書評 #2|孤狼の血
警察小説に以前から魅了されている。横山秀夫の『64』『第三の時効』、今野敏の『隠蔽捜査』シリーズなどがそれに当たる。犯罪を追う非日常性やそこに内包される謎解きの要素はもちろんのこと、ベールに隠された警察組織の内部を垣間見られること、極端に上意下達のマッチョな環境の下に描かれた人間模様も興味深い。今まで言葉にしたことはなかったが振り返ると、そのような考えに行き着く。柚月裕子の『孤狼の血』も同様だ。この後の文中では作品の核心や結末が示唆されているため、気になる読者は読むのを避け