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育児の超不確実性とママの変化対応力_東京爆誕子育生活

前回の投稿で、尊敬する友人数名に頂いたヒントを元に、育児って不確実性の高いプロジェクトだよね、という話を綴ってみたいと思います。

どんなビジネスより不確実性が高い育児

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大企業からベンチャーまで、15年も社会人をしてきたのである程度の修羅場は経験しているわけですが、育児の大変さは別次元です。一言で言うと、とんでもなく不確実性が高いプロジェクト。今日は抱っこして寝かしつけできた!と思っても、翌日はどんなに抱っこし続けても寝ずにギャン泣き。その翌日は寝かせて置いただけでケロッと寝入ったりと、日々の変化がとても激しい。明日何が起こるか、いや数分後何が起こるのか、全く想像できません。

少しでも先を予測する材料があればいいのですが、我が子が持っているコミュニケーション手段は「泣く」一択だし、ニコニコしていた次の瞬間突然ギャン泣きするので、非常に予測し辛い、それが育児です。

仮説検証が成り立たない

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少しでもヒントを得たいと思い、育児書や先輩ママのSNS等を眺めてみても、あまりに様々なケースが存在していてどれが我が子に当てはまるか全く分かりません。子どもの個性は非常に分散が大きく、「一般的な」「平均的な」子どもというのは存在しないのです。さらに、ネットに転がっている一般的なケースと比較して、我が子の発達が遅いのでは?と不安になってしまうので、かえって逆効果だったりします。つまり育児は、社会人時代に習慣化していた仮説検証サイクルが全く役に立たないのです。そもそも仮説が立てられないし、検証しても次の行動は全く異なるので検証が意味をなさない。これは手強いプロジェクトです。

育児に必要なのは変革型リーダーシップ

ちょっと専門的な話になってしまいますが、私の修士論文のテーマは「男女のリーダーシップの違い」でした。不確実性の低い環境においては男性が得意なトランザクショナル(指示型)リーダーシップの方が効果が高い一方、不確実性の高い環境においては女性が得意なトランスフォーメーショナル(変革型)リーダーシップの方が効果が高い、という基礎論文に依拠しています*。細かく方向性を示して最短距離でゴールに到達しようとする指示型リーダーシップに対して、大きく向かう方向性だけを示し、変化に柔軟に対応しながらゴールに到達するのが変革型のリーダーシップです。

修士論文書いている時は夢にも思いませんでしたが、育児に没頭する今、日々最大級の不確実性に晒される中でのひとつひとつの意思決定は、まさに変革型のリーダーシップだと思います。我が子の幸せという一つの方向性に向かって、時には回り道しながら意思決定していく。ある程度規模の大きい会社では絶対に経験できない、とてつもなく人を成長させてくれる課程だと思います。

育児ママは変化対応型人材

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超不確実性の高い育児という状況下で意思決定する経験を詰んだママやパパは、仕事上でも少し違った見方やアプローチができるのではないでしょうか。以前ある友人が「長期産休後に復職して会社でついていけるかどうか不安」だと漏らしていました。彼女は安定した産業の会社に勤めているので、社内では指示型リーダーシップが主流なのでしょう。しかし、仕事では経験する事ができない高不確実性を経験し、人として成長している分、異なった見方やアプローチで問題解決ができるようになっているはずです。企業側も変化対応できる人材として育休明けのママやパパをを活用する事が、これからの時代ますます必要になってくるかもしれません。

*…Eagly, A. H., & Carli, L. L. (2003). The female leadership advantage: An evaluation of the evidence. Leadership Quarterly, 14(6), 807-834. https://doi.org/10.1016/j.leaqua.2003.09.004



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