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【名著】「ドリルを売るには穴を売れ」から学ぶマーケティングの基礎4選

「マーケティングの勉強をしてみたい」だけど何から手をつけていいかわからないという方も多いのではないでしょうか。

そんな方はまずマーケティングの基礎がわかりやすく書かれている「ドリルを売るなら穴を売れ」を読むことをおすすめします。

ただ本1冊をじっくり読むのは時間がかかり大変だと思います。そこで今回は「ドリルを売るなら穴を売れ」の要点に絞ってマーケティングの基礎知識を紹介します。

未読の方は、大まかな内容を知り、本を買うかの判断材料やマーケティングを学ぶきっかけとして活用してもらえれば幸いです。また既読の方はマーケティングの基礎の復習として読んでもらえればと思います。


マーケティングとは


マーティングとは一言でいえば「顧客に対する全てのこと」です。私たちは毎日買い物し、顧客になっています。

つまり、わたしたちは毎日必ずマーケティングに関わっているのです。こう聞くとマーケティングって身近なものだと感じませんか。

あなたは買い物をしただけで、すでにマーケティングに関わったともいえます。仮に買い物中に価格を見て、安いと感じ買うと決めたとしましょう。それはもうマーケティング視点で考えたといえます。

マーティング視点でモノを見るときにどこに着目しどう考えるべきかを体系化したものが、今回紹介するマーケティングの基礎「ベネフィット」「セグメンテーションとターゲティング」「差別化」「4P」の4つの理論です。

これらを体系的に学ぶことによって、漏れなくマーケティングの全体像を理解することができます。そしてそれら4つの理論について、あなたが商品を選ぶ際、仮説をもって考えれば、マーケティング思考が身につくことは間違いありません。

ここからはその4つの理論「ベネフィット」「セグメンテーションとターゲティング」「差別化」「4P」について紹介します。

ベネフィットとは


ベネフィットとは「顧客にとっての価値」のことをいいます。では顧客は何に「価値」を感じるのでしょうか。人が価値を感じるものの根底にあるものは欲求です。

本書では、この欲求を三大欲求として「自己欲求」「社会欲求」「生存欲求」の3つに分類しています。

自己欲求とは他人とは無関係に自分の中で完結する欲求です。もっと成長したい、ストレスを発散したいといった欲求が自己欲求に該当します。

社会欲求は他人との関係においてよく思われたいという欲求です。具体的には、名誉欲、家族と楽しく過ごしたいという欲求が社会欲求に該当します。

生存欲求とは行き続けたい、肉体的な快楽による欲求です。生きるためのお金がほしい、おいしいものが食べたいといった欲求が生存欲求に該当します。

こういった欲求こそ顧客にとって価値を感じるものの根底にあるのです。

マーケティングで1番重要なのはベネフィット

あなたがモノを買う際の「購入する理由」を想像してみてください。買い物をした理由として、安いから、おいしそうだから、かっこいいから、かわいいからなどが思い浮かぶのではないのではないでしょうか。

実はこれらの理由には共通点があります。それは商品に対して「価値があると感じているから」買うと決めたという点です。

この顧客が感じる価値のことを「ベネフィット」といいます。顧客がいかにしてモノを購入するかを考えると、売り手側は、顧客にどれだけベネフィットを与えられるかが重要であることがわかるかと思います。

そのベネフットには機能的ベネフィットと情緒的ベネフィットの2種類があります。それぞれのベネフィットについてルイ・ヴィトンのブランドバックを例に用いて紹介してみましょう。

機能的ベネフィット


機能的ベネフィットとは、物理的で計測しやすいベネフットのことです。ルイ・ヴィトンのブランドバックを例にあげると、収納力の高さ、持ちやすさ、丈夫さ、アフターサービスの良さなどが考えられます。

情緒的ベネフィット


情緒的ベネフィットとは、デザイン、憧れなど、本来の機能的な価値に該当しないベネフィットのことです。ルイ・ヴィトンのバックでいえば、かっこいい、おしゃれ、ヴィトンを持っているという優越感などが考えられます。

セグメンテーションとターゲティングとは


「セグメンテーション」とは顧客を分け、グループ化することをいい、その分けられた顧客のグループのことを「セグメント」と呼びます。セグメンテーションを行う理由は、商品をセグメントに、どのようにアプローチするのが効果的かを考えるためです。

またどのセグメントに売るべきか決めることを「ターゲティング」と呼びます。ターゲティングを行う前にはセグメンテーションが必要となることからセグメンテーションとターゲティングはセットの関係です。

セグメンテーションとは顧客を分けることと説明しましたが、その分類法には代表的なものとして「人口統計的なセグメンテーション」と「心理的セグメンテーション」の2種類があります。

人口統計的なセグメンテーション


人口統計的なセグメンテーションとは性・年齢・居住地域などの人口統計的な基準で個人顧客を分類する方法のことをいいます。この方法のメリットは性・年齢などといった明確に区別できる情報であるため、モレやダブりがないことです。

一方でデメリットは、顧客を分けるというセグメンテーションの目的を果たすことが難しいところにあります。例えば20代で分けたと仮定してみましょう。この場合、20歳の学生と29歳のサラリーマンが同じセグメントとなってしまいます。

自由に使えるお金が多い社会人と、自由に使えるお金が少ない学生とが同じセグメントで適切に分類できているといえるでしょうか。

それならば細かく分ければいいのではという意見も出ると思います。ただ細かくし過ぎても複雑化してしまうため、そう簡単なことではありません。

心理的なセグメンテーション


心理的なセグメンテーションとは、心理や行動、ライフスタイルなどの違いをベースに分類する方法です。その一つとして、商品の普及過程において、早く買うか、遅く買うかを基準とした分類方法があります。

この方法のメリットは、顧客を正しく分けられる、セグメントできるという点です。例えば、商品が発売してすぐに買う人、一般的に普及した後で買う人という行動別に分類して考えてみます。

前者は最先端の物が買いたい、後者はみんな使っているから買いたいという両者の消費行動に違いがあることは明白でしょう。

このことから心理的なセグメンテーションでは顧客を正しく分けられているといえます。

一方でデメリットは、心理や行動には明確な境界線がないため、具体的にどういった基準で分類するのかが難しい点です。さきほどの購入時期を例に考えてみましょう。

商品が発売してすぐに買う、一般的に普及して買うとは、それぞれ発売後何日を指すのでしょうか。こう聞くと具体的に明確にするのは難しいと感じてもらえると思います。

理想的なセグメンテーションの使い方


理想的なセグメンテーションの使い方は、人口統計的なセグメンテーションと心理的なセグメンテーションの両方をうまく活用することです。

活用法の1つとしてそれぞれのセグメンテーションでの共通点を見つけ、1つのセグメンテーションでその2つを網羅するという方法があります。

例えば、女性用の流行りの洋服があり、売れている年齢層が20代で、その年齢層のほとんどが商品発売日に購入するというデータがあると仮定しましょう。20代(年齢)が発売日に買う(心理)という2つセグメンテーションの共通点が見えます。

この場合、20代という人口統計的なセグメンテーションだけで考えれば、発売日に買うという心理的なセグメンテーションも網羅できているのです。

ターゲティングする理由と注意点


この章の冒頭でも紹介しましたが、ターゲティングとは、どのセグメントを狙うかを決めることをいいます。このターゲティングを行う理由は、ターゲットを絞ることで売れるようになるからです。

あなたが30代男性だったとき、万人向けの雑誌と30代男性向けの雑誌どちらを買いますか。普通は後者だと思います。

万人向けに書かれたものは誰にも売れないのです。そのターゲティングを行う際、ターゲットを選ぶ基準として特に大事なことが3点あります。

市場が十分に大きいかどうか、競合優位性が高いか、価値の感じてもらえやすいかの3点です。最低限でもこれらを確認してからターゲティングしましょう。

差別化とは


差別化とは、競合にない価値、高い価値を提供して自社の商品を選んでもらえるようにすることをいいます。その差別化の方法は「手軽軸」「商品軸」「密着軸」の3つです。

手軽軸


まず手軽軸とは、価格安さ、早さ、便利さを求めている顧客を狙った差別化戦略のことをいいます。吉野家を例にあげるとわかりやすいです。

吉野家を利用する利点を想像してみてください。価格が安くて商品提供が早いことの2点をイメージしてもらえたと思います。

またもし吉野家が自宅の近くにあれば、お店の近さが手軽軸の1つである便利さを満たしているともいえます。

商品軸


商品軸とは最新技術、最高品質を求めている顧客を狙った差別化戦略のことです。最新技術の具体例としては、新しい機能が搭載されたパソコンなどがあげられます。最高品質とは、サービスや素材の良さなどがこれに該当します。

密着軸


密着軸とは顧客に密着することで差別化する戦略です。「行きつけのお店」を想像するとわかりやすいと思います。

自分の好みを知っていて味付けを調節してくれるようなお店、こちらの名前を覚えてくれてフレンドリーに話しかけてくれるお店などが具体例として考えられます。

差別化戦略の注意点


3つの差別化戦略を紹介しましたが、注意点があります。それは必ず1つに絞るということです。ヒト、モノ、カネは有限であり、3つを完璧にするのは現実的に不可能と断言できます。そのため、差別化戦略を実行する際は、必ず1つに絞りましょう。

とはいえ、実行する戦略以外も完全に手を抜いていいわけではありません。残り2つの戦略についても平均は保つようにしてください。

4Pとは


顧客に価値を提供してお金をいただくための具体的な手段、価値を現実化するものが「4P」です。その4Pとはproduct(製品・サービス)、promotion(広告・販促)、price(価格)、place(流通・チャネル)のことをいいます。

product(製品・サービス)の役割


product(製品・サービス)の役割は顧客の価値を実現することです。productそのものは目的ではなく、あくまで価値の実現をするための手段に過ぎません。

ドリルを例にあげてみましょう。ドリルを買うだけでは顧客の価値は実現しません。穴を開けてはじめて顧客の価値が実現したといえるのです。

promotion(広告・販促)の役割


promotion(広告・販促)の役割は製品・サービスの価値を顧客に伝えることです。買ったことのない人に、この商品良さそう、凄そうなどと感じてもらうことが大事になります。

そのpromotionですが分解してみると「広告媒体」と「メッセージ」の2つに分けることができます。

広告媒体とは広告を載せる場所で、メッセージとは、広告で伝えたい内容です。ターゲットの目につく場所に掲載し、ターゲットに合わせた言葉選びが重要となります。

price(価格)の役割


price(価格)の役割は顧客からいただく直接的な対価を示すことです。顧客が感じる価値が価格を上回らなければ、製品・サービスは売れません。

顧客は、あくまでも価値の対価として、価格が高いか安いかを判断します。
言うまでもないかもしれませんが、この価格こそが商品が売れるかどうかを大きく左右します。

place(流通・チャネル)の役割


place(流通・チャネル)には実際に顧客に価値を届ける経路としての役割があります。加えてどこで売るのかという意味も含まれています。

価値を届ける具体的な経路をあげると、店舗、営業パーソン、販社・代理店、自動販売機、通信販売などがあります。

まとめ


今回は、【名著】「ドリルを売るには穴を売れ」から学ぶマーケティングの基礎4選ということで、本書で書かれているマーケティング基礎を紹介しました。

「ベネフィット」「セグメンテーションとターゲティング」「差別化」「4P」の基礎知識とその重要性を理解していただけたでしょうか。

実際の本では、概念を説明と同時進行で物語が進んでいくため、より具体的で納得感を持って読み進めることができます。少しでも気になった方はぜひ買って実際に読んでみることをおすすめします。


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