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選挙ポスターから写真を読む!早朝弾丸ワークショップ

選挙前になると、町中に貼られるポスターたち。

誰もが目にしたことのある題材である選挙ポスターをもとに、写真の読み方、そしてデザインの中での写真の役割について鈴木心さんに教わってきました。参加者は私とさどまち

※あくまで「題材として選挙のポスターを使った」というお話なので、政党や候補者に対しての解説ではございません!この記事において特定の政党を支持、あるいは非難するつもりは一切ありませんので!!


ステップ① 遠目に見て、どのポスターが一番目に飛び込んでくるかチェックしよう

掲示板全体が見渡せる距離から、ポスターを見てみます。頭を空っぽにして眺めてみたとき、ぱっと目につくのはどのポスターだろう?(記事を読んでるみなさんもぜひご一緒にチェックしてみてください!)





「山口さん?」
「いや、丸川さん?」

即座に名前が上がったのはこの2人でした。


数あるポスターの中でなぜ、この二人が目立つのか?ここから一緒に考えていきましょう。


ステップ② 目の動きを知ろう

人の目は、自然と「左→右」「上→下」の順番で情報を追うのだそう。そのため、目の動きに逆らわないデザインのほうが、すっと頭に入ってくるとのこと。

その知識をもとに、先ほど名前の上がったお二方のポスターをもう一度みてみましょう。


「顔写真が右半分」「名前が左半分」という共通点があります。さらに、「名前が縦書き」というところも同じ。

顔写真の情報と、名前の情報が、すっと頭に入ってきます。


ステップ③ ポスターの構成要素をカウントしよう

同じサイズのポスターと言えど、情報量はさまざま。シンプルに名前とスローガン、顔写真だけの人もいれば、写真を小さくして、政策や肩書きにスペースを割いている人もいます。

なんとなく、たくさん情報を入れ込んだほうが、言いたいこともたくさん言えて「お得」な気がする・・・と思っていたのですが、いざポスターを見て気づいたのは、要素が少ない方が印象に残るということ。

(要素を減らすとどう見えるか、の検証をする我々)


ステップ④ 写真の印象を比較してみよう

半ばデザイン入門になりかけていましたが・・・そうそう、肝心の写真を忘れちゃいけません。

「デザインは考慮せず、写真の印象だけで気になる人は誰?」と心さん。

この問いに対しては、さどまちと私の意見が一致。


「「塩村さんが印象的!」」

「それはなんで?」と心さん。

う〜ん、と頭をひねって出てきたのはこんな声。


・いちばん表情が自然で、証明写真っぽくない
・服装がカジュアルで親しみやすい
・肌や髪がきれい

裏返して言うと、ほかのポスターでは、顔色が悪くて沈んで見えたり、あまりに表情が堅くて近づきがたかったりするものも・・・。

たった一枚の写真でも、その印象次第で、頭の中で勝手にいろいろイメージしてしまいます。あらためて、「写真って大事!」「表情って大事!!」と頷きました。

瞳の中にキラリと輝くキャッチライトが入ってても、お肌がつるつるでも、表情が不自然だと、なんとなく親しみにくい印象を抱いてしまうというのも大事な発見でした。テクニックよりも表情がたいせつ。

色々見比べていくうちに、「真正面」だとどうしても証明写真っぽくなってしまう、というのも発見でした。ほんの少し、体にひねりがある方が、自然に見えますし文字とのバランスも取りやすい。



ステップ⑤ 色に注目してみよう

色彩に注目したとき、いちばん目立っていたのが丸川さん。

服装が赤なのも、偶然ではないはず。

血の色である「赤」は、人間が本能的に反応してしまう色。警告や、大事な広告、ブランドロゴのカラーにも使われます。その「赤」を意図的に使うことで、印象としてはかなり強いものに。

とはいえ、ほかにも赤を使っている人はいるいのに、なぜ丸川さんがこんなに目立つのだろう・・・?

首をひねっている私たちに、心さんがアドバイス。

「モノクロにして、コントラストを見てみよう」

さっそくiPhoneの純正カメラでモノクロ撮影し、Lightroomアプリに取り込みます。

ヒストグラムを表示すると・・・(赤で囲った部分がヒストグラムです)

左右に分布が多い!すなわち、コントラストが高いことがわかります。色だけでなく、明暗の差も、印象の強さに影響しているようです。

参考までに、ほかの方のヒストグラムも。みぞぐちさんのヒストグラムは、真ん中に集まっています。

暗い色がなく、明るめの色で統一されているということ。

強さよりも、やわらかい印象になります。


以上を経て、あらためて最初に目を引いた2つのポスターに戻ってみると・・・

・縦と横の情報配置がわかりやすい
・情報量が少なく、覚えやすい
・使われている色の数も少ない
・色彩のコントラストが強い
・真正面ではなく、ほんの少しだけ体をひねった角度

ということが共通して言えることに気づきます。

「なんとなく」の印象も、こうやって一つずつ読み解いていくと、ちゃんと理由があるんですね。

今回はデザインの話の比重が多くなってしまいましたが、写真もきっと同じ。「なんとなく、いい」「なんとなく、目立つ」その裏にはきっと理由があるはず。

特別な場所へ行かなくても、写真の勉強ってできるんだなぁ・・・などとしみじみ思っていたら、うっかり会社に遅刻しそうになりました。


・・・


90分間ずっと一生懸命ポスターを眺めていたら、それぞれの候補者の方達にだんだん親近感のようなものが湧いてきました(政策に同意するかはまた別のはなしですが)。

ついつい敬遠してしまいがちな政治や選挙の話も、興味の持てり切り口から入ると案外すんなり学べたりするものかもしれませんね。

みなさんもぜひ、明日の投票の前に、あらためてポスターを眺めてみてください。きっと何か発見があると思います。

(写真・さどまち

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