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好きだから、離れる。〜秋田の若者の県外流出は推奨すべき

久しぶりに故郷である秋田へ帰っていました。美味しいご飯、広い温泉、そして心安らぐ大自然。こんなに贅沢な時間を過ごしているのに、かかる費用は東京の半分以下...。天国かよ...。

至れり尽くせりの環境につい気が緩み、東京にいる時よりもゆっくりと時間が流れているような気がしました。

もうこのまま、ここにいて田舎でのスローライフを満喫するのもありなんじゃないか...。

帰省初日の夕方、そんな考えが頭に浮かぶくらい秋田の居心地の良さが心を揺らがせました。しかし、それも束の間。その日の夜にはもうすでに、「一刻も早く秋田を出て、再び東京という土地に行きたい」と思う自分が居ました。

ここで誤解を恐れずに言うと、

好きだからこそ、早くここを出たい。

と思ったのです。秋田の素晴らしい料理や、素敵な場所、そして温かく優しい人々を知っているからこそ、ここに留まるという選択肢は捨てました。

「好きならその土地に住んで、そこで働きお金を落すべき。」とか、「好きって言いながら、本当は東京の方が好きなんでしょ。」とか、思われるかもしれません。

でもそれは半分正解だけど、もう半分は間違ってます。

好きだからこそこの好きな場所をもっと長く残したい。もっとたくさんの人に伝えたい。そのためには秋田に残ることだけが正しい解かと言われたら、そうでは無いんです。「残すため、伝えるための方法」はそこにいるだけでは見つからないし、枠の外の人には伝わらないんです。

今回のnoteのテーマは、『若者の県外流出による人口減少は、本当に社会問題なのか』です。

n人いれば考えかたもn通りあると思うので、秋田から東京に出た若者の一つの意見として読んで頂けると嬉しいです。

人口減少を社会問題として扱うべきではない。

社会問題にかかわるニュースや政治家の選挙の唱い文句で頻繁に取り上げられる『人口減少』。地方では若者をなんとか故郷に留まらせようと、様々な対策が打たれ今では『移住・定住』という言葉も耳にタコが出来るんじゃないかという程よく聞くようになりました。

しかし、本質的な問題ってそこなんでしょうか。なぜ若者が減ったら困るのか。そこを理解している人ってどれくらいいるのでしょう。まずはなぜ問題なのかを把握し、その問題解決の糸口は他にないのか探ることが大切です。

よく唱われがちな、三つの課題について私なりに別の視点で捉えてみました。

①若者が減ると、街に活気がなくなる。

若い人が集まる場所は、確かに活気がありますよね。例えば東京でいったら渋谷。老若男女問わず人々がごった返していますが、目立つのは若者の多さ。特に10代、20代の学生がこれでもかと言わんばかりに溢れかえっています。ハロウィンの渋谷のスクランブル交差点なんてもうお祭り騒ぎです...。

しかし、「若者がたくさんいること」だけが「活気」に直接的に繋がるわけではないですよね。例えば銀座では若者よりも30代〜50代までの、いわゆる中年層の人たちが優雅に買い物や食事を楽しんでいます。また巣鴨には60代から上の、いわゆる熟年層の人たちがまったり商店街で世間話をしています。どちらも十分に賑わっていると言えるでしょう。

そう。『街の活気』というのは年齢でも人数でもなく、そこにいる人たちがそこで楽しそうに時間を過ごしているかどうか。より良い街にしようと現地の人たちが努力している姿勢が表れているかどうか。だったんです。

若者が減るのを引き止める前に、そこで生活を営む一人一人が、もっと街を良くしようという意識を持つところから始めるべきです。そのためには街の人たちで積極的にコミュニケーションを図り『自分の住む街をどういう街にしたいか』を具体的に話し合い、イメージを共有し合う必要があります。

また、どう改善すべきか成す術がわからないのであれば、若者を県外にどんどん出して活気のある地域に足を運ばせるべきです。その土地にあって自分たちの地域に足りないものはなんなのか。若者を秋田県というオリの中に閉じ込めるのではなく、一度自由に羽ばたかせてあげることが自分たちの地域をより良いものにするために必要となってくるのでは無いでしょうか。

②若者が住まないと、お店が繁盛せず潰れる。

インターネットのある生活が当たり前になってきた現代において、テレビよりも「信用のある広告力」が高く、「よりニッチな層」をターゲットにブームを巻き起こしやすいメディアがSNSです。その影響からか、地方でも「インスタ映え」を狙ったお店がここ数年で格段に増えました。若者の心を掴むために流行りに乗ることは、悪いことではないと思います。

しかしそれは結局、東京の二番煎じでしか無いのです。東京で犇めき合いながら並ぶ本格的なお店に敵う訳も無く、ブランド品の「まがい物」としてより一層若者の東京への憧れを強めるだけです。その地域でお店を繁盛させたいのであれば、「現地だからこそできる強みとなる要素」を取り入れるべきだと思います。

例えば、岡山県にあるスイーツパーラー十字屋商店のパンケーキ。蒜山(ひるぜん)という地域のとうふ屋元勢さんの豆腐を生地に練りこんだり、お皿に添えてくれるジェラートに地元産のフルーツを使ったりしています。そうすることで現地の若者は、自分の地域の食文化に流行りに乗っかりながら触れることができる上にSNS上で他の地域にあるパンケーキとの差別化も図れるのです。

そして地方のお店を繁盛させるために心を掴むべきなのは、実は県外で暮らす若者だと思うんです。これは海外で人気が出た日本の商品が、逆輸入されて日本で販売すると売れる現象と同じと考えてもらうといいかもしれません。住んでいない人の言葉だからこそ、客観性と信憑性のある口コミとしてそのお店の評判になりやすいのです。

個人が気軽に情報発信ができ影響力を持てる時代だからこそ、全国どこであっても面白いコンテンツは注目されます。地域の食材を味わえる流行りに敏感なお店はまさに地方の良さを発信するうってつけの機会です。つい、地元に住んでいる人にばかり目が行きがちですが、情報に敏感な都会に住む若者向けのお店を作ることで話題性を掴み集客に繋げることを意識してみては如何でしょうか。

③若者が出て行くと、跡継ぎがいなくて一次産業が衰退する。

年々、高齢化が進む一次産業。肉体労働に長時間拘束、それなのに低所得。そんな悪いイメージのついてしまった農家や漁師さんたちは、後を継いでくれる若い人がいなくなってしまうと嘆いています。

しかし、若者を留めることが本当に最善の策なのでしょうか。それよりも6次産業化を進め、できるだけ楽に効率よく作業できるかがこれから大切だと思っています。AIの技術が発展し、農作業ロボットができたら飛躍的に労働時間が減り、体力的にも余裕が生まれます。

そうなってくると、IT関係のプログラマーさんやAIを研究しているスタートアップの経営者と呼ばれる立場の人が農業に携わりやすくなります。この時に大事なのは「よそ者」と言う言葉で県外の人を邪険に扱わないことです。新しいことを受け入れて、歩み寄ってみる。従来の農作業への固定概念は捨てるべきだと思っています。

もちろん農業が再び息を吹き替えし始めると、「お金儲け」のために地方に来る人もいるかもしれません。それは一見ピンチのように見えて、実は絶好のチャンスでもあります。つまりは農業を利用してその地域に間接的にお金を落としてくれるのです。彼らの目的がお金儲けだとしても、地域のために有益なビジネスであればそれに乗っかってお互いに利用し合うべきだと思います。

これから地方はもっと「よそ者」の介入を歓迎する体制を作っていくことが大事です。家業は「身内」や「地元の人」が継ぐべきなんて考えは捨てましょう。士農工商の時代はとっくの昔に終わりました。これからは職業の掛け合わせで一次産業を盛り上げていくべきだと思います。

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地方の人が懸念する「人口減少」に伴う課題について、三つの違う視点でざっくりと改善策を考えてみました。もちろんこれらはもっと突き詰めて、具体化する必要があります。それに、これだけで完全に解決するとは言えません。

しかしこの考え方は、もし秋田で暮らしていたらきっと生まれなかったと思うんです。5年前の春、18歳で秋田を出て東京に拠点を置き各地方の文化に触れ人々と交わり、その中で生まれた考えです。やはり東京で得られる情報は最先端であることは否めません。

だからこそ私は、秋田という生まれ育って馴染みの深い心地いい環境に身を置くことを拒み、東京という慣れない土地で決して居心地のいいとは言えない環境に身を投じたいです。空っぽのスポンジみたいな脳みそに、ありったけの情報と自分の体験から得られた考察を吸い込ませて秋田に絞り落としたいと思っています。

好きだから、離れる。

それはまるで、お互いの夢を追う遠距離恋愛中の恋人を想うようなそんな感覚に似ています。東京にいるからこそこれだけ秋田のことを考えているし、客観的な目で冷静に判断することもできるんだと思うのです。

書いた人 ゆるみな。



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株式会社美溢るCEO/95年世代/秋田県男鹿市出身/「贈り物経済」の醸成を目指し、平成31年4月26日に起業/人格を持つクラフトビール「BEERful」の企画販売/花言葉が好きな梨とお米農家の娘です。
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