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【実況する美術鑑賞#53】ルノワール「ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会」【60分で1記事】

・作品を5分鑑賞しながら実況し、文字起こしする。
・15分を目安に作品について調べる。
・必要あれば再度作品をよく見る時間をとる。
・5分で調査の結果なども含めて再度鑑賞実況し、文字起こしする。
・30分を目標に文字起こし内容を編集する。
・上記の作業を1時間で完成させNOTEの記事にする。

・5分の鑑賞で気づいたこと

ルノワールの作品だったと思います。何度か見たことはあるんですが、あまりちゃんと見たことはないですかね・・

「昼下がり」って言葉が似合いそうな絵ですけども、午後の感じですかね。野外でいろんな人が集まって、多くの人はダンスをしている感じかな。ダンスをしている人の顔が絵の鑑賞者、私達の方に意図的に向いてるような気がしますね。

男女が踊ってるので、相手のことを見つめていそうですけども、絵の中で目立つところにいるような人たちは、相手のことよりもどっちかって言うとこっち側・・鑑賞者側に頭が向いてるような感じがあります。

一番主役っぽい、ベンチに腰掛けて肘を突き出しているストライプ柄の女性なんかも、視線的にはこどこを向いているのかなみたいな・・その右側の男性と話してるようなんだけども、その男性のもう少し左側を見てるような感じで、不思議な感じがしますね。

木漏れ日の描写が・・すごく特に絵の真ん中あたりは印象的だったりとか、あとは筆の跡が荒いので、このざわざわした雑踏の感じとかが現れているのも印象的かなって思います。

だから逆に立体感とかはなくて・・さっきのストライプの女性の体とかの立体感とかあんまりないし、あとちょっと分かりにくいんですが、画面中央からちょっと右寄りの木と男性の間に子供の顔みたいなのがあるんですけど、その子供さんの顔がほとんどもう立体感がない描かれ方をしてるみたいなところがあって、より「これは絵だな」っていう感じも印象としては強い・・絵っぽい絵。なんか変な表現ですけれども(笑)そんな感じもします。


画面右側の人たちは、注目してるものが画面の外の右の方にもありそうな視点を送ってますけど・・何か催し物とかをやっているんでしょうか。

木漏れ日とか、あとはシャンデリア・・じゃないですね街灯とか、画面右の方のテーブルの上のガラスの食器とか瓶とか、こういう光を反射するものが画面のいろんなところ、キラキラしてるものがちりばめられていて、賑じやかな感じであったり、喧騒であったり、そういうものを印象づけてますね。

あとやっぱり描かれた人の表情にみんな多幸感があるっていうか、みんな幸せそうだなっていうのも特徴ですよね。なんかあんまり憂いを帯びたりしてる人たちが・・いるように感じられないっていう・・

あ、でもなんかこのちょっと画面左上奥のカップルはちょっと喧嘩してそうな感じもあるかな・・なんかベンチでそっぽを向いてる紺色の服の女性に、男性がなだめようと声をかけようとしているみたいなので、ちょっといざこざでないけども、そういうこともあるのかなあ〜なんて思いました。

・作家と作品


・再び5分の鑑賞で気づいたこと

タイトルの「ムーラン・ド・ラ・ギャレット」っていうのは、パリのモンマルトルにあったダンスホールの名前だそうです。フランス語で「ムーラン」は「風車」ということで、大きな風車があって。「ガレット」って言うのは焼き菓子ですね。そういう焼き菓子を売っていた人が開いた、風車の近くに開いたダンスホールなので、「ギャレットの風車」=「ムーラン・ド・ラ・ギャレット」と言われていたそうです。

日曜日の午後3時から深夜まで、ダンスホールとして開かれていて、基本は倉庫の中がホールらしいんですが、天気のいい日はこの絵のように外で踊っていたようです。若者とか、当時の労働者階級のいろんな人たちが日曜に集まる憩いの場になっていたそうで、舞踏会っていうと敷居が高いけれども、いろんな階級の人が気軽にダンスに行ける場所だったそうです。


ルノワールは、この近くにアトリエがあって35歳ぐらいの時にこの絵を描いたそうなんですが、結構もともと大きな絵なので、130x175cm ぐらいの大きな絵なので、その半分ぐらいのサイズのキャンバスをダンスホールに持ち込んで、一旦絵を描いてからさらにアトリエでそれをもっと大きく描いて完成させるという方式で作られた絵だそうです。

絵の中にルノワールの知り合いがたくさん描かれているみたいで、やっぱり不自然にこっちを向いてる人達ってのは、多くが知り合いがモデルになっているそうです。この「実況する鑑賞」で何枚もそういうの見てきましたけれども、印象に残ったのは青木繁の「海の幸」とかですけど、なんか不自然にこちらと目が合う登場人物は、結構作者の知り合いとか恋人とか肉親とかが多いっていうのはよくあるパターンですね。これもやっぱりそうでした。

現地で絵を描いてたんですが、皆動き回って描きにくいということで、ルノワールが麦わら帽を配ってこれでモデルをやってくれって言ったら、めちゃめちゃ人が集まって協力してくれたそうです。帽子もらえないぐらい人が集まって、それで絵を描いたという話が残っていて、だからたくさんの人が同じ麦わら帽かぶってるっていうのがあるみたいですね。右の方の男性の人たちは何人か同じ麦わら帽をかぶってますよね。これが多分ルノワールが配った帽子なんじゃないかなっていうふうに思います。


で、この「ムーラン・ド・ラ・ギャレット」、いろんな画家が描いてゴッホとかロートレックとかピカソとか・・全部見たわけじゃないんですけど、ざっと見た感じちょっと何て言うかルノワールみたいにここまで多幸的な絵っていうのはあんまりなくて、割と退廃的な感じって言うか、周りが賑やかだからこそ、孤独が際立つじゃないですけど、そういうちょっと疎外感みたいな・・

Le Moulin de la Galette ゴッホ
The shooting gallery, Moulin de la Galette サンティアゴ・ルシニョール
A Corner of the Moulin de la Galette ロートレック

特にロートレックの絵なんかはまさにそういう絵になっていて、最初の鑑賞のパートで僕が絵の中に憂いを持っている人が全然いないっていう感想を持ったのは、僕自身が多分こういう場に行くと、ちょっと疎外感を感じてしまう人だからなんですが、このルノワールにまったくそういう視点はないなっていうのを、解説を読んで改めて思いました。

あなたにはどう見えましたか?
また次回!






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