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ゴールデン街・瑠璃の夜 第三夜「世界に広がる日本の文化」

これまで書いてきたアメリカやオーストラリア、ヨーロッパなど、所謂欧米人が多いのは間違いないが、韓国や中国などアジア諸国からのお客様も少なくはない。
韓国人のお客様でよく見られるのは、若い男性の一人客だ。
大抵は日本人より若く見えるので、「お酒飲めるのかな?」と思って聞くと、社会人だったという場合もある。
一番最初に話した韓国人のお客様は、建築を勉強している学生だった。
丹下健三や安藤忠雄、磯崎新、黒川記章などの建築家の名前を挙げると、韓国でも有名だ、その人は知っている、その人は知らない、などの答えが返ってきた。
「隈研吾氏の設計した、武蔵野ミュージアムはいいですよ。ちょっと遠いけど、是非行ってみてください。アニメや漫画にまつわる展示も充実してます」
と、勧めてみた。

そう、韓国からのお客様は特に、日本のアニメやゲーム、マンガが大好きという方が多い。
日本でそういう仕事をしたい、という方もいた。
そして、日本語をよく勉強している。
独学だったり、学校で学んだり。
私が声優として関わっている「ダメイドナナ」のyoutubeの動画を見せると「すごい!」と目を輝かせて見入ってくれる。
韓国人のお客様と「どんなアニメが好き?」と盛り上がっていると、少し離れた席にいたアメリカ人の親子が着ていた「ジョジョの奇妙な冒険」Tシャツを見せて「私はジョジョが好き!」なんて言う一場面もあった。

ジョジョは私の周囲にも好きな人が多く、私も影響を受けて、第五部のファンサイトを作っていたこともある。
イタリアから来たアニメ好きだというお客様が、「ジョジョ」を知らなかったので、イタリアが舞台となっている第五部を勧めておいた。

アニメ好きを自称するお客様は実際、私より余程日本のアニメ・マンガに詳しかったりもする。
「鬼滅の刃」「進撃の巨人」「呪術廻戦」辺りはほぼ履修しているし(私はほとんど見ていない)、「ドラえもん」も人気だし、「AKIRA」だってちゃんと知っている。
日本の生み出した作品が世界中で愛されているという事実は、日本人として嬉しいし誇らしく思える。

日本が好きだという外国人に、アニメやマンガ以外に日本の好きなところを聞くと、真っ先に返ってくるのが「日本は綺麗で安全だ」ということ。
綺麗というのは景色の美しさということもあるだろうが、衛生面での「綺麗」なんだと思う。

ヨーロッパの古い町並みの統一感に惹かれる私などは、節操なく何でも取り入れる日本の都市をあまり美しいとは感じないのだが、美意識はともかく潔癖さというのは、日本人に特有のものではないだろうか。
生々しいリアルを拒否し二次元のコンテンツを偏愛する人が多く現れるのには、こういったところにも理由があるのかもしれない。

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