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パリの面影

この記事がもし投稿されているのなら、私は無事にパリ、あるいはフランクフルトに着いたことになる。

羽田空港に向かうバスの中でこの記事を書き始めた。できれば飛行機に乗る前に書き上げたいところだが、間に合うだろうか。

お昼頃出るルフトハンザ航空のフランクフルト経由便でパリへと向かう。トランジットがタイトだが、早速フランクフルトまでの飛行機の遅れが発表された。どうなることやら。


パリに向かうのは今年に入ってすでに3度目となる。あれこれとパリでやることが増えてきた。特に香り制作の依頼が以前少しずつ入り始めたのはいいことだと感じている。自分のブランドの香り作りとはまた違ったアプローチに、大きなやりがいを感じることができている。


満席だったバスが、第一、第二ターミナルでほとんどの人が下車し、第三ターミナルに向かう車内に残されたのは私とカップルが1組だけだった。


ブランドを立ち上げて3年半経った今、いつの間にか「デザイナー」という肩書きが板についてきたように感じている。当初は自分の立場をうまく認識することができなかったが、お客さんとの交流やデザイナー仲間との対話を通して、今では自らがデザイナーである認識をしっかりと持っている。

それはきっと、いいことなのだろう。


第三ターミナルに向かうバスの中、私はパリに住んでいた頃に仲良くしていた、パリで活躍する日本人デザイナーたちのことを思い出してみた。

彼ら彼女らは、今私が仲良くしている日本で活動しているデザイナーたちとは少し質の異なる“繊細さ”を持ち合わせていた。その差がどこからくるのかはよくわからないが、私はどちらの側により近いのだろう。クリエーションに関することはほぼ全てパリで行っているから、パリにいるデザイナー寄りなのだろうか。ハイブリッド型なのだろうか。あるいは、もう私にはパリの面影は残っていないのかもしれない。


チェックインカウンターに到着すると、フランクフルト行きのフライドの遅延が告げられた。それに伴い、フランクフルトからパリにいく飛行機に間に合わない可能性が高いとのことだった。幸いなことに、当初の便の1時間半後にフランクフルトを飛ぶ飛行機に空きがあったので、そちらに変更してもらうことにした。パリの家に着く頃には日付が変わってしまっていることだろうが、遅れて空港で一夜を過ごす羽目になるよりもましだ。


日本に居住を移して2年が経った。この間、パリには10回近く戻っているはずだが、私の中にパリはどれほど残っているのだろう。そもそも私にとって、パリは「戻る」場所なのだろうか?「行く」場所になってはいないだろうか。


羽田空港にはçanomaの取扱店、KIRI Japan Design Storeがある。保安検査場通過の前に無駄話をしにいくことにした。結果的に無駄話は全く無駄な話にならなかった。いつだっていい友達と言葉を交わすことは大切なことなのだ。


2週間半のパリ滞在は、私には短い。できることが限られる。本当は1ヶ月半ほど滞在していたいが、今の状況を鑑みるとそれは限りなく不可能に近い。

私はいつか、また海外に住むことがあるだろうか。


手荷物検査、出国審査を無事に終え、つけ麺を食べて、今私は飛行機に乗り込むのを待っている。

目が覚めたらフランクフルト、なんてことはないかなぁ。この長い道のりが、少しでも短く感じられますように。


…と、ここまで書いて私は飛行機に乗り込んだ。今フランクフルト空港でEU圏内に入る審査待ちだ。飛行機内でのあれこれは、次のnoteで。

とりあえず、無事にフランクフルトに着きました。


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