『没後二十年 玉之内満雄展~向日葵に固執した魅惑の世界~』を観た(2017/10/14)
人口10万人に対する美術館数ランキング最下位の埼玉には貴重な、埼玉北部にあるとてものどかな美術館に行ってきた。
玉之内満雄さんは、埼玉県日高市の農家に生まれ、絵の道を極める事を決意し教職を辞め渡仏、そして大宮のアトリエを拠点に活動し、生涯主に枯れた向日葵をモチーフに描いたらしい。
展覧会タイトルに、向日葵に"固執した"という貶し言葉に値するかしないかのボーダーラインな言葉を起用する美術館のセンス、嫌いじゃない。
展示エリアが二つあり、一つ目のエリアには古城と枯れた向日葵や、陶磁器や人形等のアイテムと共に枯れた向日葵を描いた晩年の作品が展示されており、二つ目のエリアには荒廃した船や、牧歌的な山野等、初期の作品が展示されていた。
初期の画風はとても荒々しく、向日葵も完全に枯れたものを描いていたのに対し、晩年はとても繊細なタッチで静まった水面、古城を描いていて、部屋の家具は可愛らしく描かれ、枯れた向日葵の中には綺麗に咲き誇る向日葵が挿されていて儚さとも希望ともとれるような作品になっていた。
この方の画家人生の変遷が一つの作品のように感じられた。
これだけ作風が変わっていると、バンド好きあるあるのように、若い頃の尖った感じが良かったのに…歳とって丸くなって社会に迎合してつまらなくなった…とか言う人も当時はいたんじゃなかろうか。と、どうでも良い考察をしてしまった。まあそういう人はいないか。
向日葵に固執した魅惑の世界、夏が終わりを告げた事をまだ受け入れられない人に観に行って欲しい。
会場:サトエ記念21世紀美術館
入場料:900円
期間:2017年9月30日~2018年3月11日
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