【火星で響く音】NASAの探査車に搭載された調査機材"supercam"が録ったものとは
先月2021年2月18日(米東部時間)、無人火星探査車「パーサビアランス」が火星に着陸した。このことは、世界中でも大きくニュースに取り上げられたので、記憶に新しい方も多いのではないだろうか。
(NASAの公式サイトより)
筆者は宇宙関係のことについて特別詳しいわけではないので、写真を見ただけでもワクワクしたのだが、3月に入りNASAが新たに火星で観測した"音"を公開したというニュースを見て、さらに興味をそそられた。
この記事では、この「パーサビアランス」のマイクが観測した火星の"音"について、筆者が調べたことをまとめていきたいと思う。
NASA・探査車火星着陸時の動画公開
火星の"音"に着目する前に、まずは動画 (約3分半)を見ていただきたい。
このYouTubeの動画には、火星地表やNASAの探査車の映像が含まれている。この(火星地表や探査車の)映像は、探査車が火星に到着した日から4日後の2月22日に、NASAの探査車に搭載されたカメラによって撮影されたものである。
動画は、火星の大気圏に超音速で突入した探査車が、特製のパラシュートと逆噴射で減速しながら地表に到達するまでの約3分半。徐々に近づく赤褐色の地表と探査車本体が、複数のカメラで鮮やかに収められている。
(参考: 火星探査車の着陸動画公開 地表で「風音」収録成功―NASA)
(NASAの公式YouTubeより)
実は、NASAが火星に探査車を着陸させたのは、2012年の「キュリオシティ」に続いて2度目である。火星地表の画像はその際に撮影されたが、着陸時の動画公開は今回が初めてであった。
搭載マイクで火星の"音"を収録
次は、本題である火星の"音"について書いていきたい。
先の動画が公開された約20日後の2021年3月10日、NASAは、探査車「パーサビアランス」のSuperCamに搭載されたマイクで録音された音声ファイル3本を公開した。
SuperCamとは?
先端部分のマストに取り付けられた「スーパーカム」は、分光計などの計器で構成され、岩石にレーザーを照射する音などを収録している。岩盤や土壌の化学組成や鉱物組成を特定できるほか、研究者が火星の古代の微生物を探すためにどの岩石のサンプルを収集するかを選ぶ役にも立つ。
(参考: 火星に響くレーザー照射音、NASAの探査車が収録)
マイクは、以下のものが使用されたようである。
(青い印がついている部分がマイク。NASA公式サイトより)
マイク部分の仕様はこちら↓
実際に火星の"音"を聞いてみた
今回公開された音声は、2月19日と2月22日に録音した風の音と、3月2日に録音したレーザーが岩石に当たる音である。
①2月19日 風の音
着陸の約18時間後に録音されたもの。この時点では、スーパーカムとマイクが装着されたマストはまだ展開されていなかったそうで、音はくぐもって聞こえるが、火星をわたる風の音を感じられる。
②2月22日 風の音
①の3日後に録音され、マストが展開されて火星の音が聞こえやすくなっている。
③3月2日 レーザーが岩石に当たる音
探査車から約3メートル離れた岩にスーパーカムのレーザーが当たる際のカチカチ音が30回聞こえている。
詳細は、NASAの組織のひとつであるJPL(Jet Propulsion Laboratory) の公式HPから確認できる。
なお、これらの音声は、強弱などの変化を調べ、岩の硬さなどの物理的な構造について理解を深める目的で利用することができるそうである。
終わりに
いかがだっただろうか。地球以外の惑星の音を生きているうちに聞くことができ、言葉にできないワクワクを感じてしまうのは、筆者だけだろうか。今後も「パーサビアランス」の動向を見守っていきたい。
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