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なぜSNSでのマーケティングは失敗するのか?

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僕も含めて、SNSが日常の一部になっている方は少なくはない。
ともすると無意識のうちに私生活をSNSに支配されている……なんていうことも、往々にしてあるのだろう。

だから、SNSを利用して消費者に訴求することは素晴らしいアイデア…というより、ニュースタンダードといえる。
広告はそのフィールドをとっくの昔に電子世界に移している。

かくいう僕もSNSとは楽しく付き合わせてもらってる。
Twitterでは好き勝手発言しながら様々な交流を得ているし、Instagramでもこの小僧には勿体ない素晴らしいフォロワーの方々と繋がりを持っている。
フォロワーは決して多くはないが、それでもこれまで数回だけ、PRのご依頼を頂いた事がある。
自分の経験だけではサンプルが少なすぎるので声を上げるつもりはなかったが、クラシックスタイル愛好家界隈を覗き見ていると共通の懸念が見受けられた。
これについて僕は、控えめに言って「滑稽」に感じたので記事にしておこうと思う。

◆なぜ全く異なる購買層に訴求するのか?

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あえて言おうと思う。
僕が交流を持たせて頂いている方に、世間一般で言うまともな価値観をもった人はほとんどいない。
シャツ一枚に5万円を支払い、その運針のピッチにうっとりするような変態が世間的に「普通」なら話は別だが。

そんな素晴らしい変態紳士たちを捕まえて、下記のような類のPR依頼をよく聞く。

「オーダースーツが25,000円から!!
本物の上質を体感できます!!!」
たぶん、本物の上質は体感できない。

もちろん企業努力と未知なる魔法を使って本当に上質な(つまり変態紳士たちが納得する)クオリティのものが体感できるのなら、そのPRもやぶさかではないだろう。
このよくある売り文句が本当にクオリティの伴うものなら、百戦錬磨の恋愛マスターのナンパは

「へい!カノジョ!!お茶しない!?」

とかだろうか。
あながち無くも無さそうだ。

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まず変態紳士たちはその依頼を受けないから、苦笑いしながらお断りすることになる。
仮に変態紳士たちがひどく酔っぱらっていて、なにがなにやらわからぬ間に気を良くしつつ受けてしまったとしても、変態紳士のコミュニティに安くてそれなりの品質を求めている者はいない。
界隈の変態紳士たちは、「高くても本当に上質なもの」が欲しいのだ。
流行りとか廃りではなく、永く愛用品として愛でていきたい。
そんな欲求を、変態紳士たちは抱えている。

つまり、訴求できる購買層がズレているなんてものではなく、山の中腹でテレビゲームショップを開くくらい的外れだと僕は感じている。
僕にそのようなPR依頼が来たときは、丁寧にこの内容を説明してお断りするのだが如何せん矮小なアカウントなため、そうそうそんなPRはこない。
だから風のうわさや個人感のやりとりで「こないだこんな依頼があってさ……」といった話を伺う度に同じ思いになるのだ。

この話はあくまで、「そんな的外れなことしてくれるな、変態紳士諸兄に失礼だろ!」と発言したいのではなく、「時間がもったいないから購買層は見極めた方が良いのでは?」と投げかけたいだけに過ぎない。

僕が以前務めていた会社でも、インフルエンサーを利用したPRに躍起になっていた時期があり会議では常に「私の(依頼したアカウントの)フォロワーは53万です」とか言って戦闘力のように発表していた。
当たり前だが、フォロワー数はひとつの指標に過ぎない。
渋谷駅で自分の会社の魅力について一日中叫べば20万人にリーチできるが、誰もそんな会社を魅力的には感じないだろう。

これを見ている社内広報SNS担当者がもしいれば、ぜひ変態紳士に気を付けてほしい。
たぶん彼らはあなたが思っているような人種ではないぞ。


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