幸運を払いのけてしまった

　一人旅でコペンハーゲンを訪れた。お洒落な北欧のイメージ通りの国だったが、何故かあまり良い気分で楽しめなかった。物価が高すぎてコスパに納得いかないところが多かったからかもしれない。

　3食外食ではお金がかかってしょうがないからと、日本からカップラーメンを持ち込んだが壁の薄い安ホテルではお湯まで有料だった。レストランで食事した時には隣に日本人の男子大学生３人組が座り、心底くだらないことで口論し始め、うんざりした。定番の世界3大がっかり遺産の人魚姫像はベルギーの小便小僧と違い、観光客に囲まれることもなく、何の特別感も無かった。

　それもこれも、私がてんとう虫を払いのけてしまったからかもしれない。

　ヨーロッパでは、てんとう虫は幸運の象徴と聞く。コペンハーゲンの目抜き通りを歩いていた時、てんとう虫が私の体にとまった。「虫！」と思い反射的に払いのけてしまったが、あれはてんとう虫だった。日本では歩いていててんとう虫にとまられることなんて滅多にないのに。惜しいことをした…。そのせいではないと信じたいが、どうもこの写真のリングは対人運がよろしくない。このリングをはめて会った人とは、その後縁が薄れがち。

　てんとう虫、また来てくれないかしら。

magazine "Foreign bijou" vol.3