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思い出されること

余命宣告、40日の介護生活、母の死、火葬…「非日常」に位置付けられるものが嵐のように過ぎ去った。

今日は午前中からあちこちでミーティングがあり、人と会っていた。移動中は本を読み、夜は母の介護に携わってくれた人を集めて慰労会を開いた。皆が帰って静寂を取り戻したダイニングデーブルの上で、今私はこのnoteをしたためている。

戻ってきた私の日常は、それはそれで慌ただしい。


今のところ、私は母の死を悲しいものとは受け止めていない。その理由は、まだその実感を持てていないだけだからなのか、それともきちんとお別れができたからなのかはよくわからない。

本を読んでいて素敵な表現に出会ったときに、その文章を母に共有しよう、と思うが、その時に「あ、そうか、彼女はもういないんだ」と現実に呼び戻される。ここ数日で何度かこういったことがあったが、だからといってそれが原因で悲しみが私を襲うことはない。


そんな中、介護生活に関してしばしば思い出されることが2つある。


1つは痴呆が見られるようになり始めた頃の母の、「裕太は私の子供であり、パートナーであり、そして私の全て」という言葉。

彼女は私を、単純な「親と子」という枠組を超越して、ひとつの人格として捉えてくれていた、ということを悟った一言だった。私たちの関係の構成要素における「尊敬」の占める割合の大きさを物語っている言葉だと思う。


もう1つは、死ぬ直前の数時間に彼女が見せた「命の煌めき」だ。

彼女が息を引き取るまでの6時間ほどを、私は彼女のそばで過ごした。そしてそこで何が起こるのかをじっくり観察していた。

下顎呼吸の開始、脈拍の急激な上昇からの下降、呼吸の低下、そして停止、最後に脈拍の停止…これら一連の流れを見て、私が感じたのは、「人は簡単には死ねない」ということ。

母の余命宣告を受けて、医者の友人何人かに「どのように人は死ぬのか?人が死ぬトリガーはなんなのか?」という質問を投げかけた。

納得する答えを持っていた人はおらず、皆一様に「そういわれるとなぜかというのはよくわからない」という回答を返してきた。

死にゆく母を目の当たりにしたところで、上記の質問に対する明確な答えを得られたわけではないが、その人の意思に関わらず、人体は死に対して必死の抵抗をすることはとてもよく理解ができた。

人は、死が目前に迫っているときに、どうにかして生きようとするのだ。

私はそこに、「命の煌めき」を見出した。最期の最後まで生きようとするその姿にこそ、命というものの本質的な部分が現れているように感じた。


「裕太は私の子供であり、パートナーであり、そして私の全て」という言葉を口にした時の母の表情と、下顎呼吸となりながらも懸命に生を繋げようとする母の姿が、今でも頻繁に思い出される。それらはそれぞれ、母の精神と肉体を、よく象徴しているように思う。

どちらもそれぞれ、美しく、そして尊いものである。


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