【短編】望んでいた結末

腰がだるくて、起き上がれない。

ほんの数日前のこと。
降り積もった深い雪が溶けるような、温かいいお天気の日。
いつものように、バス停でバスが来るのを待っていた。
暖かいといっても、0度を超えたぐらい。
この雪国では、暖かくとも、東京などでは真冬の気温だろう。
海の街の風は強くて、降り積もった雪の上を渡る風をいっそう冷たいものにしていた。
私な痛む腰に手を当てながら、片方の手をの手袋を探している。
ーなかなか腰痛が治らないな。
3分ほど遅れてバスが到着した。
大きな音を立てて、口を開けるバスに、よっこらしょと声を出して乗り込んだ。
椅子に座る時にも、ふぅと声が漏れた。
ーそういえば、いつから腰が痛かったんだっけ。
氷のように踏み固められた雪道を走るバスは、時々大きく揺れた。

病院のベッドに横たわっている。
窓から入ってくる日差しは、力強く、海の街の春の訪れを感じさせていた。
私は虚しい気持ちでそれを見ていた。

自宅に戻ってからの生活は、穏やかで幸せだった。
終わりの日まで、毎日を大切に生きた。
好きな時間に起きて、好きな本を読んで、好きな時間に寝る。
幸い、自宅の中なら自由に歩けたし、食事もとれた。
あと数日を楽しんで。
誰にも知られることなく、この人生を終える。

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