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アートとインターフェースの融合

最近、ゲーム内でUIがアートと一体化する流れが加速しています。今回は第3弾として、ペルソナと対を成すゼルダの伝説を含めた具体的な事例を紹介していきます。

1. アートとUIの調和を目指す

ゲームのUIデザインは、アートとシームレスに統合される時代が来ています。ペルソナ5がゲーム業界でUI界隈の憧れの的になってから数年が経ちますが、今にして思うとあそこが大きな転換点だったように感じます。
UIとアートが別々だった時代から、UIそのものがアートの一部になるように変わってきました。
例えば、UIにパースをつけて奥行きを持たせたり、ゲーム内のスマホがそのままMENUになったり、キャラの3Dモデルを起点に空中浮遊のUIや衣装の背中にHPゲージが埋め込まれているなど。
さらに遡ると、バイオハザードのように体力ゲージが画面に表示されず、キャラの動きで表現されるのも、UXがゲームシステムに直結している例と言えるでしょう。

例:ペルソナ5

ペルソナ5のメニュー画面、2Dっぽい3Dキャラが専用で作られていて、その動きがゲームのスタイリッシュなビジュアルと一体化しています。UIがアートの一部としてデザインされており、操作するたびにアートと一体化した体験が得られる最高の例です。
記事はこちら:https://www.famitsu.com/news/201711/13145540.html

2. ゼルダの伝説のUXデザインアプローチ

次に、ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド。こちらは、ペルソナとは対照的に、極力UIを削ぎ落とす方向でアプローチしています。
例えばゲーム内でメニューを開く際、インタラクション系の待機時間が無く、ユーザーの操作に対して即時対応するように設計されています。ウィンドウを表示する際もアニメーションがないので遅延がなく、没入感やリズムを阻害しないUXが追求されています。
ゲームシステムの応答が最小限だからこそ、アクションや探索が本当に自由に感じられる。このシンプルさが、ゼルダの独自の魅力です。
一方で、リンクが端末を操作するシーンではキャラのインタラクションと派手なGUIが登場し、システムと遊びが明確に区別されています。こうすることで、ゲーム内の世界とゲームシステム的な機能の差別化をはっきりさせています。

3. インタラクティブなアート体験

操作しやすいだけじゃなく、アートとUIが一体化して、ボタンやメニューが動的に変わって、環境と溶け込むことでプレイヤーの体験がさらに深くなる。
こういったゲームが評価される流れがきています。
(アストロボットはほとんどインゲームUIが無かった・・・)
ただ、アストロボットやマリオ、カジュアルゲーム等は、ゲームシステムと体験を一対にすることでUIを減らすことができている、という点も忘れてはいけません。
ゲームは同時処理する必要のあるシステムが非常に多いです。
UIはプレイヤーの脳の負担を軽減し、記憶領域を確保する役割も果たしています。
ゲームにおけるUIとは、脳のクラウドのようなものなのです。

4. アートディレクションとUIデザイナーの連携

アートとUIの融合には、アートディレクターとUIデザイナーの緊密な連携が必要です。
大きい組織では、絵が描けるUIデザイナーかアートチームが画面のラフを作り、イラストに起こしてもらい、繋ぎのアニメーションを作ってもらって〜・・・という大量のコストをかけて1個1個のシステムを繋ぎ合わせています。
間にはプランナーやPMが入り、工数とスケジュールも管理しています。
しかし、この橋渡し的な開発だとコミュニケーションコストが膨れ上がるため、アートとUIとアニメーションが直接話しながら開発することも増えてきました。
特に、ゲームサイクルに関わるUIを作る場合はUI側が陣頭指揮を取ることもあり、画角やライティング、キャラの動きなどもUIチームが受け持つことがあります。UX・pdm・アードディレクションという垣根を超えた動きが求められるようになってきています。

ポジティブな点としては、今まで縁の下の力持ちとしていたUIが表に出ることになり、ゲーム開発の上流から大きく舵取りを行うことができるようになったところです。
ゲーム開発をしていく上で、修行とも言えるこの過程をこなし、通しでプレイできるようになった時は快感ですよね!


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