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甘いものに甘える夜 【よばなし#2】

今日も1日お疲れ様でした。
毎日ぐずぐずした天気が続いていて、そろそろ梅雨が明けてくれればいいのになあと思う日々なのだけど、あなたは今、どこでどのような夜をお過ごしだろうか。
今日は飲み会のあとに食べたおやつのおはなし。

   ★

先週日曜日のこと。

コロナあけで久しぶりに会った友人と気分よく飲んだあと、コンビニを梯子して買ってしまったのは、クリームたっぷりのチーズケーキとこれまたクリームたっぷりなアップルパイだった。

本当はフルーツと生クリームが惜しみなくのった、豪華なパフェが食べたかった。
スプーンをひとすくい、そしてまたひとすくいとすすめるごとに、色々な味が楽しめる、そんなパフェ。視覚も味覚もとても刺激的で、果物がキラキラひかる、宝石のようなパフェ。
ひとりで堪能したい。
喫茶店かカフェにいって食べようかと思ったけれども、この状況で地元のお店はすぐに閉まってしまうし、夜に空いているカフェはなかなか見つからない。なので手っ取り早く近くのコンビニを2店舗回っておやつを調達した、というわけだ。

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いつも誰かと飲んだあとは、生クリームたっぷりのパフェやケーキ、クレープなど、そういう甘ったるいものが食べたくなる。

気の許せる人と飲んでいる時間は、ひとりで飲んでいる時間よりもずっと楽しい。けれど、飲み会が終わったあとにくる、ぽっかりと穴が空いたような空虚感やさみしさは、楽しかった分ひとりで飲んでいる時間よりもずっと大きい。それを紛らわすために、ただ、甘いものや生クリームで気持ちを満たしたいのかもしれない。

楽しい時間をもう少し延長したい、
そんな気持ちで。

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わたしが人付き合いが苦手なのも、ここに少し関係しているように思う。
人といつも距離を置いたような接し方になってしまうのは、楽しさからの空虚感になるあの落差が、自分にとって悲しいものになることがわかっているから。
その時間が楽しければ楽しいほど、のちのちの空虚感が大きくなる。
その空虚感はいずれは消えるものだけど、やっぱりちょっと辛い。

ひとは所詮ひとりだ。

ひとりで生まれて、ひとりで死ぬ。
誰も連れてはいけない。
わかってはいるけれど、ひとりで生きていけるほど強くもない。

    ★

昔はさみしさを感じる自分がだめだ、そんなのは甘えだと思っていた。
ずっと強くたくましく、生きたかった。
だからそんなことで甘いものを欲するのは、ただの弱さで、特に昔はとても肥っていたこともあって、そんなこと言って甘いものを食べてごろごろしているからぶくぶく肥るんだ、と思っていた。
でも最近は、もう自分の気が済むまで甘いものを食べることを許している。
1日生き抜いただけで十分だと思えるようになっていて、甘いものを食べることは、次の日も生きていくための精一杯のフォローだと思えるようになった。

    ★

コンビニに寄ったあと、家に帰って、チーズケーキのクリーム部分は残したまま、ちびちびと周りのケーキの部分だけを先に崩して食べて、そのあとクリームを上からちびちび食べた。
お行儀が悪いと怒られそう。
白い生クリームを食べている間、この時間が終わらなければいいのに、とずっと思っていたけれど、最後の一口が来てしまった。
そして今度はアップルパイに手を伸ばし、かぶりつく。
アップルパイも、なかにぎっしりとカスタードクリームとりんごが詰っている。
アップルパイを食べるなんて、随分久しぶりだった。
後ろのカロリーを見て驚いたけど、クリームを食べている間はとても幸せな気持ちになれた。

今は難しいかもしれないけれど、また今の状況が落ち着いたら、豪華なフルーツパフェが食べたいな、と思う。
夜のパフェっていいよなあ、地元で食べられるお店がないか、探してみよう。
初め、カランコロンとお店に入るときは緊張するかもしれないけれど、いつかそこがお気に入りの店になるといいなあ…
とか楽しい想像をすると、ちょっとだけワクワクして、いつの間にかテーブルに突っ伏して眠っていた。

    ★

今、お酒をちょうど楽しんでいるひとも多いだろうなあ。
このあとのおやつ、何を食べますか。


ありがとうございます。文章書きつづけます。