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山口県中央部ポコポコ地形のナゾ【都道府県シリーズvol.3:山口県part1】

都道府県シリーズvol.3として山口県の地形と地質についてお話をします。
プロローグでは地形的特徴から大きく13か所に区分けしました。

山口県_区分

スーパー地形(カシミール3D)より抜粋
なおカシミール3Dは元データとして国土地理院の「電子国土」を使っているそうです(出典:国土地理院ウェブサイト
※トップ画像や以下の地形・地図画像すべて引用もとは同じです。

今回は「⑪県中央部の平地~中山間地域」を見てみます

山口県中央部、美祢市の地形

山口県中央部のやや西寄りの美祢(みね)市は、その中央部地域は平地と山地が入り組んだ複雑な地形をしています。

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すごく面白い地形です。
真ん中付近の北東と南西に標高200~300mほどの台地があって、周辺には標高100m前後の平地が入り組んでいて、平地と台地の境目がクッキリです。
もっとアップにしてみましょう。

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って、なんじゃこりゃ~~??!

まるで異世界なぽっこぽこ

ほんと、まるで異世界です。
台地全体が気泡だらけの玄武岩や軽石のように見えます。
あ・・地質学者しか分からない例えでスミマセン(笑)

さあ、もっとアップして見ていきましょう!

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うっひょ~!すんごいです!!穴ぼこだらけです!!
見てるだけで飽きないですよね~(私だけ?笑)

ポコポコの正体

ここで種明かししますね。この地形図を見ればピーンと来る人もいるかと思います。

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画像中央のやや上に「秋吉台」という地名が見えますよね。
そう、観光地として非常に有名な場所です。
秋吉台専門の観光情報サイトがありましたので、リンクさせておきますね。サイクリングで見てまわれるなんて素晴らしい!是非行ってみたい!!

秋吉台と言えば「石灰岩」です。
そう、このポコポコ、何かと言いますと石灰岩によるカルスト地形と言います。石灰岩は水に溶けやすく、雨水や地下水に浸食され、凸凹の地形をつくります。このような地形をカルスト地形と言います。
鍾乳洞
もつくられたりします。
また中国の桂林もカルスト地形の一種です。

石灰岩は「石灰質の成分が水中で沈殿」してできたものと「サンゴなどの生物の殻」がたまってできたものの2種類があります。
秋吉台の石灰岩は後者で、大昔のサンゴ礁だったようです。ですのでサンゴなどの化石が入っているそうです。

もう少しポコポコ地形をお楽しみください。

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直線状に並んでるのも面白いですね。

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3Dです。

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鬼の穴という地名はすごいですね。

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こんな直線状の地形もあります。
断層でもあるのかな?と思って地質図を見ましたが、ありませんでした。
おそらく石灰岩内の割れ目に沿って水が流れて浸食されたのでしょう。

なぜ、こんなところにサンゴ礁が??

って思いますよね。
秋吉台とその周辺は3億5920万年前から約2億5,100万年前までの石炭紀ペルム紀という時代の海山のてっぺんのサンゴ礁です。
この時代は動物では両生類や爬虫類はいましたが、哺乳類はまだいません。海では三葉虫(節足動物)が栄えていました。
また植物ではシダ植物がメインで、その他にイチョウやソテツが生えてましたが、被子植物(花が咲き、果実がなる植物)はまだ登場していません。

そのような時代の南の島(?)のサンゴ礁でしたが、海洋プレートの動きによってユーラシア大陸にくっつきました。こういう場所を地質学では付加体と言います。これについては長くなりますので、また別の機会にお話しします。

いかがでしたか?
ポコポコした穴ぼこだらけの秋吉台は遠い昔の南の島のサンゴ礁だったんですね!まだ哺乳類が誕生する前の地層でできていたのです。
それにしても、秋吉台、そのうちに絶対に行ってみたい!そんな場所ですよね。

お読みいただき、ありがとうございました。

参考文献

松浦浩久・尾崎正紀・脇田浩二・牧本 博 ・水野清秀・亀高正男・須藤定久・森尻理恵・駒澤正夫 (2007) 20万分の1地質図幅「山口及び見島」.独立行政法人 産業技術総合研究所地質調査総合センター.

西村祐二郎・今岡照喜・金折裕司・亀谷 敦(2012) 山口県地質図第3版(15万分の1)説明書.山口地学会,P.167.

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