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<白血病くらし> はじめに。

米国オレゴン州ポートランド在住のユリです。私が家族旅行中にたまたま受けた人間ドックで、白血病との告知を受けたのは、2020年1月8日のこと。その後米国にて7ヶ月の治療を行い、8月に寛解宣言を受けました。

そんな自分の経験を通して、いきなり白血病と共存することになった、私と私の家族の体験を共有したいと思います。どんな副作用が出るのか、どんな薬を使ったなどの治療記録ではなく、この7ヶ月間どのように白血病とうまく折り合いをつけて生活したのか、「治療中」という新生活をより快適に過ごすためにしたことなど、「白血病暮らしの知恵袋」として記録したいと思います。

ただ、これらの記録は医学的根拠に基づくわけでもありません。一口に白血病と言っても、それぞれの体調や置かれている立場は様々であり、これらのことが全ての人に当てはまる、役に立つとは限りません。それどころか、時には寧ろ治療の妨げになってしまうこともあるかもしれません。そのことをご理解の上、あくまでも参考程度に読んでいただけたらと思います。

闘病という響き。

もともと、大雑把な性格のくせに、変なところにこだわりのある私ですが、「闘病中」と言われること、書くことにどこかずっと違和感がありました。

「病と闘う」と書く、闘病。英語でも、"fight/battle against cancer"という言葉を使います。癌を克服することを、"win the fight"とも。でも、癌と告知を受けたあの日から、自分では何かと闘っていたような感覚がありません。ある日、私の中に癌細胞があることが発見され、その日から身体の状態を「より健康的な」「ふつう」の状態に戻すための、新生活が始まったという感じのような気がします。

完全な準備不足で始まったそんな新生活の中で、初めて聞く大量の医学用語に埋もれそうになりながら、新しいルールと環境の中で、少しずつ私なりのリズムを掴み、病気と上手く付き合っていくコツを見つけていったように思います。

そりゃあ、辛いこともあったんですけどね。でも、バトルを繰り広げたというのでもなく、あくまでも全てがプロセスだったように思います。

闘病の意味。

とは言え、この記事を書くにあたり辞書「闘病」の意味を調べたところ:

とう‐びょう〔‐ビヤウ〕【闘病】 
[名](スル)病気を治そうという強い意志で療養につとめること。

強い意志があればいいのか!?私の場合「これはプロセスなので、時期が来たら治る」という絶対的な確信をもって生活していたので、それが強い意志だったのかわかりませんが、強い信念を持って療養はしていたように思います。

ただ、この辞書の意味を見ても、やはり「闘病」という言葉に違和感があるのも事実です。世の中、私のように変なこだわりを持った人ばかりではありませんが、「治療」「療養」くらいの響の方が、重すぎず私は好きです。


と、ここまで書いて、「白血病暮らしの知恵袋」の「知恵袋」部分にたどり着けてないことに気がつきました。

結局、今回は・・変なことにこだわりを持って生きていると、肝心なやらなければいけないことにたどり着けずに、時間を無駄にすることもあるというお話でした。

とは言え、最後までお付き合いありがとうございました。「白血病暮らしの知恵袋」については次回から・・・


ヘッダー画像は、入院していたポートランドの病院からの眺め。毎朝この景色を見るたびに、「きっと今日もいい日になる」と思ったものです。

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