扉を開けるとそこは異世界。
アラジン珈琲店。
日が暮れる頃、街角にぽぉっと現れる摩訶不思議なカフェ。
ここでは、マスター、メイドの芽衣、それから常連客と新客が、
夜な夜な好きなこ…
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2021年3月の記事一覧
アラジン珈琲店【X版】⑥<バイアス其の一>
⑥「それなら、ばかみたいな失敗を少しばかり話しても問題なさそうね。」
「勿論です。」
「勿論ですとも。」
Xと、マスターがほぼ同時に強い語気で言った。二人とも素直に話せる雰囲気を演出するプロフェショナルと言ってもよかった。そのことをマスターに言えば、「ははは、それはですなぁ、珈琲の魔法ですよ。」そう答えたことだろう。マスターの傾聴の高度な洗練を翔子は知っていた。マスターは、徹底して話を聞き、適