採用はスキルや経験のマッチでいいのか!?

求人の応募条件は、”○○の経験×年以上”とか、”プレゼンテーションスキルがある方”、”コミュニケーション力が高い方”という文言が、ほとんどだ。「当たり前じゃないか」と誰も思うだろうが、私は常々「ホントにそれだけで適材を見つけられるのか」と疑問に思っている。

以前にも書いたことがあるが、よくある”業界経験”というのは、リスクをはらんでいる。企業側からすると、応募者の絞り込み過ぎてしまうからだ。また、応募者側は、有利に思える業界経験も、入社後、同じ業界だからこそ、「前にいた会社はこうだった」と、違和感を感じ、それにより、孤立や退職の時期を早めるからだ。

だったら、業界経験よりも、その仕事をする上での、行動特性と日本語に訳される「コンピテンシー」の方が大事だと思う。例えば、私の採用の仕事は、ITエンジニア採用の経験があるとか、書類審査、面接の経験がどれくらいあるかが、重要視される。だが、やったことがあるか、ないか、だったら、経験が長い方がいいが、その応募者が、企業やポジション、またはその部署や、Hiring Managerとうまくやれるのか、人間観察力は欠かせない。だが、採用職種の募集に「人間観察力が優れている方」という条件は今まで見たいことがない。実際、1時間足らずの面接で、人間観察力があるか、どうか、見極める基準がないからだ。となれば、経験の「やったことがあるか、ないか」は、語ってもらえば判断がしやすい。

元を言えば、経験だって、ないものを、さも経験豊富のように”盛る”のは日常茶飯事。経験の判断基準さえあいまいだ。だが、”判断基準がないから、応募条件にしなくていい”という訳ではない。

行動特性(コンピテンシー)を書類や面接という限られた時空間の中で、どう見極めるか、それこそが、その企業文化、特徴といってもいい。

私は企業に、独自のケーススタディや課題を出してみてはどうかと提案をする。それは、正解のない、カンニングしようのない、実務業務に近いものだ。仕事の仕方は、その人の性格を表す。たとえば、実際にあったトラブルを例に、あなたなら、顧客にどう説明/釈明するかと言った課題だ。ひたすら謝る人、状況を分析する人、値引きを提案する人、その答えは様々だ。そに答えにより、企業やその部署の方針と合うか、合わないか、見えてくる。また口では「粘り強い性格」とアピールするが、あっさり引き下がるような提案を出してくれば、自己アプールの信ぴょう性が怪しくなる。

だが、こうしたケーススタディを取り入れる会社少ない。前例がないとか、課題作成や採点の時間がないと、いろいろ言い訳するが、要するにどんな人物がほしいか、定まっていないから。分かりやすく”自分の言うことを聞いてくれる人”や”面倒くさくない人”がほしいに過ぎないから。

経験やスキルがないのに、さもあるようにアピール上手の人が書類や面接が合格しやすいなんて、不公平だと思う。どんな状況であれ、変えようない行動特性がマッチしているかどうか、その方が何十倍も、仕事の上において成功の確率に差が出てくることを、多くの人は気づいていない。

「人生経験の引き出し」がいっぱいあります。何か悩み解決のヒントになる話が提供できるかもしれません。