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パリの中華屋の娘のおはなしの続き

私は日本にいた時は中華料理はそこまで馴染みがなく、通っていた学校がフランス料理だったこともあり勉強も兼ねてと思い良くフレンチに行っていた。こちらに来てからは視野が多少広がり、あらゆる国の料理に興味を持つようになった。その中で再発見をしたのが、私は中華料理が大好き、ということ。ただ大抵のパリの中華はMSG(化学調味料)が強すぎて途中で頭が痛くなってしまう。中華食材にはありとあらゆる、いわゆる「旨味」を出せる食材が豊富にあるのになぜあんなに使ってしまうのだろう。別にアンチというわけではない。が、あれで味を決めるなんて非常に勿体無いし、様々な食材の良さを邪魔をしてるとしか思えない。作る側としてもあれに持っていかれるのは作る楽しさが減ってしまう気がするのだが中華料理人はその辺りをどう思っているのだろう。今度ソフィーにそのことについて聞いてみよう。

そんな話はさておき前回の話の続き。

私は個人的に色々と問題が起きて完全に参っていた時期があった。そんな時彼女が励ましてくれようとディナーに招待してくれたのは確か2020年の冬。コロナで規制が厳しくなり始めた頃でレストランも閉まっていたので私の仕事も休み、夜の24時以降外出していたら罰金というような感じの時だった気がする。私は誰にも会えないくらい精神的にやられていて実際誰にも会っていなかったし、誰からの連絡もほぼ返していなかったのだがソフィーからのメッセージはなぜか直ぐに返信した。単純に彼女に会って話したかったし、少し明るい気持ちになるかなと思い凱旋門方面へノコノコ出かけた。夜ご飯作ったから良かったら食べに来てよ!と言われたので軽い感じかと思いお邪魔したが着いて驚いた。立派な中華レストランでちょっと頼みすぎたかなと思うような品数を用意してくれていたのだ。私一人のために。あまりの豪華さに少し恐縮してしまったが、とても嬉しかったので恐縮はひとまず横に置いておいた。
作ってくれたものは、北京ダック、焼豚、海老の腸粉(蒸し春巻き)、エビチリにチャーハンに卵スープ、締めにピータンのお粥にデザートはりんごのタルトにマンゴープリン。飲み物はビールに紹興酒、最近取引を始めたというソフィーセレクションのナチュラルワインを勢いよく平らげた。会話で中華は少し残すのがマナー(お腹いっぱいで満足、十分という意味のため)という会話もあったが特に関係なく全部綺麗に食べた。りんごのタルトだけは届かずに持ち帰らせてもらったが。まるで高級ホテルの中華に行ったみたいだった。しかもそれぞれきちんと盛り付けをしていてくれたりして、何か動物の模した飾り切りとかもソフィーが真剣に切って飾ってくれた。
どれも本当に美味しかったが一番印象に残っているのはピータンのお粥。中国のお粥は美味しいと聞いたことはあったが私はお粥はお粥でしょう、とたかを括っていた。しかもピータンは食わず嫌いだ。しかしピータンの主張は全く激しくなく、お粥にトロンと馴染んでいて味に深みを与えていた。非常に美味しかった。今でも直ぐに思い出せる味、美味しさだ。
その頃レストランはコロナの規制でお店は完全に閉まっていたので全て私のために用意してくれたものだったし、あれだけの品数と料理にどれほどの仕込み時間がかかるのかは想像つく。正直あんなに丁寧におもてなしをしてもらったことはなかったので驚きと嬉しさと感動さえした。人に対してああいうことをさらっと大したことじゃないという感じにやってしまえるのは本当にかっこいいし、良い料理人のベースってこういうところなんだろうなって思う。人を料理で喜ばせたい、その単純な気持ち。
はちきれるくらい食べて飲んでいつもみたいにくだらない話をして、私はとてもありがたかった。あの時感じた気持ちは一生忘れないと思う、ありがとソフィー。とても華奢な体で中華鍋をふれるようになっていたし、自信もついたのか、とてもかっこいい料理人になっていた。

アイデア料理

私はパンケーキが大好きで休みの日によく焼く。一番好きなのはしっとりふわふわな卵の香りがふわっと香る素朴なもの。バターに蜂蜜をたっぷりかけて食べる。でもたまには少し変えてこんな感じのものを作ってみたらとても美味しかったので紹介します。

五香粉、黒糖のパンケーキと洋梨

1−2枚分

小麦粉100g

ベーキングパウダー小さじ1

卵1個
ヨーグルト100g
黒糖15g
塩 少々
溶かしバター10g
五香粉 少々

洋梨はソテーしてもキャラメリゼでも生のままでも!次回はパンケーキについて書こうと思うので詳しいことは次回書きますね。

では良い一日を。



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