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下界の優しさと上界からの指摘_【見た夢の光景】

 そこは地下にあるような、隅っこに追いやられたような、実際に隅にある部屋だった。私はそこにいることになった。そこは何か大きな機械を扱うような作業場のような雰囲気で実際に作業服を来たおじさんたちがいた。そこにいる人はみなにこやかで優しかった。
 そこにいることになった、とは、例えば職場の自席がそこになったような、自分のロッカーがそこに設置されたような、自分の寝場所がそこになったようなイメージだ。感覚としては少しだけども、そこに追いやられた感じだった。でも、私は別に問題ない、むしろこっちのほうがいいわと思っていた。あ、でも合唱の練習の時どうしよう、と一瞬思ったが、そっか今は3年生だから合唱はないんだった、とホッとした。
 その部屋の扉は重厚で、中も暗かった。暗かったけど嫌な感じはしなかった。私はそこで寝泊まりをしていた。中には人がいるけれども、誰も私を咎めなかった。いつものように少し遅めに起きて、寝巻きでふらついても誰も気にしなかった。私も気にしなかった。
 その部屋を出るとそこは上界のような顔つきで、デパートのような広い空間であらゆる人が行き交っている。この上界に出ないと顔を洗えないのだった。すでに始動している人々の中を寝巻きで縫って歩く。みんな早くから動いているなぁ。感心しながら洗面スペースまで行く。そこは洗面もできるけど、長テーブルになっておりパソコンを開けて仕事をしている人もいれば、食事をしている人もいた。誰も気にしない。私も気にしない。楽でいいな〜と顔を洗って、髪の毛を溶かしながらまた下界の部屋を目指す。
 下界の部屋の隣にももうひとつ重厚な扉があって、その扉が開かなくなってしまったと人が群がって騒いでいた。そのため自分の部屋の扉の前もごった返し通れなくなっていた。隣の扉を開けるべく大きな男たちが声を合わせて苦戦している。私は他人事のようにそれを見ていた。自分の部屋に入ろうとして道がふさがっているところを、下界のおじさんたちが見つけてくれて、扉を開けて「こっちこっち!」と中に入れてくれた。
 喧騒を抜けて暗い部屋に戻ってホッとしながら歩いていると、若い溌剌とした女性が後ろから声をかけてきた。赤と紺のパーカーを着ている。この部屋の人ではない。ついてきたんだと思った。なんですか? と振り向くと女性は「あなた、〇〇の件であなたも被害に遭っているのではないですか?」と言った。私はびっくりしたと同時に、は? そんなことあるわけない と彼女を無視して先に進んだ。するとさらに女性は「だって、胆嚢から黒いものがこんなにも出ていますよ」と私の歩いた跡を指した。さらに私は、は? と思い、そんなもの私には見えないと、無視して自分のロッカーのある方へ進んだ。
 ロッカーのあるいつものところへ来たはずなのに、そこは本棚になっていて、後をついてきた女性がその本棚から数枚重なった絵が描かれた大きめの厚紙を当然のように取り出した。そこには鳥獣戯画に書かれているようなカエルたちが色付きで描かれていて、紙の大まかなスペースにいろんな場面が描かれていた。女性はそれを取り出し、指を差しながら何やら説明を始めた。私はまだ「は?」と思っている。

//夢ここまで
at 20240123

~筆者雑記~
 追いやられたけど、追いやられた先は一見暗くて人が好みそうでない場所だけども、逆に私は救われたのだと思う。 無理をしなくていい、無理をしなくても生きていい、そうやって受け入れてもらったみたいだった。おじさんたちの心が深いことがすぐにわかった。
 上界は私にとって厳しい世界だけど、そこにわざわざ顔を洗いに行かなくてはならないのも何かの優しさかもしれなかった。一瞬でいいしね。寝巻きでもいいしね(笑)
 鳥獣戯画のところ、夢はまだ続いていたのに現実世界の物音で目が覚めてしまった…。「は?」と思っている夢の中の自分と「え? なに? もっと聞きたい!」と思っている意識ある自分がいたな。あぁ、もったいなかった! なんせ胆嚢から黒いものが出ているのが見えている人の話ですからねぇ。

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