蛇行と起伏がスゴイんです!:埼玉県中西部平坦~中山間地域【地元再発見の小旅行vol.32】
都道府県シリーズの2周目。今度は埼玉県です!
プロローグはコチラをどうぞ↓
場所は?
埼玉県は東京都の北隣。関東地方のほぼ真ん中に位置しています。
今回の舞台となる中西部平坦~中山間地域は上図の⑩。
「秩父盆地」と呼ばれる地域です。
秩父盆地全体の地形・地質についてはコチラをどうぞ↓
秩父盆地は上図のように、秩父市・小鹿野町・皆野町・横瀬町それぞれの一部地域です。今回の舞台は赤丸のあたり。
地形を見る
では行ってみましょう!
図の南東に見える広い平坦地には街が広がっています。これは秩父市の市街地です。秩父市の市街地は主に、荒川沿いの段丘でできた平坦地の上に築かれており、この地域はその最上流部になります。
今回見る地域は、この少し北で画像の中央部のあたりです。
拡大しました。
画像の真ん中あたりを北北西ー南南東方向に谷がのびていて、低めの山が連なる一帯がありますよね。
なんだかやけに蛇行や起伏が多くて入り組んでいます。
さらに拡大!
建物が建っている平坦地は侵食から残った段丘です。
そのような場所以外では、随分とグネグネ・モコモコとしていますよね。
3Dで見てみましょう。
小刻みに起伏に富んでいて、入り組んでいますね。
3本の川が合流して十字になっているのも珍しい!
もう少し広く見てみましょう。モコモコしてますねぇ!
こうして見ると、西(左)に見える山地とは雰囲気が違いますよね。
西の山はゴツゴツしていますが、真ん中は丸みを帯びた地形になっています。その東も真ん中ほどではないですが、丸みがあり、似た雰囲気です。
これは、地質的な何かがありそうですねぇ。
地質は?
と言うことで地質図を確認します。
南北に断層が通っていますね。黒い太線が断層です。
断層を境にして時代が大きく違っています。
山のカタチの違いは地質の時代の違いだったようです。
地質は一般的に古いほど硬いので、それが反映されているのでしょう。
そして蛇行・起伏の多い地域は緑色の地質で、新第三紀中新世の砂岩泥岩互層(海の地層)です。砂岩や泥岩は軟らかめの地質なので侵食されやすく、だからモコモコ地形になったのでしょうか?
でも同じ緑色でも東はあまりモコモコしていませんが・・
そこで!もっと詳細な5万分の1地質図を見ると、東は礫岩(上図の薄茶色)でした。砂岩泥岩よりも侵食されにくいので、モコモコが弱いのでしょう。
それともう1つポイントがあります。
上の地質図には黒線の記号がアチコチに描いてあり、特に断層より右に多いですよね。これは層理面(地層の面)の傾いた方向を表したものです。
(※線の真ん中にチョコンと髭のように出ている小さい線が傾きの方向で、数字が角度)
これによると断層より東では北東~東に傾いていて、その角度は40~90度(垂直)と急傾斜です。
地層ができるとき層理面はほぼ水平ですから、形成後に変形したことを示しています。断層は活断層ではないようですが、過去の断層運動の影響で変形したのでしょう。
角度が急ということは、変形が強めだということ。その分、変形の影響で小断層や節理(割れ目)が沢山できて、そのせいで侵食しやすく、割れ目の頻度も高いので川の蛇行も多くなると考えられます。
そして層理面の傾斜が急なのも原因でしょう。つまり・・
太線が層理面、細い点線が節理面です。
左のように層理面が緩い傾斜の場合、侵食が進んでも緩やかな地形が多くなる。一方で右のように層理面が急角度だと、起伏が激しい地形になりやすいと、イメージしやすいかと思います。
おそらくこのような経緯で、この地域の地形ができたと考えられます。
お読みいただき、ありがとうございました。
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参考文献
原 英俊・上野 光・角田謙朗・久田健一郎・清水正明・竹内圭史・尾崎正紀(2010)三峰地域の地質.地域地質研究報告(5 万分の1 地質図幅),産総研地質調査総合センター,110 p.
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