透明な夜、君を迎えに 第一話
※タイトルと内容が合わなくなってきたので、タイトル変更しました。
昨日、野毛のゴシックバー・プラシーボでのボドゲ会に行ってきました。
人生初のマーダーミステリーをプレイしてきて、とても楽しかったのですが、未プレイの方もいらっしゃると思いますので、ネタバレ出来ないのが残念です。
マダミスの前に「ミリオンヒットメーカー」というカードゲームをちょっとだけやりました。
手持ちのカードを組み合わせて本や映画のタイトルを考える、というゲームです。
以前やったことのある「BIG IDEA」というゲームとも似ていましたが、カードの数が半端なく、なんと1000枚!
このゲームで私が考えたスプラッターホラー小説のタイトルが、「初恋 ~会って2秒で地獄絵図」です。
少し前、相方に「小説書いたら?」と言われたことがあります。
シナリオは舞台用、朗読用に何度も書いたことがありますが、そういえば小説ってほとんど書いたことがありません。
童話のような短い物語なら、何本かあります。
それも小説っていうのかな。
小説書いてみたい、と思いつつ、他のことに忙殺されて日々が過ぎていました。
何を書くか。
小説を書く時の、それが第一のハードルだと思います。
でも、今回ひょんなことからタイトルが出来た訳ですよ。
あれ?じゃあ本文書けるんじゃね?
ということで書いてみました!
これを冒頭部分として、このままリレー小説として続けるのもありな気がします。
続き書きたい方、大募集!!
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カレと目が合った瞬間、わたしの心は恋の牢獄の虜になった。
小説やマンガや映画の中になら、いくらでもあるシーン。
いやいや、あり得ないでしょ。どこの誰かも分からないのに?
わたしはそんなシーンを目にするたびに、心の中で呟いたものだった。
なのに。
今、わたしは自分の心臓が、激しいリズムを刻むのを聞いている。
頬が熱くなっているのに気づく。
わたし今、顔が真っ赤なんじゃない?
カレに見られているのを意識して、余計、頭に血が上る。
昼間に学校で、友人たちに言われたセリフが頭をよぎる。
新しいクラスにも馴染んできて、教室にはどこか浮かれたような空気が漂っていた。
「りなりー、ほんっと男子とかに興味ないよね?」
呆れたように声を上げたのは、男子の友達が多いゆまだ。
彼氏とは別に遊ぶ子も多いらしいが、別に浮気性というわけではない。
「キミも彼氏の一人くらい作りなよ。紹介するからさ」
そう言われるたびに、わたしは何だかんだ理由をつけてかわしてきた。
「ほら今、コロナとか怖いじゃん。濃厚接触できないっしょ」
「無理だよ、この子オタクだから。プログラムいじってるのが一番楽しいんだって」
そう言ったのは、中学からの付き合いの雫。
うん、わたしのことをよく分かってる。
エンジニアの父から、音楽作成ソフトをプレゼントされたのは、11歳の誕生日。
それ以来、わたしの心を揺り動かしてきたのは、電子のリズムとメロディだけだった。
男子なんて、いや女子もだが、三次元だろうが二次元だろうが十次元だろうが、まったく眼中になかったのだ。
なのに。
わたしはうろたえながら、辛うじてカレの視線を受け止めた。
とても長い時間に感じたけれど、恐らくはこの間、2秒くらいのものだっただろう。
青白い街灯の光に照らされた、郊外の舗装道路。
緊急事態宣言下とあって、夜9時過ぎとそう遅い時間でもないのに、人はおろか車一台通らない。
カレは古びた工場の建つ横道からふと現れ、わたしの姿を見て立ち止まった。
そして、雲間から射す月光の一筋のような、鋭い視線をわたしの身体に走らせた。
そのまま、流れるような身のこなしで、固まっているわたしの左腕を掴み、先ほど出てきた横道の暗がりに、わたしを引き込んだ。
「えっ?!」
思わず、声が漏れる。
掴まれた腕が熱い。
まるで、そこに血液が集中して流れ込んでいるみたい。
次の刹那、熱さが暴力的な痛みに変わった。
目の前の草むらに、わたしの左腕がある。
ギザギザした傷口が、白いブラウスの破れた袖の陰に見える。
街灯の光がほとんど届かないのに、そんなにはっきり見えるのが不思議だった。
白いブラウスがどんどんどす黒く染まっていくのを、わたしはぼうっとなりながら眺めていた。
カレの唇が、わたしの耳に近づく。
「可愛いよ、すごく」
はじめて聞く、カレの声。
高くはなく、かといって低すぎず。
甘みを含んだ、そしてとても切ない、声。
少し擦れているのは、興奮を抑えているからかもしれない。
「こっちも、いい?」
わたしが何も言わないうちに、もう一本の腕にも痛みが走り、頭がくらくらとした。
「あ……」
わたしの右腕に、カレは愛おしそうに頬ずりをした。
血って、人の身体の中に、こんなにたくさんあるんだ。
カレの手に光るナイフは、殺傷を目的とした武骨なものだったけれど、わたしには高価な宝具のように思えた。
だって、そうに決まってる。
それは、カレのわたしへの愛の証なんだから。
「はじめてなんだ。
今まで、何人もの女性を殺めてきた。
でも、満たされたことは一度もない。
君と目が合った時、ああ、この身体を切り刻みたい、って思ったよ。
君こそ、僕の理想の女性なんだって、すぐに分かった」
「うれしい。わたしも……」
わたしの声は、もう声にはなっていなかったけれど、カレには届いたに違いない。
カレの手にしたナイフが、今度は左足に振り下ろされるのを感じながら、わたしの意識は遠のいていった。
頭の中に流れるのは、わたしがはじめて作った、曲。
なんてタイトルだったっけ……。
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