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で、チバニアンって結局は何だったの?:その1【地質応用編:No.1】

チバニアンという言葉、知っていますか?
一時期ニュースで話題になりましたので「聞いたことがある」と言う人は多いでしょう。
もちろん詳しいことまで御存じの方もいると思いますが、実は私たち人類の未来にとっても重要なカギを握るとも言えるものなんです。
今回はチバニアンとはいったい何なのか?という話題です。
(※トップ画像はいらすとやより)

チバニアンとは”地質時代”の名前です

チバニアンについてザックリ説明してしまうと、こんな感じです。

千葉県のとある地層が世界的にも重要なデータが揃ってるという事で、国際地質科学連合と言う国際学会が、ある1つの地質時代単位を「チバニアン」と呼ぶことに決めた。
(※正確には今年開催される予定だった国際学会で正式決定だったハズが、コロナで中止になってしまっています。)

そう、チバニアンとは時代の名前のことです。江戸時代とか平安時代などのようなものだと考えれば分かりやすいと思います。
ただし1つ違うのは世界共通の名前だということ。つまり

『地球全体のその時代を代表する地層として世界で一番ふさわしい』

と認められたと言うことなんですね。

なぜ「一番ふさわしいのか?」はとりあえず置いておき、この時代の特徴についてお話ししましょう。


地質時代とは?

さらにその前に、地質時代についてザッとおさらいしましょう。

地質時代とは、地球の歴史約46憶年を「地層の分析をもとに」決めた地球の年表と考えれば分かりやすいでしょう。
詳しくは過去の以下2記事をご覧ください。

そして下図のような「国際年代層序表」(※地球の年表)が実際につくられています。

国際年代層序表

国際年代層序表:日本地質学会ホームページより

国際年代層序表_03

そしてチバニアンは一番左上(新しい時代)、新生代第四紀更新世(しんせいだいだいよんきこうしんせい)の3番目の時代で、約77万年~13万年前の時代です。


チバニアンの特徴

地質時代の境目は「地球規模の変動」があった時代で決めています。
一番の有名どころでは恐竜やアンモナイトが絶命した中生代白亜紀末(約6600万年前)でしょう。
そして現在に近い時代での大きな区切りは第四紀の始まりで、これは氷河時代の始まりです(※詳細は今後の記事で)。

ではチバニアンではどんな変動があったのか?と言うと以下の3点があげられます。

約77万年前「最後の地磁気逆転」があった
・この時期に氷期間氷期周期が4万年から10万年に変わった
(※氷期は現在より寒い。現在は間氷期。)
地球と太陽の位置関係が今と同じだった

これら3つの条件がちょうど揃うのが約77万年前でした。
そこで国際学会では、第四紀更新世の前期と中期の境目を約77万年前にするという方針にしました。

そしてこの時代を代表する地層の候補が世界中から数か所選定され、その1つが千葉県の地層だったのです。

では千葉の地層がなぜ国際学会に認められたのか?
次回に続きます。

なお地磁気・古地磁気の詳細は以下の過去記事を参照ください。

続きはコチラ👇


参考文献

千葉セクションGSSP提案チーム(2019) 千葉セクション:下部-中部更新統境界の国際境界模式層断面とポイントへの提案書(要約).地質学雑誌,第125巻,第1号,5–22ページ.

出村政彬(協力:岡田 誠・菅沼悠介・羽田裕貴)(2020)「特集チバニアン」.日経サイエンス,2020年,4月号,p.46~53.

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