Jリーグの開幕30周年を祝す

昨日、1993年5月15日(土)にサッカーJリーグの公式戦が開幕してから30年目を迎えました。

天皇杯のように高い格式を持つ大会があり、『キャプテン翼』などの人気漫画やテレビアニメもあったとはいえ、実際に行う競技としては学校教育の場や部活動が中心であり、鑑賞の対象としても日本サッカーリーグの観客数はごく限られていたというのが、1992年までの日本のサッカー界の状況でした。

その様な中で発足したJリーグが、実際の試合はもとより、選手の服装や髪形、あるいは華やかな言動が注目を集め、清新な印象とともに多くの人々の関心の対象となったことは、われわれの広く知るところです。

一方で、開幕当初の人気の高まりが一段落するとJリーグ全体の観客数が伸び悩みを示したり、1998年には親会社の経営不振を背景として横浜フリューゲルスが横浜マリノスと合併するなどの苦境に見舞われたことも事実です。

あるいは、リーグ戦の開催形式が頻繁に変更されたことなども、新設リーグならではの出来事であったとはいえ、観客にとって必ずしも分かりやすいものではなかったことも疑い得ないところです。

それでも、紆余曲折を経ながらもJリーグが日本のサッカーのトップリーグとして発展し続け、チーム数の拡張や下部リーグの充実と体系化を進めたことで、サッカーは行う競技としても鑑賞の対象としても現在の日本において重要な地位を占めるに至ったのは、先人の尽力のたまものに他なりません。

このような努力が1998年のFIFAワールドカップフランス大会から7大会連続での出場やJリーグから多くの選手が世界各地のトップリーグに所属しているという成果をもたらしていることは、日本のスポーツ界の発展という点からも実に喜ばしいことです。

何より、女性や子どもも安心して観戦できる環境は世界のサッカー界においても珍しく、Jリーグが誇るべき美点の一つです。

職業としてのサッカー選手を実現し、チーム名に親会社の名称を加えないことで地域の代表としてのスポーツチームという新たなあり方を定着させるなど、Jリーグの30年間の歩みは、日本のスポーツの可能性を広げるものでもありました。

それだけに、これからもJリーグが日本を代表するプロスポーツとして成長することを願います。

<Executive Summary>
Celebrating J League's 30th Anniversary (Yusuke Suzumura)

The 15th May 2023 ist the 30th anniversary of the J League, the Japan's professional soccer league, started on 15th May 1993. On this occasion, we examine its meaning for Japan's soccoer and sports culture.

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