逆説的に無はない
皆さんはヒッチコックの映画を見たことありますか?
僕は今日初めて見ました。初めて見たヒッチコックは断崖という作品です。
内容はまぁ今日のところはどうでもよくて、色は無くならないということ。
白黒は白黒の二色ではなくて、何千何万の色がある。しかし白黒だと言ってしまうのは、僕らがアリを見てクロアリだとかヒメアリだとか見分けられないようにただ区別がつかないだけだ。ヒッチコックの映画には色があるのだ。
色は何も目の前だけには現れない。クリスティーの小説を読んでいる時、ニルヴァーナの曲を聞いている時、ただあてもなく走っている時、色は発芽する。朝顔の花のように唐突に。
色とはイメージなのだ。だから仮に周りに何もなくても色だけは消えない。目を瞑っていてもそこには黒があり、黒になるために混ざり合った色が透けている。
色だけではない、音もそうだ。無音という音も存在する。空白とは音の一種だ。
感触だってそう、質感だって、形だってそうだ。
これだけ言えば分かるだろう。無は存在しない。仮に無が存在したところで、その無自体が有なのだ。
つまり逆説的に無は存在しない。無は怖いものではなく、無限に続く有であるということヒッチコックが教えてくれた。
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