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川の上を歩く鳥

家のカーテンを開けても4階から向かいの建物が見えるだけで気がつかなかったが、友達のあげたインスタのストーリーでベルリンに雪が積もってるいることを知った。先日の夜にだいぶ降っていたようで、確かに窓から下を覗きこんだら真っ白な雪が積もっていた。

去年の冬はあまり積もることがなかった雪だが、今年の冬はよく降って嬉しい。

外に出ると太陽が差していた。家の前の交差点にかかる橋からいつも散歩する川(運河)を眺める。川幅の端から端まで氷が張っていた。この前は池が凍ったが、とうとう川が凍った。いつも観察している鳥たちが、寝ている間に周りが凍って動けなくなったりしてないかといつもの鳥スポットまで歩いた。

川の近くに行くと、緑の川底と青空の色が混ざったような氷の表面が広がっていた。なぜかボールとビール瓶が氷の上に転がっていて妙な緊張感が接地面に産まれていた。(ポイ捨て許さん)

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鳥スポットに行くと、いつもいる白い鳥の小さい方(ゆりかもめ)が氷の上にたくさん立っていた。とりあえず体ごと凍ってなくてよかった。いつもは川を泳いでいる鳥たちが氷の川の上をよちよち歩いている。

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本人(本鳥)たちはどういう気持ちで川の上に立ってるのか、しばらく眺める。みんなしばらくじっと立って、よちよち歩いて、軽く飛んで、を繰り返している。軽く飛行してからいつもは足を伸ばし斜めに着水するところだが、氷の上なので伸ばした足をつるつる滑らせ、しばらく転ばないように羽と足をバタバタさせてから何食わぬ顔でバランスを取り戻し歩き始める。

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近くのやつが滑ってるのを眺める。

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しばらく先に進むと川幅が狭まる場所の一部は氷が張っていなく、水面が出ていた。その限られた水部分に白い鳥の大きいやつ(白鳥)が何羽かたむろっていた。

氷なんか早く溶けてしまえと苛立っているように見えた。普段優雅な人が苛立っているところを垣間見るとなんとなく怖い。そんな感じ。

歩きながら心の中で、「雪ナシ、太陽ナシ」の生活なら「雪アリ、太陽アリ」がいいと何回も唱えた。自分の中で何かを決定する時、考えに偏りがないか考える。バランスはとても大事で特に手元に無いものが美しく見えることは多々ある。「雪アリ、太陽アリ」の冬の生活を想像して、ワーホリで過ごしたカナダトロントの冬や住み込みで働いた山奥の温泉宿の冬を思い出してみた。屋根から伸びた光る氷柱、家の前の坂を中腰で歩く朝、どこまでも雪に沈む足。きらきらひかる青白い雪。考えるまでもなく雪アリ、太陽アリの圧勝だった。心の中でもう一度強く「雪ナシ、太陽ナシ」<「雪アリ、太陽アリ」と唱えた。温泉入りたい。