鈴村智久「バシレイア:思弁的神秘主義の理論と実践」
カトリックにおける「奇跡」とは、イエス・キリスト及び聖人たちの神性を保証する、超自然的な出来事を指す。
著者の身の上に起きた出来事は、紛う事なき奇跡と言えよう。
もちろんその真偽の判定には本来、厳格な手続きが必要とされるが、少なくともこの本が啓示の書であり、ヒルデガルト・フォン・ビンゲンやマイスター・エックハルト、ヤコブ・ベーメ、スウェーデンボルグ、イグナチオ・デ・ロヨラ等の神秘主義的著作に連なるものであることは議論の余地がない。
取り分けて価値があるのは、この本が中世ドイツ