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第10回:たった一人を熱狂させる/選択するストレス

こんにちは、株式会社TO YOUの岩下です。

第1回から第4回で「たった一人を熱狂させる」という弊社コンセプトと渋谷・神泉で営業しているセレクトショップR for Dにどう落とし込んでいったのか、という全体像をお話してきました。

第1回:たった一人を熱狂させる
第2回:たった一人を熱狂させる/R for Dの場合
第3回:たった一人を熱狂させる/R for Dの仕組み(前編)
第4回:たった一人を熱狂させる/R for Dの仕組み(後編)

第5回目では私の自己紹介もしましたので、第6回以降はもう少しディテールに注目してミクロに切り分けたテーマを取り扱っていきたいと思います。
テーマ設定は気まぐれです。

せっかくなので続けたいなと思っていますが、どこまで持つのか。
毎日1つ文章を書くことを続けるというのは結構大変なことなのだと毎日感じます。でもやっぱり反応をいただけると頑張れる気がするので、ぜひスキやフォローなどお願いします。

第10回のテーマは「選択するストレス」です。

選択肢は多い方がいいに決まってるじゃないか。
それについてあまり考えないで生きてきたので、漠然とそう思っていました。

今日の夕ご飯は何にしようか、という時にお金がないからもやししか買えないよという状況よりはハンバーガーでもピザでも寿司でももやしでも好きなもの食べたらいいよという状況の方がいいじゃないか。そう短絡的に思っていました。

今日の夕ご飯だけではありません。眠いけどもう起きるのかどうか、傘を持って出かけるかどうか、歯磨きを1日何回するのか、コーヒーを飲もうかどうか、今日はどの服を着ようか、今日のビールはこれくらいにしておこうと止めるかどうか、エルメスで普段着を買うかどうか、会社の命運を左右する投資をするかどうか、売り手優位な労働市場でどこに就職するのか、老舗の和菓子屋の実家を継ぐのかどうか。あらゆる所に選択は潜んでいます。

ほぼ誰にでも与えられている選択肢もあれば、現実的に選択する力(権限やお金、労働力そのほか)を持っている人にしか与えられない選択肢もいくらでもあります。

それなら選択肢が多い方が有利だし、恵まれているってことじゃないのか。

いやしかし、選択肢が多くある中から選択するということは、それによって自分の価値観やセンスを表明するということでもあります。その選択によって尊敬されるのか、罵倒されるのか、失敗するのか、成功するのか、結果は自分の選択次第で大きく変わりやすく、その結果は周囲からも見えやすい。

例えば学校で全員が決められた制服を着ていれば、服装のセンスをどうこう評価される機会はほとんどありませんが、私服の学校はある意味シビアです。

そう考えると、選択はそれ自体ストレスにもなり得ます。加えて、選択をするためには情報を集め、整理し、優先順位を考えて、と時間もかかるプロセスです。

きっとだからセレクトショップという業態があり、お店には店員さんがいて、オススメを紹介するという仕事にニーズがあるということなのだと思います。
餅は餅屋。そのコアになる付加価値は一定以上の選択の質を担保し、選択の時間を節約できるということ。

選択はストレスなのです。
ではそのストレスは全くないほうがいいものなのでしょうか。

そうとも言い切れないように思います。
筋肉に負荷をかけなければ、筋肉は強く大きくはならないように、適度なストレスは人を変化させるチャンスをもたらします。

その点、R for Dはセレクトショップと言っている割には選択のストレスが大きい状態になっているように思います。
約60坪の敷地には洋服が所狭しと置かれています。1000着ぐらいはあるでしょうか。
そこに並んでいるのは、聞いたことのないブランドの服ばかり(並んでいる服を見て一つもブランドを知らないというお客さまも多いのでお気になさらず)。
ギラギラした目の売上に飢えたスタッフがすぐさまお客さまに声をかけようと狙っているわけでもなく、どちらかと言えばお好きにご覧くださいというスタンスです。
試着室もたっぷりと広いので5着、10着の試着もお気兼ねなくお使いいただけます。

これでいいのか、お客さまに選択のストレスを与えすぎなのではないか。
弊社代表の近藤は服が好きすぎて感覚がとち狂っていて、この選択のストレスに気づいていないのではないか。
そう思う日もありますが、今はこれでいいのだと信じてやっています。

現在この方針について私が持っている仮説は以下の通りです。

強い選択のストレスにあえてお客さまをさらし、そこを乗り越えてこれこそ自分のための服だと思える1着を見つけた時の大きな快感をお客さまに体験してもらうための顧客体験の場が今必要とされている。

R for Dはドラゴンボールでいうところの精神と時の部屋です。適度な過負荷(矛盾)でお客さまを新しい世界線に誘う異空間なのです。服好きが集ってわざわざ修行しに来るところで、時間をかけて膨大な選択肢を吟味し、大きな試着室で納得いくまで試着を重ね、時々スタッフや友だちの意見も聞きながら、ゆっくりと時間をかけて、選択のストレスと、自分自身と向き合う場所です。そしてとうとうR for Dとスタンプを押された茶色い紙袋を持ってそこを出るときには、いつもの街が違って見える、自分自身も少し変わった気がする。疲労と充実感とでお腹が空いてきたから神泉で美味しいご飯でも食べて帰ろうか(たくさんあります)。そんな場所にしていきたいと思っています。

こうやって買ってからだけでなく買うまでのプロセスも含めて、ファッションや洋服の楽しさを知ってもらうことが「たった一人を熱狂させる」をR for Dで実現させる一番の近道ではないか感じています。

今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

株式会社TO YOUでは、それぞれの「たった一人を熱狂させる」を実現したいビジネスパートナーを募集しています。
ファッション業界でも、そうでなくても、どちらでも大丈夫です。
私たちはより多くの人が熱狂を形にできる社会がいい社会であると考えています。

あなたの熱狂を私たちに教えてください。そして一緒に実行しましょう。
反対の場合もあるかもしれません。
ビジネスのバックグラウンドがあるあなたであれば、そこでどんな熱狂を起こせるのか、私たちにも一緒に考えさせてください。

ご興味をお持ちいただけたら、Twitterのフォロー、DMやメールでのご連絡もお気軽にお願いします。

Twitter: @Iwashitayusuke

Mail: iwashita@deedfashion.com

第1回:たった一人を熱狂させる
第2回:たった一人を熱狂させる/R for Dの場合
第3回:たった一人を熱狂させる/R for Dの仕組み(前編)
第4回:たった一人を熱狂させる/R for Dの仕組み(後編)






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