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🍥燻製ナッツタルト🍥



ドイツ語で、トルテ。
イタリア語では、トルタ。
そして、フランス語で、タルト。

ついつい並べたてては繰り返し言いたくなる。

トルテトルタタルトトルテトルタタルトトルテトルタタルトトルテトルタタルトトルテトルタタルトトルテトル


ドラムの反復練習にうってつけだ。
もしくはうしこく、鏡に向かって唱え何かに憑かれるのにもちょうど良い。

タルト憑きはさて置いて、とりわけイタリアの語感が好きな私は、

Torta di nociナッツのタルト
トルタ・ディ・ノーチェ

と、口に出してはニタニタと悦に入っている。

しかし、厳密に言うと、トルタとは焼いた生地にフィリングを加えて更に焼く「二度焼き」となったもので、乱暴にたとえれば「食える器」といった硬いものを指すようだ。

日本人に馴染み深いタルト、つまり、焼けていない状態の生地にフィリングを加えてともに焼き、さっくりと食べられる状態のものを、クロスタータという。

上記を踏まえて「燻製ナッツタルト」を翻訳すると、

Crostata di noci affumicate燻製ナッツタルト

クロスタータ・ディ・ノーチェ・アフミカータ


といったところか。鼻から脳髄のうずいがボンジョールノしてしまうほど素敵な響きだ。

しかし、鼻からボンジョった髄液をみて、皆が一様にマンマミーアするも、クロスターターディノーチェアフミカータをボナペティったらネッスンプログレーマでなのである。


おっと、不正確で気色の悪いイタリア語講座はここまでにしておこう。

サクラにヒノキを少々加えて
強烈に香り付けしていく



キャラメルに包まれても香りが埋没しないように、個性の強い燻材で煙をまとわせる。たっぷりとピートを加えるのもありかもしれない。

煙を浴びて
どこか大人びた表情のバター


生地とフィリングに使うバターは溶けぬように冷燻にかけていく。
狂おしいほどに面倒だが、私は煙属性スモーカーだ。

燻製をせずにはいられない。

室伏広治がハンマーを手にしたら、誰よりも遠くへ投擲とうてきせずにはいられないようにだ。

ジャンケンにフィジカルを持ち込む
室伏広治氏


この状態の室伏広治氏に突如としてジャンケンを挑まれたら、すみやかにチョキを出してこうべを垂れるほかに生き延びる道はない。彼のグーパーでどうにかなる段階をとうの昔に超えているからだ。

ハンマーは飛んだが話は逸れてしまった。史上最強ムロフシは置いておこう。


燻製バター、卵、小麦粉、砂糖で生地を作る
生地を寝かせ、軽く焼く

燻製バター、生クリーム、砂糖、蜂蜜
上記材料をキャラメル状に煮詰める
燻製ナッツを加え混ぜる
生地に流し込み、再び焼く

一身上の都合により面倒くさいので分量や時間は割愛したが、上記がざっくりとした工程だ。あとはググって玄人プロたちのレシピを参考に思う存分タルトを焼くがいい。

彩とアクセントにかぼちゃの種を散らす
俯瞰ふかんでタルトに情念を散らす
切り分けた情念


なんて美味いんだ…

サクッと軽い生地に濃厚なフィリング、各種ナッツの多様な歯応えと味わい。そして、漂う煙スモーキー

欲望のままにナッツとフィリングの量を倍増させたのが功を奏したのか、マッシブな喜びとカロリーが身体中を駆け巡る。

血糖値の急激な上昇で、すさまじい眠気が襲ってきた。

妻よ、もしも私がこのまま目を醒まさずに逝ったら、私とフィリングで棺桶タルトを満たしてこんがりと焼い荼毘に付してくれ。

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