『その企画は、本気でやりたい1案なのか。』【言葉の企画vol.1】

先輩コピーライターの阿部広太郎さんが主宰する、
企画メシのスピンオフ講座『言葉の企画2019』
その受講生である後輩コピーライターの近藤
講座で学んだことを書いていきます。
阿部さんの名言を挟みつつ。

 第1回のnoteテーマは
「その企画は、本気でやりたい1案なのか」です。
通えなかった人、検討している人へ、
少しでも雰囲気が伝わればと思います。

1案も通らなかった新人時代を思い出した

2015年、コピーライター2年目。
会社で企画が1つも通らなかった自分は、
コピーライター養成講座『先輩コース』のプレゼン現場にいました。
そのとき、出された課題に対して3案を提案したのです。

「こういうA方向もあります、B方向もありますかね、
 もちろんC方向もありだと思います。」

こんな歯切れの悪い話し方をしたと思う。
とはいえ内容はまずまずかなと思い、講評を待つ。
その時、講師の阿部広太郎さんに言われた言葉が、
今でもはっきりと残っている。

「その企画、本気でやりたいと思ってる?」
「自信がないから、案の数もページ数も多いんじゃないかな。」

ハッとした。
とにかくたくさんの案を持っていかないと。
誰よりも多くの案を出さないとと勝手に思っていた自分に、
これほど大きな言葉はありませんでした。

阿部さんと共に、話を聞いていたクライアントも、
こう言葉を続ける。

最初はいいかなと思っていたけど、
いろいろと話が膨らむうちに、
本当にこの人に任せていいのかなって考えてしまいました。

そうかプレゼンは、企画書は、
相手のことを徹底的に考え抜いて、
自分が本気でやりたいことを持っていくものなのだと。
本気じゃない企画を見せられることほど大変なことはないのだと。
そんな当たり前に気がついてから、仕事の仕方が変わりました。

「企画書もいらない関係になることが、最高の関係。そのために、僕は企画書を書いている。」ー阿部広太郎

言葉の企画2019のプレゼンの舞台へ

あれから、企画メシ2016、
明日のライターゼミ2期、企画メシ聴講生と、
阿部さんの講座に通い続けて4年、
言葉の企画2019がはじまりました。
受講生は71人。その熱量に圧倒されっぱなしの3時間。
さて、そんな記念すべき第1回の課題は2つ。

第1回課題
その1『伝えるのではなく「伝わる」ように、あなたの自己紹介を1枚のスライドにまとめてください。』
その2『「言葉の企画」第一回目の時間に出来る、一生忘れられない経験を企画してください。』

みなさんなら、どんな企画を考えますか?

どちらもターゲットは自分。
いつもと違う課題に、少し不安になりました。

『一生忘れられない経験』のアイデアが全然出てこない。
気づくと、不安のあまりたくさんの言葉、たくさんの案。
時間もないなと、企画書をだらだらとまとめはじめると、
ふと、また阿部さんの言葉がよぎりました。

「その企画、本気でやりたいと思ってる?」
「自信がないから、案の数もページ数も多いんじゃないかな。」
➖阿部広太郎

はい、その通りです。
もっと考えよう。
本気でやりたいと思える企画にするまで。

切り口を変えないと、案は似てくる。

最初のころ考えていたのは、
忘れられない経験=式典、プロポーズ、みんなの共同作業
という発想から生まれていたアイデアばかりでした。

・みんなで合唱する、合唱コンクールのように。指揮者は阿部さん。
・遠足する みなとみらいで青空教室
・大人になって久しぶりに子供の遊びをする 
・入学式or卒業式をする
・71人vs阿部さんの構図で戦うor抱き合う(平賀さんとハグ?) 

この辺りで、どれにしようと悩んでいたのですが、
のちほど全員分の課題が共有されてとても驚きました。

【言葉の企画の教訓】
すぐに思いつく案はみんなも思いつく案

71人の企画書を見た時に、
ここに書かれていることと同じ企画を書いている人がたくさんいました。
・告白 ・ラブレター ・校歌を作る ・ライバル宣言(お互いにという案でしたが) ・式典をする その他
自分の過去の経験を思い出して、
忘れられない経験から考えついた企画はかぶってしまう。
実際に、自分もそれ考えたよ!という会話がちらほら。
あらためて、徹底的に誰よりも考え抜くことを意識しようと思いました。

課題を再定義すると、他の人と企画が被らない。

<課題の再定義>
一生忘れられない経験=その日を境に、日常が少し変わってしまうこと

その日に記憶に残るインパクトのあることをする、
という戦い方ではなく、その日をきっかけに毎日が変わる
という切り口で戦ってみる。
最後の一晩考え抜いて、これで行こうとまとめることができました。
これなら、本気でやりたいと思える企画だと。

それで決めた案が、「氏名単語づくり」でした。

<途中省略>

なんやねんこれ、というタイトルですが、
自分の名前の意味を、新たにつける日にするという企画です。
親からつけてもらった名前に、新たに意味を自分でつける。
なんとなく作業で名前を書く毎日を、
この日を境に、ちょっとだけ変えることができたら。
そんな企画です。

寄り道せず、この道が絶対良いのだと突き進む企画書は
たくさんの企画書のなかでも目立つのだと思いました。

結果、自己紹介と、忘れられない企画のどちらも
全員で投票を行ったのですが、
どちらも1位をとることができました。

投票してくださった方々、本当にありがとうございました。
(ちなみに近藤は、立山さんの企画を見た瞬間にこれだと思いメッセージを送ってしまいました。立山さんの企画は、実現に向けて進行中です。)

自分の企画書の1ページ目に書かれた阿部さんからの赤字。
2015年、凄まじくダメ出しをされたあの頃の自分が見たら、
どんなことを考えるんだろうと、少しだけ立ち止まりました。

でもきっと、次回また厳し目なコメントを書かれるので、
喜ぶのは今だけにしておきます。

企画タイトルで、勝敗の8割は決まる。

上位に食い込んだ企画は、企画のタイトルがよかった。

1位『氏名単語づくり』近藤
2位『ことばの日をつくろう』立山さん
3位『こどもに帰ろう』しんみさん
企画のタイトルは、世に出た時の顔。
すべてを見終えた後に、なんという言葉で記憶に残せていられるか。
自分の企画を、何と呼んでほしいのか。
つまりは企画内容の詰めの部分ですが、
ここのもう一踏ん張りで決まったような、そんな気がしました。

とはいえ、氏名単語づくりって、なんかワクワクしないなと今でも悩んでいます。もっといいタイトルがあったはず。後悔です。

みんなと同じことを書かない
表紙のタイトルから心を掴む 
当たり前のことを書かない。ー阿部広太郎
1ページに1つの役割がある。
だらだら枚数を重ねない。 
足し算してから思い切り引き算。
ドレスを一枚ずつ脱がせていくように、
ワクワクがあるように書く。ー阿部広太郎

果たして、これだけ言っていて、
今後、良い企画を作れるのかどうか、
まったく自信がありません。
次回も、良いアイデアが考えられる人になりたいなと思います。


今回、感じたことは、阿部さんの圧倒的な熱量です。
一番成長しているのは、間違いなく阿部さんだと思いました。
我々に3時間の熱い講義をした後に、
阿部さんは企画メシの講義へと臨んでいました。
いったい、その熱量と体力はどこから湧いてくるのでしょう。
教えてください。

つづく

#言葉の企画

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