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成長するのは、何のため?

いわゆる第二新卒と言われる、社会人経験数年の応募者を面接した時のこと。定番の”何故この会社に応募したのか”質問をした。「御社の募集内容を見て、〇〇が経験できると思ったからです」。他に質問がないか聞いてみると、「御社では、若手の成長のため、どんな取り組みをしていますか?」この応募者の面接のすべての回答を通し、とても違和感を覚えた。

会社とは、利益を生み出すことが最大の目的だ。その利益を生むため、労働の対価として従業員に給与を払っている。その過程で、従業員の個々人の成長は、会社にも若干ポリシーの違いはあるが、「主目的」としていない。何故なら、会社は学校とは違うのだ。だが、最近の若手の人は、「自分の成長」を就職/転職目的としてと面接で回答する人が結構いることにどうもしっくりこない。もちろん、会社が利益生む、拡大する過程で、従業員が成長するのは、それはいいことではあるが、極論を言えば、従業員が成長しなくても、利益は生み出せるからだ。

成長とは、何だろうか。数年前の過去の自分を振り返り、今の自分を比較し、こんなことが出来るようになった、あんなことが理解できるようになること。この「何かが出来る」「何か理解できる」ことで、独り立ちをし、その成長過程で得たモノを、社会や他者へ役立てるように還元することだと思う。他者から何かをもらうことを期待している人間は、決して大人とは言えないし、社会人として、組織の中で働けるだろうか。

この応募者は、単に働くだけでなく、従業員の成長も考慮してくれる会社に入りたいという意味だったのだろう。ならば、希望する通りに自分を成長させてくれたら、「私、ここで成長したなぁ。ありがとうございました。さらに自分を成長させてくれる会社に転職します」と自己満足して辞めるのだろうか。「成長欲求」、つまり、社会や他者の中で、自分が変化していくことを受け入れることは、どんな年齢になっていても持っていたいが、「自己成長欲」は他人に与えてもらうばかりで、自立した社会人とは言い難いのではないだろうか。

追記:4696a4bisさんのイラストを使わせていただきました。ありがとうございました。


「人生経験の引き出し」がいっぱいあります。何か悩み解決のヒントになる話が提供できるかもしれません。