［声劇台本］かくれんぼ［ASMR/オノマトペ］

ゆきな「ね、お兄ちゃん。ゆきなのこと見つけられる？
こしょこしょ、こしょこしょ。
ふふっ、気付いてないみたい。
とんとんとん、どなたですか？　
とんとんとん　いいえ、そんな人はいません。
ゆきな、かくれんぼの天才かも！
お兄ちゃん、かわいいなあ。あんなに慌てちゃって」

かずと「もう！ゆきな、どこ行ったの？
ダメだよ、こっそり入ったりしたら……。
ほら、今のうちに早く出ておいでよ。
やだな。ぴちゃぴちゃ、ぴちゃぴちゃ、水たまりができてる。
風もすごいなあ。
木の葉の揺れる音がする。
ざわざわ、ざわざわ、ざわざわ、ざわざわ。
……ほんとに、どこ行っちゃったんだよ。
ゆきなぁ、ほら、かくれんぼは終わりだよ。
もう、先に帰っちゃうよ」

ゆきな「お兄ちゃん、ゆきなに気づいてないんだあ。
面白いから、もうちょっと隠れてよ。
んー、静かだなあ。
ママ、今頃何してるんだろ。晩ごはん作ってるかな。
ぐつぐつ、ぐつぐつ。美味しいシチューが、もうすぐできますよ。
ぐつぐつ、ぐつぐつ。
できましたあ！
ちりんちりん。さあ、ご飯ですよ。みんな集まって。
ちりんちりん、ちりんちりん。
いただきまあす。
かちゃかちゃ、ごっくん
わあ、美味しいなあ。
パンもありますよ。
むしゃむしゃ、むしゃむしゃ。もぐもぐ、もぐもぐ」

かずと「だんだん、暗くなってきたぞ。
困ったな。おばあちゃんに怒られちゃう。
ゆきな、ゆきなってば。
ダメだよ、おばあちゃんが、森には入るなって言ってたでしょ。
神様のバチが当たるよ、って。
うわ、がさがさ、がさがさ、すごい草がいっぱい生えてる。
それに、柱とか崩れてて、危ないし……。
わ、ハチが飛んでる。ぶんぶん、ぶんぶん。
刺されたら大変。ゆきな大丈夫かなあ」

ゆきな「お兄ちゃん、だいぶ疲れてきてるみたい。
そろそろ、出て行ってあげようかな？
ぺたぺた、ぺたぺた、ぺたぺた。
お兄ちゃん、お兄ちゃん、ゆきなここだよー。
あれ？お兄ちゃんどうしたの？
なに？ゆきなが見えないの？
え……なんで？
お兄……ちゃん……？」

かずと「ゆきな、もしかしてもう帰っちゃったのかな。それとも……。
うわっ、びっくりした……。草に埋もれてて、井戸があるの気づかなかった。
ん？なんか引っ掛かってる。
靴？
え……こ、これ、ゆきなの……！
は、早くおばあちゃんに、いっ、言いにいかなきゃ。
はあ、はあ、はあ、はあっ……う、うわあ、わあああああああ！！！」

ゆきな「お兄ちゃん待って。どこ行くの？
なんでゆきなのこと、置いてっちゃうの？
お兄ちゃんやだよ、お兄ちゃあん。
うわぁん、お兄ちゃああん！！
うっ、うっ……ぐすっ、ひっく、ぐすん……
う……うっ……う…………」