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イギリスのコロナ事情:自己隔離も大規模な検査も終了!すべては個人任せに😆【全文無料】

昨日2月21日、イングランドでは新型コロナに伴う各種規制がすべて撤廃されることが決定。パンデミックがイギリスを騒がせ始めてから約2年で、完全に通常の生活に戻ることになります

具体的には以下の通り。

2月24日(今週木曜日)から
・陽性者の自己隔離の法的義務付けを廃止(ただし5日間は外出せず、人との交流を避けることを推奨)
・接触者の追跡を終了(ワクチン接種完了者と18歳未満は、接触者となっても毎日7日間検査する法的義務がなくなる)
・低所得の陽性者への500ポンドの自己隔離支援金を廃止(法定疾病給付金の増額は1か月延長)

4月1日から
・一般を対象とする無料検査が終了(高リスクグループのみ対象に)
・症状のある人は外出するかどうか個人としての判断を求められる
・政府による現在のワクチンパスポートのガイダンスが終了(各会場での証明書確認も推奨せず)

この決断の背景にはさまざまな要素があります。まずはワクチン接種と自然感染によって国民の免疫が極めて高くなっていること。現在主流であるオミクロン株がこれまでの変異株に比べて弱毒化したこと。そして重要な点として、新しい医薬品が著しい効果を上げていることが挙げられます。さまざまな症例を見てきたことから、医師の判断力も大幅に向上しました。

これらの要素が合わさって、今冬の死者はパンデミック前の例年に比べてもむしろ低い数字に。つまり、イングランドにとって新型コロナは特別扱いをすべき脅威ではなくなったということです。

また、規制を続けることのデメリットも問題になっています。上のリンクはスコットランドのニュースですが、アルコール消費量の増加による死者が2020年には9%増えたという話。45~64歳の男性にこの傾向がとくに顕著でした。

イングランドでも同様の傾向が見られ、その他にもメンタルヘルスの問題や、子どもや若者などの低リスクグループへの過度な社会的負担も問題視されてきました。もっとも、昨年の5月ごろからは「ほぼフリーダム」な状況だったので、今はそれほど深刻ではないのですけれどね😄

そして、イングランドにとって極めて重要かつ深刻なのが「経費」の問題。コロナ関連のさまざまな支援や検査によって国の財政負担は増すばかりであり、1月だけで検査システムの支出が2億ポンド(約310億円)に(!)。「もうこんなことはやってられない」というのが本音です。

さらに、他のさまざまな問題が山積しており、もはやコロナコロナと言っていられない政治的な状況も。光熱費の高騰や物価の上昇などの国内問題も深刻ですが、ご存じの通り、ロシアのウクライナ侵攻がとうとう始まってしまいました😥

イギリスはロシアからは石油や天然ガスをほとんど輸入していないものの、ドイツなどの依存度の高い国が他国の資源を求めるため、世界的に卸売価格が上昇することは必至。

また、ロシアからは実はこれまでに大量の「汚いお金」がイギリスに流入していました。それを防止するためにまずは2008年から存在した投資家ビザ(平たく言えば億万長者ならすぐにイギリスに住めるビザ)の廃止を決定。その他にも今日、すみやかにロシアの銀行と億万長者に対する経済制裁が決まり、該当者のイギリスにおける資産が凍結されることに。

まあ、そんなこんなでともかく政府も仕事が山積みなんです。コロナ対策の優先順位が下がり、「2年間、できるだけのことはしたからね。あとは各自の判断でひとつヨロシク!」と放り出した感も(笑)。

新型コロナの規制撤廃に対しては、言うまでもなく不安や反発の声も聞かれます。高リスクグループの中には「規制が完全に撤廃されれば、さらに自宅にいる時間を増やさざるをえない」と考える人も少なくありません。わたしの高齢の友人も不安や政府への怒りを吐露しています。

また、規制撤廃後もほとんどの人は症状があれば外出はしないと考えられていますが、低所得者の中には「収入が減ると生活が困窮するから出勤しよう」と考える人もいるでしょう。

さらに、今までイギリスが他国に先駆けてさまざまな変異種を検知し、その感染状況を把握できたのは常に大人数の検査を行ってきたから。もちろん今後も小規模な検査システムは継続しますし、新たな変異種が流行すればすぐに元のスケールに戻す予定ですが、検査規模の縮小によってリスクが増す部分もあります。

わたしの周りではこの2年間でイギリスでコロナに感染した人はさほど多くはなく、4人に1人くらいかな…。いや、日本と比べたら十分多いんでしょうね😂ただ、わたしの友人は自宅勤務で独立した生活(シェアフラットや寮などではない)をしている人が多いからであって、一般的にはさらに高い確率で罹患しているかと。

何しろ、厳重に守られているはずのエリザベス女王でさえ罹患してしまったほど…。「風邪のようなマイルドな症状」との報道ですが、ご高齢とあって心配です。どうぞお大事にされて、今夏に予定されている「プラチナ・ジュビリー」こと在位70周年記念の式典に元気にご出席いただきたいものです✨

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