見出し画像

海底にも地すべりがあるの??:南部平坦~中山間地域【都道府県シリーズvol.36宮崎県part1】

宮崎県は地形的特徴から12の地域に区分できます(※筆者の個人的見解です)。今回は南部の平坦~中山間地域の地形と地質のお話です!

場所は?

再確認しましょう。

無題92_20210525004647

宮崎県は九州の南東部に位置しています。

宮崎周辺

スーパー地形(カシミール3D)より抜粋した画像をもとに筆者作成。
なおカシミール3Dは元データとして国土地理院の「電子国土」を使っているそうです(出典:国土地理院ウェブサイト
※トップ画像や以下の地形・地図画像すべて引用もとは同じです。

周辺県との位置関係はこんな感じ。

地形区分

南部平坦~中山間地域は上図のです。

12地域位置図_市町村

日南市串間市それぞれの一部地域になります。


地形を見る

ではさっそく行ってみましょう。

画像5

真ん中南部の半島地域は山がちですが、南西と北東にはそれぞれ河川が発達して平地が多いですね。

12地域範囲_地形01

地域範囲はこんな感じです。
南西に見える大きな台地が目立ちますね。その他、小さい台地もあちこちに見えます。

12地域範囲_地形02

台地を赤点線で囲ってみました。
このほかにもアチコチに見えますよね。


大地の成り立ち

全体的にそこまで険しそうな山はなく、平地・台地・丘陵地が多めな印象を受ける⑫地域ですが、どんな歴史をたどったのでしょうか?

今回は3つのステージに別れます。

〇ステージ1:新生代古第三紀中期~新第三紀中新世中期
この地域は古生代・中生代の古い地質はなく、約5600万年前~1400万年前の地層が広く分布しています。

12地域範囲_地質図02

赤で囲った範囲です。
・・って、ほぼこの地域全域ですね(;^_^A

これらは海の堆積物で、四国海盆という海底の盆地の端っこに溜まったものだそうです。
水色が泥岩、黄色が砂岩、緑が砂岩泥岩互層です。
また一部に見える灰色が混在岩です。

そう、これは付加体です。

四国海盆

海底地形図(八島2018より)

この地域より少し南東~東あたりで溜まり、プレートと一緒に移動して九州にペタッとくっついたのです。

日南層群堆積環境

堆積環境の模式図(坂井ほか1989より)

これらの地層を詳しく研究した結果、上の図の様な場だったと考えられています。
陸地の縁辺部(左の方)に川が運んだ土砂がたまり、地震が起きると崩れて、そこからまた土砂が流れ海底のやや深いところに溜まります。
図に矢印が描いてあり扇状地みたいな絵がそれです。
これ、海底地すべりと呼ばれる現象で、インターネット回線の海底ケーブルを切断したりして問題になっています。

地上の地すべりとは違う現象ですが、海底地すべりと呼ばれてしまっています。どうも科学者って不用意に「地すべり」って使うんですよね(笑)
メカニズム(どうやって起こるか?)が違う様々な現象に同じ名称使うもんだから、科学者の間でも混乱しちゃってるんですよ(;^_^A

ま、それはさておき。
普段は平穏な深海底で、たまに地震が起きて、崩れて土砂が溜まる。
これを繰り返して出来た地層ということですね。

〇ステージ2:新生代第四紀更新世後期
時代はざっと飛んで約2万5千年前、火山が大噴火を起こして火砕流が流れます。

12地域範囲_地質図01

ピンク色が火砕流堆積物です。
南西の大きな台地は火砕流台地だったんですね。

ちなみにこの火砕流の噴出源は姶良(あいら)火山という昔の火山です。
聞いたことある!という人もいるかも知れませんね。

姶良カルデラ

当地域の西の桜島を囲むような円形の凹地が姶良カルデラと呼ばれています。赤丸点線がおおよその位置です。
カルデラをつくったときの大噴火で、東北地方まで10cmも火山灰が積もったという、恐ろしい大噴火です。

〇ステージ3:新生代第四紀完新世
約1万年前から現在にかけて、河川堆積物や砂丘堆積物が溜まります。

12地域範囲_地質図03

範囲をざっと囲みました。
薄い灰色が河川堆積物、沿岸部の薄い黄色が砂丘堆積物です。


いかがでしたか?
宮崎県の南部平坦~中山間地域は、海底地すべりや火山の大噴火による火砕流など、波乱万丈の歴史の上に成り立っているのですね。

以上となります。
お読みいただきありがとうございました。


この地域の記事はコチラ👇


参考文献

太田良平・木野義人(1965) 5万分の1地質図幅説明書(志布志),地質調査所,25p.

八島 邦夫(2018) 「四国海盆及び付近」の 3D 海底地形図.「地図」,Vol.56,No.3,p17-18.

坂井 卓・艸場 敬(1989) 南九州上部四万十層群の形成環境と前孤モデルの吟味.堆積学研究会会報XXX号,p1-16.

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?