バリエーション豊富な地質たち:東部高山地域【都道府県シリーズvol.10富山県part1】
プロローグでは、富山県は地形的な特徴から8か所に分けられるとお話ししました(あくまで私個人の見解です)。
今回は富山県東部の高山地域についてお話ししていきたいと思います。
下図の①になります。
険しい山が南北に連なる
さっそく地形を見てみましょう。
濃い茶色で描かれている高く険しい山々が南北に連なっています。
もっと上空から見てみましょう。
大きな視点で見てみると、かなり南まで山が連なっていますね。
途中、盆地で分断されますが、富士山(伊豆半島北西)の北西まで続いてます。そう、俗にいう「アルプス」ですね。
その中でも富山県東部の山地は「北アルプス」と呼ばれています。正式名称は飛騨山脈です。
そもそもアルプス山脈はヨーロッパのイタリア北西部の山脈です。
「日本アルプス」と呼ばれるようになったのは、イギリス人鉱山技師が本の中で「日本のアルプス」と紹介したのが始まりだそうです。
アルプス山脈はヨーロッパの地質学者にはお馴染みの山脈だったので、こう表現したのでしょう。
地質は?
どんな地質が分布しているのか見てみましょう。
まずはスーパー地形でシームレス地質図V2をかぶせてみました。
相変わらず凡例を消せない分の見づらさはありますが(笑)
図の中央部の縦長のひし形の範囲が、だいたい対象区域に相当します。
濃い紫色や赤が多く、これらは深成岩です。
深成岩とはマグマが地下深い場所でゆっくり冷えてできた岩石ですね。
マグマの成分の違いで何種類かに分けられています。
基本的には硬いのですが、地表に出たあとの風化のスピードが早くて、ボロボロになっている場合も多く見られます。
地質調査所(現在は産業総合研究所地質調査総合センター)発行の20万分の1地質図では「富山」と「高山」の南北に分かれます。
まずは北の「富山」から
黒線が県境、赤線が地形区分です。
北東にある水色や薄茶色、紫、オレンジなどは古生代や中生代、新生代古第三紀(数億年前~約6600万年前)の砂岩泥岩や火山岩です。
特に紫色は古生代オルドビス紀で、約4億8830万年前から約4億4370万年前までの時代です。
古生代の中でも2番目に古い時代で、私がこれまでnoteで紹介した中で一番古い地層です!
西の方の縦に細長いモザイク状のは片麻岩という変成岩の1種です(※片麻岩については別記事で紹介したいです)。
それ以外のピンク系の地質は様々な時代の深成岩類。これは南部も含めてまとめてお話しします。
では、次は南部の「高山」。
南西の緑系の地質は中生代白亜紀の砂岩・泥岩・礫岩です。
約1憶4500万年前~6600万年前で、恐竜が生きていた最後の時代!
その北の茶色と薄紫の縦じまは、これも片麻岩。
また濃い茶色が新生代第四紀(約258万8000年前から現在)の火山岩類です。
それ以外のピンク系が花崗岩。
花崗岩の時代は様々で、中生代の三畳紀、ジュラ紀、白亜紀と中生代の全ての時代のものと、新生代第四紀のものがあります。
バリエーション豊富な地質たち!
新しめの堆積岩類こそないようですが、地層の種類・時代ともバリエーションが豊富ですよね!
基本的には古い時代の地質が多く、新しいものでも硬い火山岩なので、高く険しい山が連なっているのでしょう。
今後、各地の地質のお話をするのが楽しみです。
今回は以上となります。
お読みいただき、ありがとうございました。
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参考文献
原山 智・滝沢文教・加藤碩一・駒沢正夫・広島俊男(1996)20万分の1地質図幅「富山」、地質調査所.
山田直利・野沢 保・原山 智・滝沢文教・加藤碩一・広島俊男・駒沢正夫(1989)20万分の1地質図幅「高山」、地質調査所.
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