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Vol.2【少し先の未来を想像してみる】~現金を持たなくなる~

・現金を持たなくなる

フェイスブックのグローバル構想「リブラ」をご存知でしょうか。かつてのビットコインのように、資産の裏付けなしに発行した完全なネットワーク上の仮想通貨ののことです。簡単に言えば、学生がコーヒーショップでコーヒーを買うように、国境をまたいだ送金や支払いがネットで手軽にできるというものです。

開発当初は、世界中で誰もが同じ基準で使える夢のような構想でした。

しかし、規制を受けない民間暗号通貨としてブロックチェーンを利用したシステムには様々な問題と反対勢力が存在していました。計画が進むにつれ規制や圧力は強まり、直近の構想「リブラ2.0」では米ドルや欧州ユーロを資産裏付けに用い、監視システムの導入により、中央集権型のシステムへと修正されてしまったのです。

とてもユニークな発想であり夢のある計画だったので残念な気持ちもありますが、こうした動きは世界中で見られます。世界の通貨の電子化は様々な角度から勢いを拡大し続けています。

私がそう思う根拠は、世界各国が将来電子通貨を発行を視野に入れていると考えているからです。

国際決済銀行(BIS)の調査からは(※1)、世界の中銀の8割強がデジタル通貨を研究していて、そのうちの4割が今後6年以内に電子通貨を発行する計画を立てています。中国やシンガポールは試験的に電子通貨の投入を行なっていて、この動きは今後拡大するのではないかと考えられます。

日本では今回のコロナウイルスによる経済打撃に関して、10万円給付のスピードに対する問題視からマイナンバー制度の拡大普及や電子通貨を使用して口座へ直接振込みが可能な制度の議論もなされています。

企業では人との接触ができない状態でも銀行や証券が利用できるようにフィンテックの普及が進んでいます。去年はLINEと野村のLINE証券が提携し、直近では三井住友FGとSBIHDが提携しました。銀行は銀行業務一本だった時代から改革が進み、現在は外部企業と提携しながら様々な事業に力を注いでいます。そのうちで注目されている分野がフィンテックなのです。銀行に足を運ばず、ATMでの振り込みはオンラインで可能となり、手数料も下がることが検討されています。最近では、日常で現金を使わずに生活することも可能になりつつあります。

東京証券取引所では、機関投資家が上場投資信託(ETF)の売買に使う新たな電子プラットフォームを2020年末に稼働するそうです。これは直接的に通貨の電子化を促すものではありませんが、取引の効率化が進み、今後通貨の移動が加速することを踏まえ、現物の現金から電子通貨への移行が進むと考えられます。

クレジットカード業界では、近年キャッシュレス化に力を注いでいます。日本は治安がよく、本人の暗証番号が必要なクレジットカードや電子マネーの普及に反して、キャッシュレス比率は韓国の97.8%やロシアの78.3%と比べるとまだまだ低く、普及率は21.4%だそうです(※2)。政府もキャッシュレス改革を推進しているため、今後はこの数値が拡大していくと予想されます。

電子マネーでは、1996年ソニーFelicaを皮切りに、SuikaやPASMOといった交通系ICやEdy、QUICPayやPayPayと後続つる電子マネーが次々と現れました。現在ではBtoCの大手企業を筆頭に、LINEPay・楽天Payなどの支払い方式の争奪が始まっています。

今後の私の注目は、Apple社の「Apple Card」です。iPhoneとの連携やカード番号を表記しないセキュリティの高いデザイン、アップルのポイントサービスの高還元率など、魅力的なサービスを提供しています。日本にはまだ導入されていませんが、iPhone保有率の高い日本では高い普及率が見込まれるでしょう。


やがて通貨のほとんどが電子に変われば、人々は現金を持つ必要がなくなり、財布を持つ必要がなくなる時が来るかもしれません。金融の一切の手続きが、スマホやApple Watchといったウェアラブル端末からでもできるようになる時代が来るかもしれません。

しかし、実現には数え切れない問題が存在しています。未来のキャッシュレス化を実現するための壁はとてもたかそうです。


※1日本銀行統計 決済システムレポート2019年

※2個人消費における、クレジット・デビット・プリペイドカードの決済比率2017年


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