす」――社会言語学の視点から』

表題の「マジヤバイっす」のような「っす」という言葉遣いを「ス体」と名付け、考察していく本…

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田中雄二『TR-808<ヤオヤ>を作った神々──菊本忠男との対話──電子音楽 in JAPAN…

タイトルのTR-808だけではなく、1970年代前半〜90年代後半あたりの日本の電子楽器開発史の本。…

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石戸諭『ルポ 百田尚樹現象 愛国ポピュリズムの現在地』

タイトルにある百田尚樹についてははじめの3分の1だけで、残りは「新しい歴史教科書をつくる会…

テッド・チャン『息吹』

SFには映像のほうが向いているか文章のほうが向いているか、という論争に参戦するつもりはない…

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佐々木実『竹中平蔵 市場と権力 「改革」に憑かれた経済学者の肖像』

まあまあ面白かった。 前半は竹中平蔵がいかにしてのし上がってきたのか、という話。共同研究…

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高山羽根子『首里の馬』

舞台は沖縄。主人公・未名子にはふたつの顔がある。 ひとつは、その地で余生を過ごす民俗学者・順さんの「資料館」で、順さんが収集した膨大な数の資料の整理を手伝うこと。資料になにか価値があるのか、未名子は知らない。ただ淡々と、資料に対応したインデックスカードを確認し、傷んでいれば補修する。 もうひとつは、世界のどこか、遠い場所にいる人々にオンライン通話でクイズを出題するオペレーターの仕事。回線越しにクイズに答える相手が何者なのか、そのクイズのやりとりがどういう意味を持つのか、未