長時間労働の代償・・・「雑談力」が育たない。

私は教員として働きはじめた3年間、朝6時出勤ー夜22時退勤の毎日を繰り返していました。
主に、教材研究…。子どもの心を掴むために、社会科をより面白いと思ってもらうために、一生懸命になっていました。
2年目は、2学級×3学年を担当していて、定期テストも3学年分作ったりしていました。…今思うと、本当によくやっていたと思います。定期テスト3学年分って。
この時の力が、今になって役に立っていると思います。

3年目に、初めて担任を持ちました。
担任業務は、副担任の頃とは違い、やることも、把握しなければならないことも極端に増えます。
「フラットに」と思いつつ、「うちのクラスの子」という想いももちます。
また、生徒といる時間も圧倒的に増えます。関わり方も変わります。

朝の会・帰りの会・道徳など、子どもと話す時間が増えました。
子どもたちは、私たち教員に、たくさんのことを期待しています。
「先」に「生」きると書いて、「先生」。
人生の先輩なんていうとおおげさですが、「先生は今までどんなことを経験してきたのか」「これから自分たちの未来にあることを、先生はどんな風に過ごしてきたのか」ということに、興味をもちます。

「授業」よりも「雑談」のほうが楽しいのです。子どもたちにとっては当たり前の感覚です。
「先生が高校生のときね…」なんて話し出すと、眠そうにしている子どもも目を光らせます。教室が淀んでいるときに、雑談をしてエンジンをかけてから授業に臨むこともありました。

雑談力…とでも言いましょうか。
これは、話し方や話す順番ももちろん大切ですが、
「経験」が無いと話すことすらできません。そりゃそうです。
「先生、なにか面白い話してください!」
なんて無茶振りを子どもたちはするのです。
ここで
「この間、買い物に行ったんだけどさ…」と話して
子どもの心をがっちりキャッチできるか。
道徳の授業の最後に
「先生もこんなことがあってね…」と話せるかどうか。

ひたすら働いていたその頃、初めての担任をして、気づいたのです。
「話せること(ネタ)が増えていない」
子どもたちに伝えられることが増えていない。

それもそのはずです。ずっと学校にいるのだから。
土日も片方は出勤して、片方は引きこもって休んでいたのだから。
自分の世界も広がっていないのに、子どもの世界を広げられるわけがありません。
長時間労働は、こんなところにも代償があるのか。と気づかされました
ここから、「プライベートも充実させること」の大切さに気づくことができました。
子どもたちが知りたいのは、「学校」の外の世界のこと。
それを伝えるためには、教員自体が「学校」から離れる時間がなくてはならない。

日本に帰ってきてから、「19時までには帰ろう」と、自分の働き方を変えるきっかけになりました。


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