『アーツ前橋×前橋文学館共同企画展 ヒツクリコガツクリコ ことばの生まれる場所』を観た(2017/10/24)
文字や口語等、その時の感情を伝え残す事ができ人が生活している上でとても便利で身近な存在である『ことば』。
時代によって機能やカタチが変化していく『ことば』を文学・美術の表現で幅広く掘り下げていく展覧会。
群馬県前橋市出身の詩人、萩原朔太郎さんが『憔悴するひとのあるく路・夕焼けの路』という未発表作品の中で、夜の街を詩人が歩いていく様子を「ヒツクリコ ガツクリコ」と表現しているところから展覧会タイトルは名付けられたそう。
アーツ前橋と前橋文学館の共同企画展という事で二会場を繋ぐ道に掛けられた擬音語フラッグはどれも面白いデザインで移動時間もとても楽しめた。
早朝に行けば入場料半額になるとのことなので先に前橋文学館の方へ。
前橋文学館は詩作品、詩の朗読映像やアニメーション等で詩の世界を体感する空間になっていて、詩の物語性よりも徹底的に『ことば』だけで出来る表現方法の可能性に着目していて『ことば』そのものの美しさを感じられた。
観て一番驚いたのはコンクリートポエトリーというジャンル。
活字を文にして意味を持たせずに、配置や大きさで情景を指し示していて、活字を徹底的に個として遊ばせている感じが面白かった。
続いてアーツ前橋では地元民参加型、来場者参加型の作品が何点かあり、荒井良二さんと地元の小学生達で作り上げた作品は「午後三時から四時までの間に聴こえてきた音を記録しよう」という宿題を元に作り上げられていた。
日常に溢れるオノマトペ。無音で静けさと騒がしさを可視化していた。
鈴木ヒラクさんの作品は息を呑むよな美しさがあるけれどよくよく間近で観てみると全て点と線で成り立っている。
他にも、耳栓をして壁に額を当てて骨伝導で手紙の朗読を聞くものや、女性限定で両目の写るチェキを撮影して普段感じている不満を書いて貼り付ける物等、来場者が触れる事で完成する作品もあったけれど、『ことば』とはどうして生まれたんだろう。どんな活用ができるだろう。『ことば』にできない感情はどうすればいいんだろう。というような『ことば』にのせている思いや、のせたい思い等を美術表現で補完し、『ことば』を発する"人間"に着目しているように思えた。
『ことば』にできる表現の可能性を見出だし、表現する事のできないどうしようもない限界を知る、『ことば』を改めて見つめ直す事で『ことば』を持つ事の楽しさとはがゆさと切なさを知る展覧会だった。
活字中毒の人に観に行って欲しい。
会場:アーツ前橋・前橋文学館
入場料:700円(前橋文学館で11時前に入場した為350円だった)
期間:2017年10月20日~2018年1月16日
※一部写真撮影可
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