企業文化はプロセスに宿る
「一貫した企業文化は成果をプロセス自身にフィードバックし続けることで発展する」
当社のように長期的に大きな課題解決を目指し続ける企業にとっては採用候補者と企業文化とのフィットは非常に重要と考えています。
なぜなら長期的に大きな課題解決を実現するために従業員は企業理念を信じ、MVVに共感し、そしてその企業文化の中で長期的に仲間たちと力を合わせてバリューを発揮し続ける必要があるからです。
企業理念やMVVはトップダウンで明文化することができますが、企業文化とは何なのでしょうか?
そんな企業文化に対する考え方をものレボ株式会社のCEO細井が綴ります。
なぜ企業文化に着目したのか
当社は2022年8月時点で国内9名ベトナム11名のスタートアップです。
今までの採用はその時々できっちり選考をしていましたが、全員が定着するわけではなかったです。
大体は採用直後にミスマッチにお互い気づくパターンなので選考段階でお互いがミスマッチに気が付けるようにしたいと考えました。
採用候補者に対して自社の魅力や特徴を伝えるためのフレームワークに4Pというものがあります。
それを私独自に解釈したのが下記です。
Philosophy(企業理念とMVV)
People(企業文化)
Profession(責任:業務内容と求められるアウトプット)
Privilege(権利:従業員に与えられる特別な待遇)
個人的には以上の4つのPは以下の2ステップで生まれていくと考えています。
Philosphy(企業理念とMVV)がPeople(企業文化)を作る
People(企業文化)がProfession(責任:業務内容と求められるアウトプット)とPrivilege(権利:従業員に与えられる特別な待遇)を作る
候補者にとっては目に見える”責任と権利”が分かりやすいほど自身にとってその会社で働くことが魅力的かどうかを簡単に評価することができます。
そこで、一貫した独自性のある明確な”責任と権利”を打ち出すことができれば採用における差別化やミスマッチはかなり防げるのではないかと考えました。
実際、採用が上手い企業は一貫したストーリーテリングが優れており独自性を上手く表現できていると思います。
当社でも一貫した独自性のある明確な”責任と権利”を打ち出すために、”責任と権利”を作り出す”企業文化”に着目しそれを強化していく必要があると考えました。
ものレボが考える企業文化とは
まず文化という意味を調べました。(子供用の国語辞典でw)
企業文化でいうところの文化というものは明らかに②。
企業内においては"人間の精神の働き"というのは目的を達成するためのプロセスを考え抜くこと、"それによって築かれたもの"というのは考え抜いたプロセスを実行することによって築かれた成果物(プロセスからのアウトプットとプロセス改善のためのフィードバック)の総体=企業文化と言い換えることができます。
成果物(プロセスからのアウトプットとプロセス改善のためのフィードバック)を一貫して積み上げたものが企業文化だとすると、企業文化が独自性をもって一貫した発展をしていくには精神の働き(目的を達成するためのプロセスを考え抜く)が自己フィードバックを繰り返し発展していくことが重要と言えます。
例として私がサラリーマン時代に働いた職場ではプロセスの自己フィードバックによる独自の企業文化が発展していました。
それは本などでトヨタ式と総称されているものです。
カイゼン(改善)という言葉を世界に広めたトヨタグループの人たちはまさに目的を達成するプロセスを考え抜き、その成果をプロセスにフィードバックし徹底的にプロセスを磨き上げてきました。結果、なぜなぜを五回繰り返す、A4一枚でまとめる、自工程完結、ムダの徹底排除、などといった素晴らしい企業文化が生まれたと思っています。
世界に誇れる”トヨタ生産方式”もその集大成です。
つまり一貫した企業文化を発展させるためには求められる成果に対するプロセスを考え抜くことと、プロセスを実行した結果からのプロセスへのフィードバックをし続けることが非常に重要といえます。
企業文化を発展させるには
では、具体的に一貫した企業文化を発展させるために社内で取り組むべきことは何でしょう。
それは上司と部下の間のプロセスレビューを徹底することです。
プロセスレビューでレビューするのは目的(Why)とプロセス(How)です。
目的(Why)は上司から伝えることもあれば部下の訓練のために部下が確認することもあるでしょう。
プロセス(How)とは目的を実現するための考え方・コンセプトといった抽象的なことから少し具体的な方向性といった内容を含みます。
個人的にはプロセスが一番重要と考えてます。プロセスこそが一貫した企業文化を体現する場であると考えるからです。
上司は自身の経験からプロセスについての考えがあるでしょうし、部下は自身の個性を最大限発揮できるのがプロセスです。
これらをすり合わせるコミュニケーションの場は双方にとって気持ち良いのが常です。
これを体現するのがプロセスレビューです。
逆にプロセスレビューを怠ると不協和音や時間のムダを生み出します。
プロセスレビューの先には上司と部下の間で目的とプロセスのコンセンサスがとれた状態があります。
この状態では部下は自信をもって主体的にプロセスを実行できます。
そしてアウトプットをします。
アウトプットももちろんレビューの対象です。
アウトプットレビューの目的はプロセスへのフィードバック。
上司と部下は目的に対するアウトプットをレビューして建設的にプロセスへのフィードバックが行うことが重要です。
このフィールドバックを通じてプロセスは過去培ってきたものの延長として新しいものへと発展していきます。
つまりプロセスとそのアウトプット両方をレビューしプロセスを改善し続けることによって一貫した企業文化が発展するというのが我々の考えです。
ここまではすべて私が前職で体験したこととものレボで感じたことをベースで話しています。
企業文化と従業員とのフィット
プロセスレビューでのコミュニケーションはその会社の仕事の進め方に対する考え方でありスタンスです。つまり従業員や採用候補者はここから各メンバーが仕事を通じて育んできた企業文化を感じとることができます。
転職者が新しい職場に入って期待されたバリューを最短で発揮するにはプロセスレビューは必ずやった方がよいと思います。
なぜなら転職者に期待されているバリューを発揮するためのタスクに対するプロセスには会社独自の様式があるからです。
この様式や求められるレベル感が合わないと自身の成長に繋がらないと思います。逆にこの様式もレベル感も合えば最高の自己実現の場になるでしょう。
会社のレベルは従業員のレベルでもあるということです。
企業も従業員も「企業文化はプロセスに宿る」ということを意識した上で、企業の成功と従業員の自己実現が同じレベルでフィットするかを見極めることが大事と思います。
ものレボの価値観と企業文化への反映
ものレボは人類の繁栄にインパクトのある貢献をすることを目的に存在します。それは歴史に残るような偉業を永遠に成し遂げ続けることです。
そんなものレボの理念に書かれている指針に技術(Be innovative)というものがあります。
技術とはソフトウェアのことだけでなく、再現性のあるアウトプットをするためのプロセスすべてです。
つまりものレボではものレボ独自のザ・モデル、マーケティング、セールス、カスタマーサクセス、ソフトウェア開発、採用、教育すべてに独自の技術開発を求めています。
そして技術開発の目的は会社のミッション「未来のサプライチェーンをつくる」を実現することです。
今現在(2022年8月)の我々のミッションは航空宇宙産業などの少量多品種の部品を共有するサプライチェーンを構築することです。その先には火星や月や別の恒星系に人類が足を踏み入れることを支えるためのインターステラーサプライチェーン(星間生命線)を構築することになるでしょう。
では技術開発のプロセスの方向付けは何か。
ものレボでは価値観に沿ったプロセスを求めます。
プロセスレビューのゴールはプロセスがこの価値観を体現している状態をつくることです。
ものレボではプロセスレビューというアクションを強化していき独自の一貫した企業文化を発展させていきます。