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解像度と愛とおやすみと
今日は違うテーマで書こうと思っていたのだが、夜の出来事によって気が変わってしまった。
そういう日はたまにある。ちなみに今日は本当は「お返し禁止令」という内容で書くつもりだった。近日中にそれについても書く予定だ。
今宵は3人での会食だった。会食とはいっても、完全に仕事ではなく、かといってプライベートとも違うような、そういった会だった。独立して仕事をしていると、そういう機会がままある。
素敵な夜だった。とある業界の人ふたりと一緒だった。かなり長いことお店にいたが、とにかく話が尽きなかった。
そのうちのひとりは、その業界では知らない人がいないほど有名な方だった。ただ、だからといって「大御所」とか「重鎮」とか、そういった呼び方が当てはまるタイプではない。どこまでもプレイヤーで、素朴な印象を与える方なのだ。“偉そうな”呼び名は全く似合わない。もちろん、すごい人なのだが。
会がお開きになったのは夜11時過ぎ。その後各々が各々の帰路についた。ひとりになった私は、乗り換え電車を待ちながら、その人のどういった点が「すごい」という印象につながるのかをつらつらと考えていた。
待っていた電車がホームに入ってくる時に、私はその答えを閃いた。
「解像度が高いのに、懐が深い」ところだ。
いつの頃からか、「解像度」という言葉を多用するようになった。業界やプロダクトに対してどこまで細かいところまで把握することができているか、という主旨で使っている。
自分の扱うプロダクトや業界に対してどれだけ高い解像度を持っているか、ということが、特にものづくりや小売に携わっている人にとっては重要だと思う。フレグランス業界は、どうにも香りに対しての解像度が低い人が多いように私には感じられてならない。それがこの業界がイマイチ成長しきれないひとつの大きな要因であるように考えているのだが、実際のところはどうなのだろうか。
通常、解像度が上がっていくと、「いい」という評価を下せるプロダクトは減ってくるはずである。それまで見えていなかった“アラ”が目についてしまって、「いい」と感じられなくなるからだ。本来のものの作り手のあるべき姿は、解像度を高めていった先にその人なりの「いい」を詰め込んだプロダクトを生み出す、ということなのだろうが、そうなっていない現状がある…というのはまた別のところで。
ただ、今日会ったその人は、そのプロダクトや業界に対して誰よりも高い解像度を持ちながらも、多くのものに対して「いい」という判断を下せるように私の目にはうつった。それができる背景には、粗探しではなく、いいところを見つけてそこをしっかり評価するスタンスがあるのだと思う。私はそこに、その方の「懐の深さ」を見出した。
愛があるのだ。長年その業界に携わりながら、悪いことも含めて色々な出来事を見てきたはずだが、根底にはそのプロダクトに対する揺るぎない愛が流れている。それゆえに、ぶれない判断を下すことができ、その人自体も周りから、そして業界から愛されるのだ。
ものに携わる人間としてのあるべき姿を見せてもらえた。私自身も、まだまだそこには到達していない。これから時間をかけて、その高みを目指していこうと思う。
ものに携わるようになったことで、ごく稀ではあるがこういった素晴らしい出会いを享受することができるようになった。私自身もどちらかというとものが好きな人間ではあると思うが、まだその解像度と愛の量は十分ではないことを思い知った。
私が持っていない解像度と愛でプロダクトを見ている人は、資本主義的な力学が強く働くようになってしまったこのものづくりの世界において、一縷の希望の光であるように思われる。私ももっと解像度を高め、愛することを学ぼうと思った、そんな夜だった。
仙台での1週間のポップアップ明けで、疲労と睡魔の中での会食だったが、会食中はその楽しさゆえにフルスロットルだった。その反動もあって、今はもう眠くて眠くてしょうがない。なんとか今日の私の感動を記事にしようとしているが、そろそろ力尽きそうだ。
いずれにしても…あれ、何書こうとしたんだっけ…
まぁ、いいや。みんなも解像度と愛だよ!わかった?
おやすみ!
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