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【子育て2.0】第2章(前半) 子育ての不安は、わくわくで帳消しにする時代へ

子育てへの漠然とした不安をわくわくに変える

あなたは、「子どもには自分らしく生きていって欲しいけど、こんなにのびのびさせていては、将来困るのではないろうか?」と不安に思ったことはありますか?「子どもには、のびのびと育って欲しい。」「その子が好きなことを、好きなだけさせてあげたい。」そんな思いで子育てをしていても、ふと襲ってくる不安感。「周りの子のようにもっといろいろさせないと、落ちこぼれるのではないだろうか?」「後から苦労しないだろうか?」「この子は将来、本当に食べていけるのだろうか?」

これまで20年ほど、子育ての講演や研修をしてきました。楽しい子育ての「コツ」をたくさんの方とシェアし、心理学を使って多くの問題をスッキリと解決して来ました。でも、なかなか消すことができないのが、「将来への漠然とした不安感」でした。
子育てをしていると、 ほんの小さな事でも大きな焦りにつながりがちです。子育てには正解がないので、誰もが「このやり方で合っているのかな?」と不安を感じる瞬間があります。ふと周りと比較して、小さなことに一喜一憂してしまうのもそのせいです。3人中2人ができれば、残りのひとりの親は「もう“みんな”できているのに、うちの子だけできない!」と焦るものなのです。
すると、不思議ですよね。「これはこの子の個性なのだ。」と認めていたはずの姿が、急に「周りから外れている変わった子の姿」に見えてしまう…。「好きなことに没頭しているんだ。」と認めていたはずの姿が、「好きなことしかしていないダメな姿」に思えてしまう…。すると、焦って軌道修正したくなったり、「自分の育て方が悪いのか。」と罪悪感に襲われたりしてしまいます。子育てに関する不安や心配があるかどうかで、子どもの見え方も、子育てのスタイルも変わってきてしまうのです。  

第2章では、「新しい時代」を生きる子どもを育てるための【子育て2.0】として、「子育てへの不安」を「子育てへのわくわく」に変える提案をしたいと思います。
簡単ではないのは、承知の上です。なぜなら、子育ては「ひとりの人間を育て上げる」という、世界で一番大変なお仕事なのですから。長期に渡ってコツコツと続けて行った先の結果がどうなるのかは、今はわからないのです。そこに不安を感じるのも無理もないでしょう。
また、子育てには「正解」がないのです。今進んでいる道で、合っているのかどうかもわからぬまま、それでも進み続けねばならないのが子育てです。
しかも、特に今は先が見えない混乱の時期。新しい価値の「新しい時代」がやって来ている転換期。ただでさえ、不安が大きくなっている時期なのですから。

けれども、「新しい時代」がやってくる今こそ、「子どもにとって本当にいいことだけ」をする子育てを目指す、振り返りのチャンスなのだ、と考えたいと思います!今こそ、「人間が幸せに生きるとはどういうことなのか。」を考え、心が元気でいられる人を育てる方法を、一緒に考えていきましょう!

全部もって生まれてきている(パート2)

第1章では、子どもは「全部もって生まれてきている」と知りました。
その中には、『4つの望み』がありました。それは、
 人とつながって生きていきたいよ
 何でも経験して、成長していきたいよ
 誰かの役に立ちたいよ
 困難を自分の力で乗り越えたいよ、という望みでした。
子どもはこの『4つの望み』を叶えたくて、自ら行動していくのだと知りました。また、この『4つの望み』が叶う時、その子はちゃんとしあわせな状態になっているはずなので、私たちは安心してそのお手伝いをするだけで大丈夫だ、と知りました。お手伝いとして整えるべきは、〈安心して生活できる基盤〉と〈成長する機会になる経験〉。それさえあれば、子どもはちゃんと、いい方向に進んでいきますよ、と言うことでした。

さて、子どもは『4つの望み』の他にも、たくさんのものをもって生まれてきました。キラキラと心が元気な人生を進めていくために必要なものを、全部セットにしてもってきているのです。
それらは、キラキラと金色に輝く箱に入っていて、まるで「その子だけの宝箱」のようです。さぁ、その箱には一体、何を入れてもってきたのでしょうか?
箱の形も大きさも中身も、それぞれに少しずつ違うようですが、どの箱にも次のものが入っているようです。ちょっと中身を、覗いてみることにしましょう!

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子どもが大事にもって生まれて来た「金の箱」の中身

誰もが大事にもって生まれてきた「金の箱」の中には、こんなものが入っています。
 その子らしい〈性格的特徴〉 
 その子ならではの〈能力〉
 それらを使いこなすための〈愛情やエネルギー〉
 そして、その子の〈人生の設計図〉

あ、よく見ると、〈幸運〉とか〈ご縁〉などの、その子の人生を潤滑に進めるために必要なものが、他にもいろいろ入っていますよ!

キラキラと光っている「金の箱」の中には、ものすごいパワーを秘めた、とてもエネルギーの高い、愛に満ちた、その子の「本来の自分そのもの」と言えるものが、たくさん詰まっているのです。

子どもはみんな、この「金の箱」を大事に抱えて生まれてきました。

「金の箱」の中身を使って生きると、どうなるの?

子どもが この「金の箱」の中身を使って『4つの望み』を叶えられた時には、その子はどのような状態になるのでしょうか?

きっとその子は、自分がもって生まれた〈性格的特徴〉を活かし、「その子らしさ」を出して人とつながり、人と協力しようとしていることでしょう。
自分がもって生まれた〈能力〉を進んで伸ばし、あらゆる経験を自分の自信につなげながら、自分にしかできないことをしていることでしょう。
自分の内側を信じていて、誰かの役に立つことを喜び、周りのみんなもその子が大好きで、何かあれば助けてくれる仲間がいることでしょう。
〈人生の設計図〉があるので、分かれ道があっても「自分の行くべき道はこっちだ。」と感じることができ、将来への不安感は少ないでしょう。
おそらくこの子は、自分が本当にやりたいと思うことを、見つけているでしょう。天職とかミッションと呼ばれるような、「自分はこれをしていると、内側からエネルギーが湧いてくるし、努力すらも楽しめる。」と思えることをして、生計を立てているのではないでしょうか。

もちろん、魔法のように全てがうまくいく、という意味ではありません。誰の人生にも、いい時と悪い時があり、波があり、アップダウンがあり、困難なこともあるものです。けれども、「金の箱」を使っている時には、たとえ困難なことがあっても、「これは〈人生の設計図〉に描かれた、学びの機会に違いない。」と捉えることができるのです。だから、どんなに辛いことがあっても、ちゃんと自分の力で乗り越ようとするでしょう。

自分がもって生まれたものを活かして「自分らしく」生きている人は、キラキラしています。自分の内側にあるものを信じられ、この人生でやるべきことが何と無くわかっている人は、将来への不安よりも、将来への希望やわくわく感を抱いて生きています。そうなのです。自分の「金の箱」を使って自分らしく生きている人は、決して「不安がない」のではなく、「不安をわくわくで帳消しにして」生きているのです。

このように、「金の箱」の中身を使って生きるということは、まさに「元気な心で自分の人生を生きる」ということなのです。
人とつながって生きていきたい、何でも経験して成長していきたい、誰かの役に立ちたい、困難を自分の力で乗り越えたい、という『4つの望み』を、迷いながらとか、苦しみながらとかではなく、清々しく自分のもっているものを使って、イキイキと叶えられる状態なのです。愛とエネルギーに満ち状態なのです。

どの子も、『4つの望み』と「金の箱」をもって生まれてきました。
ですから、どの子も必ずキラキラ輝いて、元気な心で生きることができます。誰もが、その子らしく輝くことが絶対にできるのです。そのためのものを、全部もって生まれてきているのですから。

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でも、なぜ…、

心に元気がなくて、自分らしく生きられない子がいるのでしょうか。
その子の「金の箱」は一体どうなっているのでしょう? その子はなぜ、「金の箱」を使って『4つの望み』を叶えることが、できていないのでしょうか?

「金の箱」にたどり着けないわけ

誰にでもあるはずの「金の箱」。自分らしく生きるために必要な道具が全てが入っている、大切な箱。
実は、心に元気のない子は、この「金の箱」の存在に気がつかないまま暮らしています。または、使いたくても手が届かないところにあり、手を伸ばし、もがきながら暮らしています。

本来「金の箱」は、おしゃべりです。「聞いて下さい。」「この能力を使ってみて下さい。」「あなたはこうするともっと自分らしくいられますよー。」「この道を選んで下さーい。」「これをやってみて下さーい。」「それはちょっとやりすぎですよ。」などと、たくさんのメッセージを送ってくれています。 その子をいつも見ていて、たくさん呼びかけてくれているので、その声の通りに進んでいけば「金の箱」に手が届きます。そして、蓋を開け、中にあるいろいろなものを使いこなして、キラキラと自分らしく生きていくことができるはずなのです。

でも、そんな大切な「金の箱」のおしゃべりも、聞こえにくくなってしまう時があります。それは、「金の箱」の上に、何かが重くのしかかり、邪魔をする時です。その重い何かが、どんどんのしかかり、何層にも重なっていき、ヘドロのようにこびり付くと、やがて「金の箱」の声は遠くなり、たどり着くのが難しくなってしまうのです。
それが、「金の箱」が使えなくなる原因、つまり「本来の自分から離れていく」原因です。

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そして、そのヘドロのように「金の箱」にこびりついてしまうもの。
その重いものの正体は、その子の心にある「重い思考」です。

「金の箱」に「重い思考」がのしかかる時

「重い思考」とは、「〇〇せねばならない」とか「〇〇であるべきだ」という考え方です。不安や心配も「重い思考」です。「完璧でなくてはならない」「みんなに好かれなくてはならない」などの張り詰めた決意も「重い思考」です。それを思う時になんだか胸がぎゅっと痛くなったり、気分がドーンと文字通り「重く」なったりするものは、全て「重い思考」です。

心に元気がない子の「金の箱」の上には、たくさんの「重い思考」が乗ってしまっています。だから、その子らしい〈性格的特徴〉も、その子ならではの〈能力〉も、それらを使いこなすための〈愛情やエネルギー〉も、その子の〈人生の設計図〉も、そしてその子の人生を潤滑に進めるために必要な〈幸運〉とか〈ご縁〉などのものを、まだ使いこなせていない状態なのです。

だから、「自分のいいところがよくわからない」、「自分らしさもよくわからない」、「自分に自信がもてない」、「自分を大事にできない」、「自分のしたいことがよくわからない」「生きていてもいいことがない」…。そんな気持ちになってしまっています。
自分の「金の箱」に手が届きさえすれけば、そんなドンヨリとして息苦しい気持ちではなくなるんだ、ということすら、まだ気付けないままでいる子もたくさんいるのです。

「金の箱」のおしゃべりとは、「自分の心の感覚」を教えてくれる声です。だから、「金の箱」のおしゃべりが聞こえないということは、自分の本当の気持ちをしっかり感じないままで過ごしていたり、自分が本来進みたい方向とは違った方向に進んでいたりする、ということです。
だから、心がドンヨリとしたり、強いストレスを感じたりしてしまうのです。

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もったいないですよね。
せっかく、愛とエネルギーがたくさん詰まってキラキラした、その子らしく生きるための道具を全部もっているはずなのに、それをまだ使っていないなんて!

「重い思考」は、そのくらい厄介な存在なのです。

何を重いと感じるのか、どのくらい重いと感じるのかは、その子によって違います。それは、その子の「感じ方」で決まります。だから、周りが何とも思わないようなことでも、その子にとっては「とてつもなく重い」ということもあります。
また、知らないうちにのしかかっている「重い思考」もたくさんあります。 だから、心に元気がない理由がわからないまま、「人生はこんなものだ。」とか、「この子はこういう子だ。」と思っている場合もたくさんあります。
けれども、ヘドロのように溜まった「重い思考」を取り除くことができた時、その子は驚くような輝きを見せることになります。ドンヨリとしていた子が輝き出し、急に目覚ましい成長を遂げるのです。

その子は、「金の箱」のおしゃべりが聞こえようになって、何をすべきか、どうすべきかの迷いが少なくなります。自分のことがよくわかってきます。だから、〈性格的特徴〉や〈能力〉をうまく使いこなせるようになってきます。箱の中には〈エネルギー〉が入っているので、内側からどんどん元気が湧いてきます。〈人生の設計図〉があるので、自分の感覚を信じて道を進むようになり、自分軸のある凛とした人になっていきます。〈愛情やご縁〉が、その人の人生をさらに豊かにしてくれます。そして、不安や心配よりも「希望やわくわく」の方が大きくなり、人生が楽しくなっていくのです。

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「重い思考」があるとないとでは、こんなに大きな違いが出てきてしまう…。

でも、どうすれば「重い思考」がのしかからないようにすることが、できるのでしょうか? そんな方法は、あるのでしょうか?

【子育て2.0】では、まず「新しい時代に向けて、手放すべきは何なのか?」に注目しています。時代の変わり目である今こそ、たとえ、これまでの社会では一般常識だったことでも、もしそれが未来を生きる子どもにとって「重い思考」になるのならば、思い切って手放す時だ、と考えたいのです。
時代が変われば、幸せのカタチも変わります。まずはそれをちゃんと理解して、今こそ「子どもにとって本当にいいことだけ」をすると心に決め、一緒に行動していきませんか? 今ここで私たちが何を手放し、教育や子育てを「どう変化させていくのか」によって、この先の世界が変わってくることになるのです。

こんなにわくわくする瞬間が、今までにあったでしょうか?

「〇〇すべきだ」「〇〇せねばならない」などという「重い思考」には、いろいろな種類があります。ざっくりと分けると「社会全体で抱えている重い思考」と「個人的な経験から抱えている重い思考」の2種類に分類することができるでしょう。まずは、誰もが「子どもの将来をわくわくできるような時代」を目指して、「社会全体で抱えている重い思考」のいくつかを、ポイッポイッとしていくことにしましょう!

(第2章 後半へ続く)

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