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『春と私の小さな宇宙』 その69

※ジャンル別不能の不思議な物語です。少し暗め。
※一人称と神視点が交互に切り替わります。
以上が大丈夫な方だけ閲読ください。
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それから普段の日常に戻った。

生物学部には新しい教授と助教授が配属され、ハルの計画を邪魔する者はいなくなった。

結局、家庭教師の報酬は宮野が死んだ今、金銭のみになった。研究室が自由に使えないのは痛かったが、伊藤が使っていた設備を使えば計画に支障はなかった。
 
全ての問題が片づき、また平和に繰り返す日々が始まった。

ハルは今日も、バスに乗る。暖房の効いた車内が心地いい。他の乗客もひとときのオアシスを堪能していた。

これまでの出来事がリセットされたかのように、バスは同じルートを走る。窓から見える光景は、いつもと同じものだった。窓の外を眺めながら、ハルは理想の人間社会を想像した。

生と死が内蔵され、完成した命。

寿命が設定され、任意の役割や機能停止の制御が決められた完璧な人生。

必要とされる者は瞬時に使用され、そうでない者は速やかに排除される。一切の無駄がない、効率を重視した素晴らしい未来が始まるのだ。

それを成すのはこれから生まれる我が子である。新たな第三世代はこのバグにまみれた世界を救う。

世界を改変し、いずれ全ての人間を第三世代にするだろう。ハルは胸を躍らせた。

新しい世界に想いを巡らせていると突如、乗客たちが騒ぎ出した。多くの人が前の方向を指さしている。

何事だと思い、ハルはバスのフロントガラスを見る。

強烈なブレーキ音が聞こえるとともに、大型トラックがバスの正面に衝突した。


続く…


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