見出し画像

いい加減、ポジティブの押し売りやめませんか【前編】

そこら中に無数に転がり落ちる「自己肯定感」や「ポジティブシンキング」という言葉たち。

「自信を持つことが大事」というのも十分に理解はできるが、私はこういった姿形のない謎の圧力に、なんだか最近とても嫌気が差している。

1. ソーシャルメディアの産物「劣等感」

それは、私が大学生の頃だった。

Facebookを皮切りに、Twitter, InstagramなどのSNSが続々と出現し、時代は「個」の時代へと移り変わった。

それまでは、"自分"というたった一人の人間が発する言葉が持つ力なんてたかが知れたものだったのに、今はそのたわいも無い"独り言"が突如として大きなムーブメントを起こすことも少なくない。

そして、それが言葉だけではなく写真や動画といったもので一気に拡散されることもある。

別に、今も昔も実際にその「個」が持つ力量なんてこれっぽっちも変わってやしないのに、なんだか人間ひとりひとりが持つパワーが大きくなったと勘違いしてしまうような、そんな時代なんだ。

昔よりも遥かに今までは手に届かないような遠い様々な世界を、今は一つの画面を通して身近に感じることができる。

実際、それにより様々な出来事を全く知らなかった人と瞬時に共有することができる非常に便利なツールだ。

しかし、そこで同時に生まれる一つの感情が「劣等感」だ。

今までは、現実の実際の身近なコミュニティか、はたまた雑誌やテレビなどの非現実的な世界という究極の2択しかなく、誰がみても分かりやすくその2者の線引きははっきりしていた。

しかし、今は"親近感"という嘘か本当か分からない武器を振りかざし、今まであった現実と非現実の境をすっかりと消し去り、溶かしてしまったのである。

どこまでも続くこのグレーゾーンに困惑し、人は画面を通した手に届きそうで手の届かない非現実に今の自分を映し、比較し、勝手に落胆してしまうのだ。

「人と比べたくなんかない。」

「私は私だ。」

と心で何度唱えてみても、スクロールを繰り返しては容赦無くランダムに現れるリア充と自己顕示欲に疲弊してしまうんだ。

そういった個にスポットライトが当たりやすい時代に、疲労感を覚え詰んだ人々の前に現れたのが「自己肯定感」やら「ポジティブシンキング」、「自信」という言葉だった。


2. 自分に自信をつける方法 力尽く編

そう考えてみると、何故いま「自己肯定感」を高める必要があり、「ポジティブ」でいることを求められ、自分に「自信」を持たなければならないというフレーズが巷に溢れているかがよく分かる。

だって、みんなSNSで詰んでますから!

そして、そのまるで救世主かのように浴びせられる言葉の裏には、

「もし自己肯定感を高めることができれば、貴方も彼らと同じように自信を持って個をアピールすることができますよ。」

という意味を孕んでいるという風にしか、私は思えない。

別に、最早架空の世界のリア充や自己顕示欲と同じ土俵に上がりたいわけでは無いのに、何故か無意識のうちに彼らと比較し自信を喪失している自分がいる。

その状況で、更に追い討ちをかけるように「今の自分に自信がありますか?」なんて聞かれた日には、もう絶望すら感じるのである。

でも、心配することはない。

「自信を持ちましょう!」と言って、「はい、そうですね。」と簡単に自信なんてつくものではない。

自分の経験上、結果的に自信へと繋がったと感じれるものは、自ら決断しアクションを起こし何かしらを得たという実際の経験でしかない。

そして、それはなんらかの「責任」を伴っていれば尚更そのバックは大きい。

やはり、リスク無くして得られる実体験からの自信というものはないようだ。

ある一部では、「その成功体験は、その状況下で偶然起こり得たものであり、そこで自信をつけるのは間違っている。よって根拠のある自信よりも根拠のない自信の方が大切だ。」という方もいるが、


うるせぇよ。


とりあえず黙っとけよ。


誰がいい歳してフワッフワのどうしようも無い根拠のない自信なんて持って仕事すんだよ。

根拠のない自信なんて、単なる慢心でしかない。

ここで私が言っている"実体験から得る自信"というのは必ずしも、「成功」とは結びついていない。

勝ち負けや、何か決定的な評価や報酬みたいなものを必要としてるわけじゃない。

自分がその時、自らが責任を持って決断し、動き、そしてそれによって何かが変わっていくその瞬間を、しっかりと自分自身が身体と心で感じる体験が重要なんだ。


つづく


窪 ゆりか

HP:https://www.yurikakubo.com/

Twitter:@49lilyurika

Instagram:@lilyurika49

YouTube:窪 ゆりか//Yurika Kubo

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?